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教員からのメッセージ

加藤裕治 准教授写真

直接足を運び経験すると、
情報やメディアの中とは
また違ったものが見えてきます。

加藤裕治 准教授 文化政策学部
文化政策学科

研究・取り組みの内容について教えてください。

私は新聞やテレビといったメディアが社会に与える影響について、理論と実証の両面から研究しています。近代に登場した(マス)メディアは、人々を結びつける重要なテクノロジーとして登場し、通常の日常生活では知り得ない情報や映像を人々に運び込むことになりました。ところが現在、私達の生活に深く入り込んでしまったがゆえに、逆に私達の行為や経験、そして生活に対するメディアの影響が見えにくいものになっています。そのため、私は歴史研究をベースに、メディアが私達の行為や生活に与えた変化(新聞が毎日発刊されることが社会に与えた変化を考えてみて下さい。)を捉え直すことを研究のテーマとしています。そして、メディアと社会の関係理解の再構築を目指しています。また、こうした基礎的な研究をもとに、メディア利用の実践(地域とメディア、広告や広報の展開など)へと応用したり、メディアと関係の深い消費文化について考えることも研究のテーマとしています。

研究・取り組みについてのモットーを教えてください。

メディアの研究をしているのですが、現実の場にも足を運び、いろいろな差異を観察することを楽しんでいます。昨年も学生さんがスタジアムと地域の関係を調べたいということで、ゼミで各地のスタジアムにJリーグの試合を見に行きました。サッカーファンやサポーターの人には当たり前なのでしょうが、チームのプレースタイルの違いだけでなく、試合前のイベント、ホームとアウェー選手紹介の極端な違い、選手紹介のアナウンスの口調やテンポ、そして演出方法、またサポーターの応援スタイルに、さまざまな違いがありました。またスタジアム周りの出店状況や、フードやドリンク(そしてお酒)にも、そのスタジアムのある地域の特徴が現れています。私はそれまであまりサッカーを見に行かなかったので、各スタジアムの違いを、喜々として学生さんに質問してしまいました。
現在はメディア化・情報化が進み、情報だけでわかった気になることも多いのですが、こうして直接足を運ぶと、いろいろなものが見えてきます。メディアを研究しているからこそ、外へ出て、いろいろなものを見て、食べて(?)、経験して、メディアや情報と「外側」の差異を見ていきたいと考えています。
注)このインタビューは2014年度に行なったものです。
加藤裕治 准教授
●担当学科・授業
文化政策学科・「情報社会論」「マスコミュニケーション論」「広報論」「ジャーナリズム論」「情報メディア論」
●研究分野
文化社会学、メディア論
●主な経歴
株式会社文化科学研究所(2004年から2012年)
早稲田大学プロジェクト研究所 文化社会研究所 招聘研究員(2008年から2012年)
●著書
『全訂新版 現代社会を学ぶ人のために』(共著、井上俊編、世界思想社、2014年)
『無印都市の社会学』(共著、近森高明・工藤保則編、法律文化社、2013年) ・・・など
●論文・解説
「NHK『明るい農村(村の記録)』制作過程と「農業・農村」へのまなざしの変容-番組制作者に対する聞き取り調査をもとに」(舩戸修一、武田俊輔、祐成保志との共同執筆、『マス・コミュニケーション研究』85、日本マス・コミュニケーション学会、2014年) ・・・など