イベントレポート

2022年09月01日

県民の日特別公開講座「三遠南信地域の祭りと芸能-おくない・ひよんどり・田楽-」を開催しました

8月23日、県民の日にあわせた特別公開講座を開催しました。
今年度は本学のある三遠南信地域の伝統芸能にスポットを当て、本学客員研究員の宮嶋隆輔氏を講師におこない(おくない・ひよんどり・田楽)の概要やそのエッセンスについて講義をいただきました。
県民の日公開講座会場の様子

三遠南信地域とは、三河・遠江・南信濃一帯の地域のこと。それらの山間地集落には、古くから寺院などで新年の国家安泰、五穀豊穣や豊作祈願が結び付いた村落の年頭行事として行われてきた伝統芸能が各地に伝わっています。特に冬季に行われる祭事では様々な芸能が演じられ、その多くは中世後期から脈々と伝わるものだといいます。

芸能には演目には、賑やかな歌舞で神々を愉しませる「神楽」、するどい刃で邪気を切り払う「剣の舞」など賑やかで笑いを誘うようなものから、鬼が暴れまわり激しく炎を撒き散らす「鬼の舞」や悪魔を踏み鎮める「ひのう」「しずめ」など、迫力があり厳粛な雰囲気を伴うものなど、様々なものがあります。
川名のひよんどり
川名のひよんどり
懐山おくない
懐山のおくない
宮嶋隆輔氏

今回の講義で、宮嶋氏は「福を招く」「災いを鎮める」の二つの視点から伝統芸能を紹介。寺野ひよんどり「ユイタテ」(神楽歌)や『曽我物語』の一節を例に、おくない・ひよんどりでは、中世(鎌倉時代から室町時代)に流行した今様・神歌、小唄などの歌謡が現在も歌われていることを示しました。

祭事の行われる現地で実際に見聞きしてきた宮嶋氏だからこそ話せる内容と、映像資料を用いた講義で、聴講した150名の参加者の皆さんは熱心に耳を傾けていらっしゃいました。参加者からは、「京都・奈良からの文化までの影響が色濃く残り、それをさらに発展させ今も脈々と伝えられている文化があることを知ることができた」「地域の文化・芸能等については忘れられてしまったものがたくさんありますが、後世に伝えていくことがとても大切」といった感想がありました。

 

発行部署:企画室