教育・研究

2021年07月14日

文化政策学科「地域福祉論」にて第2回特別講義が行われました(7月5日開催)

文化政策学科専門科目「地域福祉論」(担当:小林淑恵准教授)では、基本的な理論や制度・政策を理解した上で、実際に地域福祉の施設やサービスを見て感じることを重視しています。しかしながら現在のようなコロナ禍においては施設への訪問はハードルが高いため、現場でお仕事されている方を講師としてお招きし、地域の福祉活動について理解を深める授業を行っています。

藤川さんの講義の様子
藤川さんの講義の様子
社会福祉法人 聖隷福祉事業団 浜松市中障がい者相談支援センター センター長 藤川晴海さんの画像
第2回目となる今回の講師は社会福祉法人 聖隷福祉事業団の藤川晴海さんです。藤川さんは明治学院大学の社会学部社会福祉学科をご卒業後、社会福祉士として聖隷福祉事業団に就職し、20年以上福祉の仕事に携わっています。高齢者を対象にした福祉の現場を長く経験され、5年前には行政より受託して行われる「地域包括支援センター」の開設にあわせて赴任し、センター長としてご活躍されていました。現在は、浜松市中区にある全世代対応型福祉施設 「和合せいれいの里」内、「浜松市中障がい者相談支援センター(浜松市受託事業)」のセンター長として勤務されています。 講義では、全国規模の社会福祉法人である聖隷福祉事業団についてのご紹介や職員の方々の働き方、「福祉」とは何かという根本的な問い、また支援センターでの具体的な支援業務などについてお話を伺いました。

地域福祉とは

社会福祉法人 聖隷福祉事業団 浜松市中障がい者相談支援センター センター長 藤川晴海さんの画像
はじめに福祉とは何かについて確認した際、「一人ひとりのしあわせを社会全体で支えること」であり、憲法13条に規定されている幸福追求権は、そういった意味でも福祉を保証している、というお話がありました。「福祉」は限られた人達だけのものといったイメージがありますが、誰にとっても身近であると藤川さんは言います。人は生まれてから死に至るまで、予期できぬ事故や病気など何らかの生活課題に直面します。 少子高齢化や非正規雇用の増加、共働きやひとり親、単独世帯の増加など社会背景の変化に伴い、福祉的ニーズも多様化しています。近親者だけで問題が解決できないときのセーフティーネットとして、また私たちの生活がより幸福で豊かであるように、社会全体で支援するのが「福祉」です。

相談支援の事例

藤川さんは困りごとのある方々の相談に乗り、状況把握から問題を明確化し、ご本人やご家族と 一緒に考えながら支援をされています。また地域の方々が互いに見守ることの出来る体制作りや地域から明らかになった課題を行政に投げかける広域な活動もされています。 ある一人暮らしの高齢女性に認知症が疑われたケースでは、病院での受診や公的サービスの活用についてご本人が納得されるまで何度も 話し合い、さらに近隣の方々を集め、認知症に対する理解を深めるための声のかけ方や接し方 などを話し合う場を設けたそうです。他にも、新しい土地に移り住んだご高齢者の方の孤独を解消するために集いの会を 開催し、地域参加を促すといった具体的な事例をご紹介いただきました。
社会福祉法人 聖隷福祉事業団 浜松市中障がい者相談支援センター センター長 藤川晴海さんの画像
受講した学生からは、「社会福祉士」や「民生委員」のような授業で学んだ専門職の方々が、どのような流れでクライエントの困り事に対応しているのかを、詳しく知ることができた。 授業ではマクロ的な視点での地域福祉を学んでいたため、今回、現場で実際に福祉活動を行っている方のお話を聴き、福祉というものを身近に感じることができた。実際に考案した政策を実施する上で、机上の空論ではなく現実性のあるものにするためにも、現場の視点はとても重要であると感じた。 などの感想が寄せられていました。

以下主な質問をご紹介します。

Q. 「浜松市中障がい者相談支援センターでは主にどのような障害のある人を受け入れているのか?
障害と名の付く全部の方々を対象としています。また、困りごとがある方や、障害を疑われている段階の方々もです。

発行部署:企画室