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トピックス


本学助成制度で出版された書籍のご紹介

公開日:2020年4月14日

本学では教員の研究活動の成果を公開する手段として、出版助成制度を設けています。
2019年度に採択された3件の出版物をご紹介します。

文化・芸術研究センターWebサイト 出版助成ページ
「ダイエーの経営再建プロセス」書影

ダイエーの経営再建プロセス

森山一郎(文化政策学科教授)・高橋義昭 著
中央経済社 2020年3月

森山一郎教授紹介

【森山教授からのコメント】

株式会社ダイエーは、1990年代までは日本最大の小売企業でした。しかし、1998年から経営不振に陥り、2004年には産業再生機構の支援を受け入れて、事実上の経営破綻に至ります。その後も、産業再生機構をはじめ多くの関係者がその再建に関わったものの成功せず、ダイエーは、現在イオンの傘下で食品スーパーを運営する一企業となっています。
ダイエーは、なぜこのような事態に立ち至ったのでしょうか。 本書は、ダイエーの経営破綻後に同社の社長代行を務めた共著者の保有する記録や資料の他、新たに実施した聞き取り調査等に基づき、これまで殆ど検討の対象とならなかったダイエーの経営再建プロセスの全体を詳細に記述・検討したものです。
これらの検討を通じて、本書では、ダイエーの経営再建が不調に終わった要因を指摘するとともに、今後の企業再建に向けた示唆についてまとめました。本書が、企業再建論もしくは流通経営論において、有益な視点を提供できていることを願っています。
なお、巻末には、1990年代以降の「ダイエーの業績推移」ならびに「ダイエーの経営再建関連年表」を付し、今後のダイエー研究における参考資料としています。
「条例制定の公法論」書影

条例制定の公法論

村中洋介(文化政策学科講師)著
信山社 2019年12月

村中洋介講師紹介

【村中講師からのコメント】

本書では、条例制定権に関する研究の観点から、災害行政や受動喫煙防止対策等についての検討を行いつつ、アメリカにおける地方自治との比較を通じて、わが国における今日の地方自治の位置づけを公法学の視点で検討することとしている。

具体的な次のような構成による。 1章では、比較研究の対象として、アメリカ地方自治の事例を参照し、検討している。アメリカの地方自治に関して今日も判例において用いられているディロンの原則を紹介しつつ、アメリカの地方自治の成り立ち、今日に至るまでのアメリカの地方自治制度について概観している。その上で、州憲法における地方自治に関する規定、ホームルール制度などのアメリカ独自の地方自治制度、アメリカにおける地方自治に関する判例を参考にして、アメリカの制度がわが国の地方自治の比較を行っている。
2章では、わが国における地方自治の歴史を概観し、今日の地方自治が確立されるまでの沿革を検証することによって、今日の憲法上の地方自治の保障が意味するところを検討している。
3章では、災害に関する条例制定の事例について検討している。東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨など、近時の大規模災害から、災害に備える条例制定についての注目が集まっている。災害対策基本法は、市町村を第一義的な災害対応の行政主体と位置づけており、条例を活用した災害対策あり方も重要視されているものといえるだろう。そうした前提の下で、本章では、地方公共団体の条例による災害対策の例について検討をしている。
4章では、受動喫煙防止に関する条例制定の事例について検討している。東京五輪を前にして、国や東京都は、受動喫煙対策を強化することとして、平成30年に健康増進法の改正、東京都の受動喫煙防止条例制定が行われた。東京都では、これに先立ち、「東京都子どもを受動喫煙から守る条例」が制定されるなど、近時、受動喫煙対策が強化されている。各地方公共団体では、路上での喫煙防止、ポイ捨て、受動喫煙対策などを目的として、対策が講じられているところであり、本章では、この点に関連して、兵庫県の受動喫煙防止条例の事例を基に、喫煙の自由等の観点を踏まえた検討をしている。
5章では、地方公共団体の条例制定に関する事例として、地方公共団体の職員の派遣に関する、神戸市外郭団体第2次訴訟の事例、地方税法の規定と抵触するとされた企業税条例に関する事例を基に、最高裁の判例から、条例制定のあり方を検討することとしている。
6章では、本書のまとめとして、地方自治の本旨の内容の理解、日本国憲法における地方自治の保障、条例制定権の限界、アメリカの地方自治とわが国の地方自治の比較を行っている。ここでは、地方自治の意味、地方自治の本旨の意味を探るほか、従来から地方自治の本旨論における中心的な考え方である制度的保障説についての再考、近時の補完性の原理にかかる議論を踏まえた地方自治の考え方、条例制定のあり方について検討をしているところである。
「バリ島の影絵人形芝居ワヤン」書影

バリ島の影絵人形芝居ワヤン

梅田英春(芸術文化学科教授)著
めこん 2020年3月

梅田英春教授紹介

【梅田教授からのコメント】

本書は、ユネスコ世界文化遺産にもなっているインドネシア、バリ島の影絵人形芝居ワヤンに関する書籍です。
筆者は、このバリ島のワヤンの実践を1984年から始め、大学卒業後には、インドネシア芸術大学のワヤン学科に2年留学し、ワヤンの実技とともにさまざまな理論を学びました。またその後は、大学院で文化人類学を専攻し、ワヤンと儀礼との関わりを研究してきました。この本は、実践者、研究者という二つの視点から描かれたものです。
この本は大きく二部構成になっており、第一部はワヤンの概論の部分です。単に伝統的なワヤンだけに限らず、変化しつづけるワヤンの動態に注目しています。また人形の図像に関する分析も加えています。第二部は、人形の図録です。バリのワヤンに用いられる重要な人形約180体をすべて網羅し、物語の概観、各人形の物語の位置づけ、キャラクターなどを細かく掲載しました。本書は、インドネシア芸能の研究者のみならず、バリ芸能を愛する多くの方々に楽しんでいただけると思います。
[発行部署:企画室]