学生・卒業生の活躍

2022年10月25日

デザイン学科卒業生・加藤天音さんの卒業制作をもとにした書籍が出版されました

デザイン学科卒業生の加藤天音さん(2021年度卒業)が、卒業制作をもとにした小説作品『遠回りして、ここにきて』(文芸社)を出版しました。

書籍概要

「遠回りして、ここにきて」書影
『遠回りして、ここにきて』
加藤天音 著
石原寧織 本文挿絵
岡田美憂 カバーイラスト
文芸社 2022年10月
ISBN 978-4-286-25000-7

加藤天音さんからのコメント

本の内容

「ここに何しにやって来たの?」そう問いたくなるような、都会でも田舎でもない地方都市に、集まって暮らす人々が、この物語の主人公です。この国全体を眺めてみると、決して少なくない部分が、必要に応じて開発され、残された部分は過去からの記憶として残り、適度に住みよく開かれていった地方の街です。その街で暮らす人々の生活は、ドラマにするには物足りないけれど、それぞれが違う視点を持つ。その異なる視点と背景をもつ人間が、互いの顔を横目で見ながら生活を共にしていくことで、生じる空気の動きを書き留めました。何もないはずがない街で、過ぎ行く一年の生活と、居合わせた人々の記憶が重なりあうところに生まれる物語です。

書籍出版に寄せて

デザイン学科の卒業制作として制作した本「風景をよむ」に、少し加筆をして出版させていただきました。制作中や卒展での展示のときに、自分が書いた文章を、他人が手に取って読んでくれるというのが嬉しくて、叶うのなら普段から原稿を読んでいる出版社の方の感想も頂戴したいと思い送付したところ、このような形で綺麗にまとめる機会をいただきました。再編集に際し、同級生の岡田美憂さんと、石原寧織さんにイラストを提供してもらいました。また、その他、多方面の方々からのご協力によって出版することができましたので、この場を借りてお礼申し上げます。

読者へのメッセージ
現在大学に通われている方、また、本学に興味のある学生さんが、この本を読んだら「一体どんなことを学んでいたのだろう」と不思議に思うかもしれません。大学は、吸収しきれないほどの知識で溢れていて、経験の機会も数多く与えられます。それを受け取りながら、ひたむきに前に進んでいくことも勿論大事ですが、一度立ち止まって、今の自分には何が見えて、それについてどう思うのだろうと、自分だけの感性に問いかける時間も必要だろうと思います。去年の冬、卒業制作として何を提示したらいいのか分からなくなったときに、手を止めて、腰を降ろして、周りをぐるっと見渡したら、こうして見てきた風景と、それに伴う心の動きを書き留めたいと思いました。この本を読んで、そのような気持ちになっていただけたなら幸いです。

発行部署:企画室