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教員紹介

天内 大樹AMANAI Daiki
准教授
- デザイン学部 デザイン学科(デザインフィロソフィー領域)
ホームページURL http://www.ne.jp/asahi/d/ama/
キーワード:
戦間期の建築運動、中心市街地のリノベーション、建築空間の認識論
出身地 | 東京都杉並区 |
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学歴 | 東京大学大学院人文社会系研究科美学芸術学専門分野修了(2008年) |
学位 | 博士(文学)(東京大学、2011年) |
経歴 | 日本学術振興会特別研究員(PD,2008年から2011年) 東京大学美学芸術学研究室教務補佐員(2011年から2012年) 東京理科大学工学部第二部建築学科ポストドクトラル研究員(2012年から2014年) 静岡文化芸術大学講師(2014年)、准教授(2018年から) |
担当授業分野 | デザイン概論、デザイン史、デザイン美学、世界建築史、基礎演習A、学芸の基礎 など |
研究分野 | 美学芸術学、建築思想史 近現代日本の建築を中心に芸術・環境要素全般について、モノの形を生み出す背景となる哲学や思考を扱います。 |
研究テーマ | 近代日本の芸術・建築・デザイン論、素材と近代化遺産保存 |
研究業績 | 著書
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メッセージ
芸術と美学
通常の芸術大学や美術大学では、よくデザインとファイン・アートを分けます。クライアントに応じて造形する対象と、作家が随意に探究する造形対象という違いです。18世紀後半に始まる狭義の美学・芸術学は、典型的な近代的主体として天賦の才能をもって独立した〈作家〉が、周囲の日常的事物から切り離された〈作品〉を〈創造〉するという図式を確立して、芸術と〈作品〉に特権を与えてきました。「正統の」ファイン・アートを制作し享受する過程において、クライアントなど背景情報は夾雑物または挿話となり、背景情報を切り離せないデザイン分野は「応用芸術」にすぎないとされました。
しかし20世紀中頃からの議論をみると、作家個々による探究に最大の敬意を払うとしても、次の問いは避けられません。芸術家は自由な個人という立場からのみ造形してきたのか。作家はアートワールド固有のゲームの規則(西洋中心の芸術史の素養、画廊や美術館や報道や収集家と作家の関係、制度や政策など)から自由になれるのか。
芸術と建築・デザイン
建築では19世紀中頃から、新素材・新技術の導入が盛んで、都市問題への対処や産業としての需要が差し迫ったため、絵画・彫刻と同列に位置づける従来のアプローチよりも、技師や企業や施工者の実践の方が時代を拓いてきた経緯があります。そこで建築の技術的進歩に沿って芸術諸ジャンルを再編し、社会との新たな関係を模索する新たな教育体系が提案され、一般的にも古典古代から扱う西洋建築史とは異なる科目「近代建築史」が各大学に置かれました(「デザイン史」もこれに並行します)。
しかし建築や建築家が20世紀に芸術から逸脱した、あるいは建築をアートと重ねて論じるのは現代的ではないなどの理解は、むしろ先に述べた18世紀後半からの限られた芸術理解に基づいています。技術や素材やクライアント等々「芸術外」の動きに振り回され続けてきたのが、本来的な芸術のあり方でしょう。その意味で建築もデザインも依然として十分に芸術です。