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教員からのメッセージ

曽根秀一 講師写真

よりよい社会づくりのために、
地域や社会と密接にかかわっていきたい

曽根秀一 講師 文化政策学部
文化政策学科
高層ビルの夜景をバックに曽根講師を囲んで海外の方々と集合写真

研究・取り組みの内容について教えてください。

私は、経営学とくに経営戦略、組織、史的な観点から大小様々な「企業(会社)」について、フィールドワーク、理論や方法論を通じて研究を進めています。とりわけ、わが国の「老舗企業」、「長寿企業」などと呼ばれる長期の企業活動に注目し、研究を行ってきました。さらに、その老舗企業の99%がファミリービジネス(同族企業)といわれ、長期存続との関係性についても考察しています。こうした老舗企業やファミリービジネスの研究は、今でこそ盛んに論じられていますが、実はごく最近(10年程前)までは、ほとんど着目されていませんでした。ここでは紙面の関係上、その理由については省略しますが、先行研究がほとんどなく、手探りで研究を進めたことを懐かしく感じます。その中でもさらに研究蓄積が皆無に等しい技能系の老舗企業(建設、鋳造など)の調査に着手しました。そのため時間や労力もかかり、大変な世界に踏み込んでしまったと思ったこともありました。しかし、研究にご協力くださった企業の方々が成果報告を聞かれて、喜んでくださる姿を垣間見て、学者冥利に尽きる事を常々感じます。
近年は、研究もより広がり、国際比較や日本的経営を学びに来日される海外企業の経営者、経営幹部の方々にも授業を行っています。また、研究成果を国内外の学会報告、雑誌等に公刊し、より多面的なご意見をいただき多くの気づきもあります。こうした取り組みを通じて、国際的な架け橋の一助になればと考えています。

研究・取り組みについてのモットーを教えてください。

私のモットーは、とにかく学生さんに経営学を好きになっていただけることを心がけています。そのためには、自身が研究に精進していなければその魅力や思いは伝わらないと考えています。その考えの背景には、福沢諭吉翁の言葉が常に私の胸にあります。その著書『学問のすすめ』において、福沢諭吉翁は、学者の社会的責任について論じると同時に、傲慢かつ自己中心的で社会に貢献しようとしない学者に対し、「活用なき学問は無学に等し」、「学者の懶惰と言うべし」と厳しく戒めています。そして、経営学という学問の特性からも、企業経営の一助に限らず、よりよい社会づくりのために、地域や社会と密接にかかわっていきたいと思います。また、これまでに得た知識や成果を各方面にわかりやすく情報提供し、地域の産業や振興、海外の方々にもお伝えし、さまざまな形で広く社会貢献していくことが学者としての使命であると考えています。
そして、福沢諭吉翁の「事物の有様を比較して上流に向かい、みずから満足することなきの一事にあり」との思いで、自己満足することなく、どこまでも誠実に、日々精進、日々発見を心がけ、学者の本分を全うしてまいりたいと思います。
注)このインタビューは2014年度に行なったものです。
曽根秀一 講師
●担当学科・授業
中小企業論、グローバルビジネス論など
●研究分野
経営学、経営戦略論、経営組織論
●主な経歴
大阪経済大学 経営学部 講師(2012年から2014年)
メモリアル大学(カナダ)客員研究員(2012年から2014年)
帝塚山大学 経営学部 講師(2014年から2015年)
●著書
「経営学の広がり (Part.1)-ファミリービジネスのマネジメント」(『1からの経営学』、碩学舎、2012年)
●論文・解説
“Cultural Approach to Understanding the Long-Term Survival of Firms: Japanese Shinise Firms in the Sake Brewing Industry”(共著, Business History, Vol.57, 2015)
「老舗企業の継承に伴う企業家精神の発露ー宮大工企業による事業展開の比較分析ー」(単著,『日本ベンチャー学会誌』No.22, 2013年)
 “Business Systems of Long-Established Family Firm”(共著,『ファミリービジネス学会誌』第3号, 2013年)