教育・研究

2022年07月25日

「インテリアデザイン論」にてアロマを使った空間づくりについてゲスト講義が行われました

デザイン学科専門科目「インテリアデザイン論」(担当:植田道則教授)にて、株式会社ベル・デザインの代表取締役白本鐘一郎さんをお招きしたゲスト講義が行われました。

株式会社ベル・デザインは、主にエステサロン、アロマトリートメントサロン、オーダーメイドスーツサロンの運営やコンサルティングなどを行う企業。 社名に「デザイン」とあるのは、デザインによって問題解決をしたいという白本さんの思いがあります。今回の講義では「知られざるアロマと香りの可能性」と題し、主に香りによる空間デザイン事業に関する内容です。

現代は視覚依存時代、と前置きした白本さんは、学生に対して「最近、鼻を使いましたか」と問いかけました。日常において、情報収集のほとんどは目と耳でおこない、鼻は意識しないとほとんど使うことはありません。動物の中でも人間だけが大きく進化してきた理由の1つに、五感のバランスが良いということがあります。ベル・デザインでは、単に「良い香りの空間づくり」にとどまらない「嗅覚がもつ本質的な意味と価値」にアプローチしています。

世界のアロマ事情を知って

ベルデザイン・白本さん

同社アロマコンサルティング事業部で手がけるのは、香りを活用した空間のデザインを中心に、オリジナルブレンドによる企業やブランドのブランディング。精油の製造と製品開発は自社の蒸留施設で行います。空間デザインでは、アパレルショップ、商業施設、ホテルやオフィスなどに専用ディフューザーを使用し「空間価値の向上」を目的に香りを導入しています。

もともとアロマ事業に取り組むきっかけとなったのが、白本さんのフラン スでのご経験でした。フランスでは盛んに行われている「メディカルアロマテラピー」。ヨーロッパではドイツやオランダでも医療分野にアロマが取り入れられています。フランスのアロマ蒸留施設を訪ねたとき、就学前の子どもたちが模型を使ってアロマ蒸留のレクチャーを受けていたのを目にし、驚いた白本さん。 日本以上に保健医療制度の将来性を不安視しているフランスでは、国民自らが行う自然療法の一環として、幼い頃から学ばせているのです。
日本と世界でのアロマへの概念の違い。日本ではアロマと謳っていても天然精油は含まれていない商品も多くあります。
ここで、講義内でワークショップを実施。学生ひとり一人に市販のアロマラベンダーオイルと天然精油ラベンダーオイルのそれぞれを染みこませた試行紙が配られます。「どちらが天然精油ラベンダーか」と問われ手を挙げる学生たちでしたが、意外にも少数派が正解となりました。
試香紙
試香紙を嗅ぐ学生

アロマの様々な分野への活用

ベル・デザインでは、アロマの機能を活かし、教育施設やスポーツでも導入実績があります。
学校教育の現場では、自律神経のしくみや、自らの感性を磨く意味での嗅覚の働きを小中学生にも分かりやすく解説。 スポーツ分野では、カーリングの日本代表選手に香りでのアドバイスを行い、試合中の平常心の維持や疲労回復などに活かされています。
また、オフィスにおいても天然精油がもつ様々な効果を活用し、集中力の向上や、クリエイティブな思考を生み出す空間の提案を行なっています。総合商社丸紅の新社屋では、全館の香りプロデュースを実施。記憶、感情に強く影響する嗅覚は、商業施設や店舗におけるマーケティングへの活用が期待できます。副交感神経を優位にする香りを噴霧することで、顧客の滞在時間を伸ばし、客単価やセット率の向上に大きく貢献しています。
建築やインテリアを学ぶ学生にとって、アロマと結びつけて空間づくりを考える良い機会となった今回の講義。最後に、ベル・デザイン様からは本学をイメージしてブレンドしたアロマオイルをいただきました。オレンジなどの柑橘系のすっきりとした中に ウッドのスパイスを感じる、とても素敵な香りです。
白本さんはじめ、ベル・デザインの皆様、ありがとうございました。

発行部署:企画室