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教員からのメッセージ

片桐弥生 教授写真

まずは作品そのものをよく見ること。
多くの作品に向き合う中で対象となる作品の
位置づけが明らかになります。
 

片桐弥生 教授 文化政策学部
芸術文化学科

研究・取り組みの内容について教えてください。

日本美術史、特に近世以前の絵画史を専門にしています。なかでも物語や和歌などの文学と絵画の関係に興味を持ち、研究を続けてきました。研究テーマの一つである『源氏物語』の絵画化は物語成立後平安時代から現代にいたるまで、様々に行われています。長大な物語中のどのような場面がどのように絵画化されたのか、またそれが時代をこえてどのように継承され、変化したのか。その時代時代の『源氏物語』の読まれ方や、『源氏物語』に求められたものにも目を向けることで、その作品が何を意図して作られ、またどのように享受されたのか明らかにしていきたいと思っています。最近、興味を持っている名所絵についても、実際の景観の絵画化というだけでなく、その土地について和歌や物語などで培われてきた様々なイメージが、絵画にどう表現されているのかを考えたいと思っています。

研究・取り組みについてのモットーを教えてください。

まずは作品そのものをよく見ること。何が描かれているのか、どのように描かれているのか、多くの作品に向き合う中で対象となる作品の位置づけも明らかになってくると思います。またその作品が制作された時代を知るために、同時代の記録類(日記や和歌集、漢詩集など)を読むことで、その作品の制作された背景や、どのように制作されたのか、また鑑賞されたのかが見えてきます。現在は美術館のケースの中などにあるものが、制作当時の人々のどのような思いをのせ制作され、また楽しまれたのかその様子が実証的に立ち上がるような研究を心がけたいと思います。
注)このインタビューは2015年度に行なったものです。
片桐弥生 教授
●担当学科・授業
芸術文化学科、美術史(日本・東洋) 芸術特論D 鑑賞と批評など
●研究分野
日本美術史
●主な経歴
大阪大学文学部助手(1988年)
静岡県立大学短期大学部講師(1992年)、助教授(1999年)
●著書
『石山寺の美―観音・紫式部・源氏物語―』(共編著、大本山石山寺・株式会社アートワン、2008年)など
●論文・解説
「美術史における源氏物語―源氏絵の場面選択と図様の問題を中心に―」(『源氏物語研究集成』第14巻、風間書房、2000年)「歌仙絵の世界―業兼本図様の成立と展開を中心に」(『和歌をひらく』第3巻、岩波書店、2006年)
「「紫式部石山詣図」(宮内庁書陵部蔵)と『源氏物語竟宴記』」(『静岡文化芸術大学研究紀要』第14巻、2013年度)など