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教育・研究

2022年12月28日

文化財建造物の教育普及と展示活用の共同研究:国登録有形文化財「旧田代家住宅」にて「鹿の子(かのこ)展」・地域連携演習「旧田代家住宅活用プロジェクト」を実施しました

デザイン学科・匠領域の学生作品展「鹿の子(かのこ)展」

本学のデザイン学科、匠領域3年生14名による作品展「鹿の子(かのこ)展」を、天竜川と鳥羽山の豊かな自然に囲まれた国登録有形文化財「旧田代家住宅」を会場に開催しました。「鹿の子」は、夏の季語であるとともに、古より神の使いとされる鹿にちなんだ縁起のよい柄でもあります。つくり手の第一歩を踏み出そうとする学生と夏に生まれたばかりの鹿の子を重ね合わせて「鹿の子展」と名付けました。

「場」からはじまる新たなしつらいのデザインを金工、染、織、木漆芸の作品で表現しました。作品は主屋1階の土間や台所、座敷、庭などに展示され、訪れた人々は文化財の魅力を味わいながら、それぞれの空間に溶け込んだ学生たちの工夫溢れた作品を鑑賞し、心安らぐ時間を楽しみました。
「鹿の子展」フライヤー画像
国登録有形文化財 旧田代家住宅の画像
「鹿の子展」概要

【会期】2022年7月16日(土曜日)から7月18日(月曜日・祝日)
【時間】午前10時から午後4時
(初日16日は午後1時から。最終日18日は午後2時まで、午後0時から公開講評会。)
【会場】旧田代家住宅(浜松市天竜区二俣町鹿島489)
【料金】無料
【出品】作品:匠領域3年生14名
【協力】地域連携演習「旧田代家住宅活用プロジェクト」学生9名

「鹿の子展」は、浜松市と本学が連携し、文化財建造物の教育普及と展示活用の共同研究として「旧田代家住宅」を会場に実現したもので、匠領域3年生にとって「場」にふさわしい作品制作と、はじめての学外発表の機会となりました。

学生たちは事前の授業で、田代家、天竜川、二俣城跡及び鳥羽山城跡等について理解を深め、現地へむかいました。天竜川を渡りながら感じたこと、屋敷地に足を踏み入れた時の感覚、薄暗い土間の先に広がる空間、座敷と庭のつながり、光と風の心地よさ、それぞれの想いを、それぞれの手を用いて作品を創り上げ、展覧会を開催しました。

文化財の活用が推進される中で、昨年度の「てこころ展」に引き続き開催された「鹿の子展」。このような地域文化財を会場にする「ユニークベニュー」活動にも期待が向けられています。
「旧田代家住宅」とは
天竜川の畔に建つ「田代家」は、江戸時代に北鹿嶋村の名主と渡船場の船越頭も務めた旧家で、筏問屋として栄えた歴史があります。南北の重要な交通路でもあった天竜川は、古くから木材の搬出を筏流しに頼っており、田代家は戦国時代に徳川家康から朱印状を下されたことをきっかけに、天竜川を上下する舟や筏に課税する役所の請負をしていたことで大いに繁盛しました。安政東海地震後の安政6年(1859年)に建てられた木造2階建ての主屋は2015年に国の登録有形文化財に登録されました。1階正面の大戸を入ると土間が広がり、帳場、居間と続きます。主屋の南に広がる庭に面して式台玄関を構え、接客空間である座敷は二方向を開放して、庭と一体化した心地よい空間を創り上げています。2階にも小座敷が造られ、天竜川の筏場を眺望できたと言われています。木造瓦葺きの大型民家「田代家」は、良質な木材で組み上げられた筏問屋としての姿と、遠州地方の日本家屋の特徴、さらに日本の生活文化を今日まで伝え続けています。
展示計画
展示計画模型の画像
起こし絵図(展示計画模型)
展示準備の様子
鹿の子展 展示準備の様子
鹿の子展 展示準備の様子
作品展示の様子
鹿の子展作品画像
鹿の子展作品画像
鹿の子展作品画像
鹿の子展作品画像

地域連携演習「旧田代家住宅活用プロジェクト」

地域連携演習(全学科目)の授業として、「旧田代家住宅活用プロジェクト」を実施し、本学のデザイン学部デザイン学科3年生1名、2年生2名、1年生3名、文化政策学部文化政策学科1年生1名、芸術文化学科2名の計9名が、旧田代家住宅の活用を推進する活動と提案を行いました。
1「鹿の子展」との連携活動
デザイン学科の学生が中心となり、旧田代家住宅主屋の模型(起こし絵図)を制作し、「鹿の子展」の展示計画に協力しました。展覧会に向けて、旧田代家住宅屋敷内の整備活動及び各部屋の清掃・展示の検討を行いました。
地域連携演習「旧田代家住宅活用プロジェクト」の画像
地域連携演習「旧田代家住宅活用プロジェクト」の画像
地域連携演習「旧田代家住宅活用プロジェクト」の画像
2)旧田代家住宅の展示を考えるワークショップ(8月27日)
旧田代家住宅についての説明を聞き、理解した後、常時展示されている展示品と空間、展示方法などについて、文化政策学部芸術文化学科の立入正之教授のレクチャーを受けながら考えました。展示に関して意見交換を行った後、実際にその場で可能な展示作業を行いました。
ワークショップの様子
ワークショップの様子
ワークショップの様子
ワークショップの様子
ワークショップの様子
ワークショップの様子
3)成果発表会(10月23日)
旧田代家住宅及び鳥羽山跡、二俣城跡、二俣の町までの現地調査に始まり、「鹿の子展」との連携、建築調査、展示ワークショップを通して、各自が旧田代家住宅の活用に関する提案をまとめ、浜松市文化財課、浜松市天竜区まちづくり推進課、鹿島田代家交流振興会の皆様へ、学生有志による成果発表会を行いました。提案の中には、大学生が関わることで実現できそうなもの、将来的に実現させたいもの、ゆっくり滞在してもらうための工夫、庭をたのしむリーフレットの提案などがありました。
成果発表会の様子
成果発表会の様子

発行部署:企画室