教育・研究

2021年06月25日

「地域福祉論」の授業で本学大学院修了生による特別講議が行われました(6月14日開催)

6月14日(月曜日)に、文化政策学科のカリキュラム「地域福祉論(小林淑恵准教授)」の授業で、外部講師による特別講義が行われました。今回の講師は「静岡県障害者文化芸術活動支援センター みらーと」の鈴木結子さんです。鈴木さんは本学大学院を2020年に修了し、現在は静岡県浜松総合庁舎内の「みらーと」西部拠点のコーディネーターとして活動を行っています。
講義では、障害者の文化芸術活動の推進に関する法整備や、厚生労働省の「障害者芸術文化活動支援事業」の枠組み等を説明しつつ、「みらーと」の実際の活動やその目的についてご紹介いただきました。
静岡県障害者文化芸術支援活動センター みらーと コーディネイター 鈴木結子さんの画像

「みらーと」の活動

講義スクリーン画像
「みらーと」は障害を持つ方々の文化芸術活動を支援するために、NPO法人オールしずおかベストコミュニティが2018年に静岡県から受託した事業により開設し、現在は静岡、沼津、浜松の3拠点にて活動をしています。主な活動は、オープンアトリエやワークショップを開催し、障害のある人に絵を描く機会を提供すること、また福祉事業所や個人宅に出向き、眠っている優れた作品を発掘し、展示会を開催することなどです。
現在、静岡県の障害を持つ方々の平均月収(工賃)は16,285円で、時給
換算すると204円という安さから見て、決して待遇が良いとは言えない現状
があります。このような課題について、「みらーと」はアートを切り口にその解決に取り組んでいます。展示方法や販売場所を工夫し、作品に価値を見出したり、また、著作権やアート活用について学ぶセミナーを開催するなど、作家の工賃向上に繋げる支援をしています。今後もさらなる支援を進め、障害を持つ方々と地域住民のお互いの理解促進を図ることも「みらーと」の役割だと鈴木さんは説明されました。
講義の後半は「みらーと」が主催するファッションショーの映像「Look@Me」の鑑賞と質疑応答が行われました。

受講した学生らは、政策による全国規模の支援活動を知り、授業でも学んだ多様な専門家ネットワーク形成の重要性への気付き、障害者の就労状況への関心の広がりなど、地域福祉に関する様々な実践的理解を深めていました。

主な質問内容をご紹介します。

Q.オリンピック・パラリンピックの流れがある中、障害者の文化芸術活動や工賃について、何か影響や変化はあるのか?
「みらーと」が設立されてからまだ3年しか経っていませんが、福産品を作る活動では専門家の指導のもと、少しずつ質の高い物が作れるようになり、値段が高くなってきています。大手デパートで売れるようになってきまし た。これからもっと進化するのではと思います。 

Q.著作権セミナーでは、障害のある人に手話などで伝えているのか?
セミナーは障害者本人にお話しするのではなく、その保護者や企業の方々を対象としていますので、手話は使い ません。

 Q.舞台パフォーマンスの出演者はどのようにしてイベント情報を得ているのか?
SNSなどで告知しています。また、福祉事業所に出向いて宣伝をしています。

 Q.本学大学院修了後の経緯は?
大学院に入る前の3年間は会社勤めをしていました。大学院では舞台美術について学びました。私は学ぶことが 楽しく、たくさんのことをインプットしてきましたが、今度はそれをアウトプットしたいと考えていたとき、偶然 「みらーと」の求人を見て興味を持ち、応募して今に至っています。

発行部署:企画室