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絵本プロジェクトの画像
絵本プロジェクト
2008年末のピーク時以降、ブラジル人の在留数は13万人を超える減少となりましたが、日本に残ったブラジル人には定住傾向が強く認められます。家族滞在者の中には子どもが日本の高校や大学に進学することを望む家庭も増えてきていますが、実際に大学にまで進学したブラジル人の若者たちの数はまだ限られています。また、ブラジル人保護者はブラジルで教育を受けた人が多いため、日本の教育制度、とくに高校進学や大学進学について十分な情報や知識を持ち合わせていません。たとえば、給食や遠足、家庭訪問について、ブラジル人保護者は自分自身の経験に基づいた具体的なイメージを有していないのです。教育委員会や学校では、翻訳資料や通訳付き面談等を通じてきめ細かい情報提供に務めていますが、保護者向けの情報ばかりで、児童自身が日本の公立学校に前向きな気持ちを持つような資料はこれまで全く存在しませんでした。
 
このような児童向け資料の欠落を埋め合わせるため、本学デザイン学部を2012年3月に卒業した金城ジゼレさんが卒業研究でブラジル人児童向けの学校生活案内絵本『浜松における日本の学校』を制作しました。レオ、エリザ、マルコスという3名の登場人物が舞台回しとなり、市内の小学校や教育委員会での調査に基づいて小学校での生活、持ち物、習慣等について柔らかいタッチのイラストとひらがなでの表記とポルトガル語の対訳で説明しています。23ページにわたって掲載されている項目(学校で使う物と学校の一日、登校、給食、掃除、学校行事、面談など)はユニバーサル絵本という観点からも高い評価を得ています。

絵本プロジェクトの目的

絵本プロジェクトの目的の図解
2013年度には特別研究の一環としてバイリンガル絵本プロジェクトを実施しました。このプロジェクトの目的はバイリンガル絵本をブラジル人家庭に配布し、その絵本を媒介として、本学のブラジル人学生が2人一組になって家庭を訪問し、質問紙を用いたポルトガル語でのヒアリング調査を行い、子どもの教育に関する保護者の支援ニーズを探ることでした。この家庭訪問ヒアリングには、さらに3点付随的な目的がありました。第一の目的は、本学のブラジル人学生が家庭を訪問することで、ブラジル人保護者は日本の学校に通ったブラジル人の子どもたちが実際にどのように教育達成できるかを直接理解できるという点でした。第二の目的は、児童にとっても、自分の将来を思い描く上でのロールモデルとなる大学生との直接的な出会いが、学びの動機を高めることにつながる点でした。そして第三の目的は、ブラジル人学生たちにとっても、自分の持つ文化的背景が社会的に活用できることを実感する機会となり、エンパワーメントの契機となる点でした。

浜松市教育委員会の協力のもと、2013年9月に市内の小学校全校に1部ずつ送付すると共に、ブラジル人児童の多い19校ではブラジル人の実家庭に1部ずつ届けました。また、10月には、市教委が開催した入学ガイダンスでも配布され、学校経由の配布と合わせて約420部がブラジル人家庭に届けられました。

絵本プロジェクトの協力者

絵本プロジェクトの協力者の図解
家庭訪問調査では本学のブラジル人学生が2人一組となって22世帯のブラジル人家庭を訪問し、ポルトガル語で家族形態、ブラジルでの生活、来日歴と日本での生活、仕事の状況、子どもとの関わり方、バイリンガル絵本の評価、子どもの進路などについてのヒアリングを行いました。また、ヒアリング後には保護者側から学生たちに日本での教育についての相談や質問などもありました。
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