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教員紹介


天内 大樹 講師写真

天内 大樹

AMANAI Daiki
 

准教授

デザイン学部 デザイン学科(デザインフィロソフィー領域)
E-mailアドレス d-amanai@suac.ac.jp
ホームページURL http://www.ne.jp/asahi/d/ama/

キーワード:
戦間期の建築運動、中心市街地のリノベーション、建築空間の認識論
出身地 東京都杉並区
学歴 東京大学大学院人文社会系研究科美学芸術学専門分野修了(2008年)
学位 博士(文学)
経歴 日本学術振興会特別研究員(PD,2008年から2011年)
東京大学美学芸術学研究室教務補佐員(2011年から2012年)
東京理科大学工学部第二部建築学科ポストドクトラル研究員(2012年から2014年)
静岡文化芸術大学講師(2014年から)
担当授業分野 デザイン史、デザイン美学、世界建築史、基礎演習A  など
研究分野 美学芸術学、建築思想史
近現代日本の建築を中心に芸術・環境要素全般について、モノの形を生み出す背景となる哲学や思考を扱います。
研究テーマ 近代日本の芸術・建築・デザイン論、素材と近代化遺産保存
研究業績 著書
  • 柳沢田実編『ディスポジション:配置としての世界』 現代企画室、2008年(共著).
  • 五十嵐太郎編『建築・都市ブックガイド21世紀』 彰国社、2010年(共著).
  • 萱野稔人編『日本言論知図』 東京書籍、2011年(共著).
  • 仲正昌樹編『叢書アレテイア13 批評理論と社会理論1:アイステーシス』 お茶の水書房、2011年(共著).
  • 『分離派建築会の展開──分離の対象をめぐる1920年代日本建築界の論考分析──』コンテンツワークス、東京大学大学院人文社会系研究科博士論文ライブラリー、2012年.
  • 五十嵐太郎編『おかしな建築の歴史』 エクスナレッジ、2013年(共著).
  • 五十嵐太郎編『窓と建築の格言学』 フィルムアート社、2014年(共著).
  •  建築系ラジオ編著『若い人に聞いて欲しい本音トーク 建築系で生きよう。』 総合資格、2015年(共著).
  • 高橋千晶・前川志織編『博覧会絵はがきとその時代』 青弓社、2016年(共著).

査読論文
  • 「分離派建築会結成の理論的背景──初期日本建築界における「芸術」と「表現」」,『美学』美学会 No.228、pp.69-82、2007年3月.
  • 「様式と国民の興亡──伊東忠太による「日本建築史」」『表象文化論研究』東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論 No.6、pp.1-16、2008年3月.
  • «A Dispute over Ornament in Architecture: Japanese Perception of Modernism in 1920s», Proceedings of the 6th International Conference of Design History and Design Studies, pp.144-7, 2008.10.
  • «The Founding of Bunriha Kenchiku Kai: “Art" and “Expression" in Early Japanese Architectural Circle, 1888-1920», The Japanese Society for Aesthetics: AESTHETICS, No.13, pp.235-248,2009.4
  • (http://www.bigakukai.jp/aesthetics_online/aesthetics_13/no.13_top.html).
  • 「バラック装飾社と分離派建築会──一九二〇年代日本におけるモダニズム受容例」『大正イマジュリィ』No.4、pp.90-111、大正イマジュリィ学会、2009年9月.
  •  «Modernism and the Vernacular: an Architect in 1930s Japan», Serbian Architectural Journal, pp.29-42, 2014.06.
  • Ohtani, T. et.al., «The Effect of a Two-Dimensional Optical Illusion
    Pattern on the Three-Dimensional Interpretation of Objects Using Café
    Wall “Illusion Blocks”»,  Proceedings of the 18th International
    Conference on Geometry and Graphics, pp.1682-1693, 2019.
  • Amanai, D. et.al., «A Suggestion of the Optical Illusion Blocks for an
    Architectural Theory: Toward an Architecture in the Near Future»,  
    Proceedings of the 18th International Conference on Geometry and
    Graphics, pp.529-540, 2019.

翻訳
  • エイドリアン・フォーティー,坂牛卓+邉見浩久監訳『言葉と建築──語彙体系としてのモダニズム』鹿島出版会、2006年(共訳).
  • ジェフリー・スコット,香山壽夫監修,坂牛卓・邉見浩久+チームA0訳『人間主義の建築──趣味の歴史をめぐる一考察』鹿島出版会、2011年(共訳).
  • ジョルダン・サンド,天内大樹訳『帝国日本の生活文化』岩波書店、2015年.
  • エイドリアン・フォーティー、坂牛卓+邉見浩久+呉鴻逸+天内大樹訳『メディアとしてのコンクリート』鹿島出版会、2016年(共訳).
  • 柏木博監修,橋本優子,井上雅人,天内大樹訳『図鑑デザイン全史』東京書籍、 2017年(共訳).
所属学会・団体 美学会(2002年4月から)
日本建築学会(2004年2月から)
表象文化論学会(2007年7月から)
大正イマジュリィ学会(2008年3月から;編集委員2010年5月から)
日本図学会(2017年9月から)

 

メッセージ

芸術と美学

通常の芸術大学や美術大学では、よくデザインとファイン・アートを分けます。クライアントに応じて造形する対象と、作家が随意に探究する造形対象という違いです。18世紀後半に始まる狭義の美学・芸術学は、典型的な近代的主体として天賦の才能をもって独立した〈作家〉が、周囲の日常的事物から切り離された〈作品〉を〈創造〉するという図式を確立して、芸術と〈作品〉に特権を与えてきました。「正統の」ファイン・アートを制作し享受する過程において、クライアントなど背景情報は夾雑物または挿話となり、背景情報を切り離せないデザイン分野は「応用芸術」にすぎないとされました。

しかし20世紀中頃からの議論をみると、作家個々による探究に最大の敬意を払うとしても、次の問いは避けられません。芸術家は自由な個人という立場からのみ造形してきたのか。作家はアートワールド固有のゲームの規則(西洋中心の芸術史の素養、画廊や美術館や報道や収集家と作家の関係、制度や政策など)から自由になれるのか。 
 

芸術と建築・デザイン

建築では19世紀中頃から、新素材・新技術の導入が盛んで、都市問題への対処や産業としての需要が差し迫ったため、絵画・彫刻と同列に位置づける従来のアプローチよりも、技師や企業や施工者の実践の方が時代を拓いてきた経緯があります。そこで建築の技術的進歩に沿って芸術諸ジャンルを再編し、社会との新たな関係を模索する新たな教育体系が提案され、一般的にも古典古代から扱う西洋建築史とは異なる科目「近代建築史」が各大学に置かれました(「デザイン史」もこれに並行します)。

しかし建築や建築家が20世紀に芸術から逸脱した、あるいは建築をアートと重ねて論じるのは現代的ではないなどの理解は、むしろ先に述べた18世紀後半からの限られた芸術理解に基づいています。技術や素材やクライアント等々「芸術外」の動きに振り回され続けてきたのが、本来的な芸術のあり方でしょう。その意味で建築もデザインも依然として十分に芸術です。
 

開拓の方向性

静岡文化芸術大学は通常の意味での芸術大学ではありませんし、デザインと文化政策という2分野は「正統の」芸術からは周縁とされがちです。私はこれを、美学、建築・デザイン、芸術活動全般を巻き込んだ新たな芸術像に通ずるフロンティアと受け止め、浜松から実践活動との呼応を通じて新たな立場を切り拓こうと思います。