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教員からのメッセージ

馬場 孝 教授

大学での4年間を通じて、
さまざまな「実現手段」を
身につけることができます。

馬場 孝 教授 文化政策学部
国際文化学科

研究・教育の取り組み内容について教えてください。

マーティン・グリフィス『国際関係の思想家50人』(1999年)という書籍には、ナショナリズム論の発展に貢献した思想家の一人として、アーネスト・ゲルナーの名があげられております。しかし同書でグリフィスは、ゲルナーの本来の専門分野は「哲学」であり、彼が取り上げたテーマは「分節社会」「イスラム社会研究」「歴史哲学」「社会科学方法論」「精神分析学批判」など実に広大な領域に及び、「ゲルナーのナショナリズムに関する理論は、彼が生涯をかけて追究したより大きなテーマと切り離して考えることはできない」と指摘しております。この「大きなテーマ」を解明し、ゲルナーのナショナリズム論を批判的に継承することが、現在の私の研究テーマです。

研究・教育の取り組みについてのモットーを教えてください。

学生時代「政治学」という授業の面白さと、紹介された文献を読んだ時の興奮は、数十年を経た今日でも忘れがたいものがあります。他の大学にも出かけて行き、「もぐり」で興味のある先生の授業をこっそり聞いたりもしました。就職活動にも、実生活にも、資格試験の準備にも、ましてや「政治」のためにすら役に立たない授業でしたが、面白さと興奮だけは本物でした。できることなら、何十年たったあとにも学生諸君の中に何かが残っているような講義を行いたい。モットーというより、理想であり目標です。ゼミについては、その理想とはほど遠い講義を受けて、それでもめげずにゼミ選択してくれた学生諸君の期待を裏切らないように全力を尽くす。これはモットーです。

学生(受験生)に向けてのメッセージをお願いします。

文化政策学部の「政策」という言葉は、狭義の政策(policy)にとどまらず、「あれこれやりくりして何とか実現させる方策・手立て」(management)という広い概念も含まれております。文化や芸術を地域や社会とつなぎ、生かしていこうとする実践志向の強い学部で、学生諸君は4年間を通じて、さまざまな「実現手段」を身につけることができます。国際文化学科も、教室や書籍で得た知識・技能を海外でのフィールドや地域社会に生かしたいと考える学生にとても向いている学科です。少しでもそのような気持ちを持ったとき、行動に移す環境・制度やサポートしてくれる先生方が揃っていることが、この学部、学科のよいところでしょう。しかし、本当に良いと思うのは、そのような「行動」が(学生にも、そして教員にも)「強制」されないことだと、個人的には思っております。
注)このインタビューは2014年度に行なったものです。
馬場 孝 教授
●担当学科・授業
国際関係論、国際紛争論、現代の国際社会、政治学
●研究分野
アーネスト・ゲルナーの思想・哲学とナショナリズム論
●主な経歴
東京大学大学院社会学研究科国際関係論博士課程単位取得退学
●著書
『現代国際関係論』(共著)『国際文化学への第一歩』(共著)
●論文・解説
「産業社会の論理とナショナリズム‐アーネスト・ゲルナーのナショナリズム論」