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教員からのメッセージ

高木邦子 准教授写真

青年期に焦点をあて、
3つの切り口で調査研究を行っています。

高木邦子 准教授 文化政策学部
国際文化学科

研究・取り組みの内容について教えてください。

青年期に焦点をあてて幾つかのテーマで調査研究を行っています。第一に「青年期の対人関係における否定的対人感情の影響」についてです。苦手な他者とはどんな人か、苦手な他者の存在が私たちの行動にどのような影響を与えるのか、といった側面について検討しています。第二に「有能感の様相とその影響、形成要因」についてです。有能感が私たちの行動に及ぼす影響については広く知られていますが、他者を見下すことで自分の有能さを意識する「仮想的有能感」のように必ずしも適応的とは言い難い側面も指摘されており、こうした有能感の多様な様相とそれらの機能に注目しています。また、最近になって第三のテーマとして、さまざまなキャリアパスを経た「職業的社会化」について関心が高まっています。職業選択の過程、就職後に感じるギャップやその克服、さまざまなライフイベントを経て生じるキャリアの調整や選択、決断の過程と決断などキャリアパス全般に影響する要因を整理したいと考えています。

研究・取り組みについてのモットーを教えてください。

現在関心を持っている複数の研究テーマは、意図したわけではありませんが、いずれも「一見ネガティブなものにも生産的な側面がある」という立場を取る点で一貫しています。たとえば、「苦手な他者」の存在は、負けたくないから頑張ったり、他の人との関係を強めたり、社会的関係の維持や協力を学ぶ後押しにもなり得ます。「仮想的有能感」の高い人は、他者を見下す言動から客観的には“嫌な奴”かもしれませんが、有能感が全く持てない状態がいかに辛いかを考えると、そうならないように対処した結果とも考えられます。「なりたい仕事」が見つからない人や希望する職に就けない人は悲観するかもしれませんが、働き始めてからその職でのやりがいを見出してキャリアを深める力や、別の夢を持った場合にキャリアを再構成する力こそがキャリア発達に重要との考え方もあります。こうしたやや楽観的な視点が最近強く自覚されるようになってきています。
注)このインタビューは2014年度に行なったものです。
高木邦子 准教授
●担当学科・授業
教職課程担当 教育心理学・教育方法・教育相談・青年心理学・人間発達と環境 教職実践演習など
●研究分野
教育心理学 青年心理学 パーソナリティ心理学
●主な経歴
名古屋大学教育発達科学研究科博士課程(後期課程)短期取得後退学(2005年)
博士(教育心理学)取得(2005年)
聖隷クリストファー大学社会福祉学部助教(2007年)
聖隷クリストファー大学社会福祉学部准教授(2010年)
静岡文化芸術大学文化政策学部国際文化学科准教授(2011年)
●著書
「文化と心理学」(共著,『国際文化学への第一歩』,すずさわ書店,2013年)
「苦手な人とかかわる」(共著,『コンピテンス―個人の発達とよりよい社会形成のために』,ナカニシヤ出版,2012年)
「感情経験」,「他者認知」,「親との関係」,(共著,『仮想的有能感の心理学』,北大路書房,2012年)
●論文・解説
「現代の学生気質とその対応」(単著,『作業療法ジャーナル』4(4),2010年)
「専門職養成課程の職業的社会化における現場実習経験の効果2 自尊感情と他者軽視傾向に注目して」(単著、『聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要』,8,2009年)
「社会福祉学部における実習期待の規定因 ―職業意識および福祉現場経験との関係について―」(単著,『聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要』,7,2008年)
「専門職養成課程の職業的社会化における現場実習経験の効果1 ―社会福祉援助技術現場実習の影響の探索的検討―」(単著,『聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要』,6, 2007年)
"Effects of age and competence type on the emotions: Focusing on sadness and anger"(Japanese Psychological Research, 49(3),2007,共著)