重点研究ビジョン・テーマ

静岡文化芸術大学グローカルデザイン研究推進ビジョン2020

本学は、文化とデザインの教育研究活動を通じて社会に貢献するユニークな公立の大学として、文化政策学部・デザイン学部と文化政策研究科・デザイン研究科を擁し、重点目標研究領域として、多文化共生を含む文化政策、アートマネジメント、ユニバーサルデザインの三領域を掲げてきました。
2020年、創立20周年の節目にあたり、さらに10年先に望ましい自らの像を画きました。それは、「地域との連携をこれまで以上に強化し、国内外の人々が対話と相互成長をくりひろげる拠点として重要な役割を果たす姿」です。そして、その思いを実現する場として、滞在対話型の教育研究施設を核とする「遠州学林」を開く構想を温めています。その使命とは〝天地文明の創出〟です。
本学は、これまで両学部、両研究科が力を合わせ、研究の質を高めてきましたが、これからは、現代社会が強く求める包摂性、持続性、創造性をさらに意識し、これまでの三領域を発展させた重点研究のビジョンをここに掲げます。

静岡文化芸術大学グローカルデザイン研究推進ビジョン2020[PDF:1.3MB]

重点研究ビジョン

持続する社会のためのグローカルデザイン
Glocal Design for a Sustainable Society

本学が位置する遠州地域は、大小の交通網に支えられ、日本近世の革新的思想家を多く輩出し、その後日本の高度経済成長の背骨となるグローバル企業を次々と生み出しました。その力は今の先端テクノロジー産業にもつながっています。また、山・森・川・海に囲まれ、国内有数の農林水産物生産をも誇ります。遠州地域には、日本を豊かにしうる要素がさまざまに詰まっており、いわば未来の日本の縮図と考えることもできます。

今世紀に入り、グローバル化の進展とテクノロジーの高度化の中で、膨張する経済に 応じて人の欲望もさらに深まり、人間を万物の長とみなす世界観、強いものが多くを得るのは当然とする意識が広がっています。しかしながら私たちは、この趨勢の中にあっても、よりよき道を選ぶすべは必ずあり、多くのいのちが共存し続けることもできると考えます。地球社会の未来の姿を、地域の人々と共に考え、学内外、国内外の研究ネットワークと手をたずさえ、この地域ならではの発想により創出していく――このような知的活動を、私たちはグローカルデザインと呼びます。

重点研究テーマ

上記ビジョンの「持続する社会」とは、自然環境への負荷を減らすだけでなく、豊かな人間関係、経済、制度、文化やアートをも含むものです。これは、国際連合が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」と共鳴するだけでなく、人間を含む多くのいのちが環境と調和して輝きを放つような社会、すなわち天地文明の世であると考えます。
特定の研究領域名を掲げたこれまでの重点目標設定に替えて、さまざまな研究分野を 横断的に貫いて研究者間の対話を促すものとして、以下の3つを重点研究テーマに設定し ます。各研究者は、それらのテーマとの関係を意識しつつ、各自の研究を深めていきます。

1.包摂的な文化の推進のためのグローカルデザイン

多文化共生、アート、モノとコトのデザインなどの研究

2.いのちを大切にする文化、社会、経済のグローカルデザイン

自然と人との共生や持続可能な社会に貢献する政策やマネジメントの研究

3.遠州地域を輝かせるグローカルデザイン

遠州、あるいは広く「三遠南信」の風土のなかにある社会の課題解決に 貢献する研究
以上の3テーマにかかわる研究を積み上げることにより、本学は地域と世界をつなぐ 学術的、実践的な結び目としての役割を強めていきます。