教育・研究
2021年08月25日
デザイン学部基礎科目「デザイン思考」 が本になりました(8月25日発行)
本書は「デザイン思考」の講義を担当する伊豆裕一教授(デザイン学科)がまとめたものです。

また、同サイトでは、本学の学生たちによる「実践CARDs」を使用したワークショップの映像も公開されています。


書籍情報
「はじめてのデザイン思考 基本BOOK&実践CARDs」
伊豆 裕一:著ISBN:978-4-487-81519-7
定価1,980円(税込)
発売年月日:2021年08月25日
本書「あとがき」より(抜粋)
本書の執筆を考えたきっかけは、2019年にゼミ生として私の研究室を訪れた尾方航君から、卒業研究で「デザイン思考」を取り上げたいとの相談を受けたことです。話を聞いてみると、就職活動の面接で企業の担当者から「君はデザインを勉強しているようだけれども、デザイン思考もできるよね」とたずねられたものの、自信を持って答えることができなかったとのことです。そこで、卒業までにデザイン思考をマスターしたいとの希望であったため、「デザイン思考」の授業でアシスタントを務めてもらうことにしました。
2019年度の「デザイン思考」には、デザインを学び始めたばかりの1年生を中心に、他大学からの聴講生も含めて57名の学生達が参加しました。尾方君は、授業の中で6名から7名ずつのグループに分かれて行う、グループワークの サポートからはじめました。毎回の受講生の反応や理解の様子を観察しながら、その経過を自分なりにまとめ、時にはそこから得られた結果を受講生たちにフィードバックしました。そして、卒業制作では、デザイン思考の各ツールを3ステップで学ぶことのできる「やさしいデザイン思考カード」を提案しました。
そこで2020年度は、ゼミの後輩となる庵原菜摘さんに協力してもらい、「やさしいデザイン思考カード」で提案された3ステップを取り入れた授業を行いました。学生達の反応を見て、必要に応じて改善を加えながら授業を進めたところ、楽しく学ぶ様子とともに高い学習効果を確認することができました。
この2年間のプロセスをまとめると、次のようになります。
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一緒に授業に参加することで受講生達の気持ちに共感する。
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受講生達の反応や理解の様子を観察しながら、どうしたら楽しく学ぶことができるかを見極める。
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3ステップで学ぶことのできる学習カードを提案する。
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学習カードを授業で実際に使用し、受講生の反応を確認しながらさらに改善する。
すでに本書を読まれた皆様はもう気づかれたと思いますが、この「気持ちに共感する」、「ポイントを見極める」、「提案してみる」、「実際に使用してみる」、「さらに改善する」といったアプローチこそがデザイン思考のプロセスとなります。いわば、「デザイン思考を用いて考えた、デザイン思考を楽しく学ぶ方法」が本書となります。
2020年度、新型コロナウイルス禍のなか10月から再開した対面授業は、密を避けるため席を分散し、1回のディスカッションも15分以内に抑えるなどの制約のなかで行われました。しかし、「デザイン思考」には、大学に入って始めての対面授業に臨む多くの1年生たちも含めて、前年度を超える79名の学生が参加しました。
そこで学生達に、先輩が考えた3ステップの学習方法を含む授業の内容を、デザイン思考を実践的に学べる本にしたいと相談したところ、大勢が協力を申し出てくれました。デザイン思考の考え方は生活のさまざまな場面で実践できることを、多くの人達に知ってもらいたいと考え、共感してくれたものと思います。
発行部署:企画室