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2022年07月20日

ブラジル独立200周年記念「オスカール・ナカザト氏講演会」が開催されました

本学ギャラリーにて、在浜松ブラジル総領事館の主催による「オスカール・ナカザト氏講演会」が開催されました。

2022年はブラジル独立200周年にあたり、記念事業としてブラジル大使館は様々な事業を展開しています。その一環で進めるブラジル文学の出版事業で、日系3世のブラジル人作家であるオスカール・ナカザト氏の著作『ニホンジン』の邦訳出版を記念し、ナカザト氏が初来日。国内でも在日ブラジル人が最も多い都市の一つ、浜松市にある本学でも講演会を開催することとなりました。
在日ブラジル総領事
ガルシア・アウデーモ総領事
講演に先立ち、在浜松ブラジル総領事館のガルシア・アウデーモ総領事が挨拶。オスカール・ナカザト氏のご紹介をされました。
オスカール・ナカザト氏は、1963年、ブラジル・パラナ州マリンガ生まれ。現在はパラナ連邦工科大学教授を務めています。2011年に小説『ニホンジン』(Nihonjin)を発表。同作が第1回ベンヴィラー賞とニッケイ文学賞を受賞し、さらに翌年2012年にブラジルの文学賞であるジャブチ賞を受賞しています。ナカザト氏は祖父がブラジルに渡った日本人で、日系三世にあたります。
『ニホンジン』はブラジルの農園で働くため、日本から移住した移民一世とその家族の物語。移民第一世代から第三世代までのそれぞれについて描いており、世代間の争いや考え方の違い、アイデンティティの捉え方など、日本人移民の歴史と現代にも通じる様々な課題を、日系三世であるナカザト氏ならではの視点をもちながら、物語として紡いでいます。
オスカール・ナカザト氏
オスカール・ナカザト氏
講演会の様子

昨今、移民に関する課題はブラジルだけではなく、世界的に共通したものとなっています。日本人移民の歴史は日本国内はもちろん、ブラジル本国でもあまり知られていないため、ブラジルで小説として出版され、そして今回邦訳されたことは非常に意義のあることと言えます。

講演会の様子
講演会のあとは書籍販売を開催。本学で学ぶ在日ブラジル人学生たちも訪れ、ナカザト氏に質問するなど、会話を楽しんでいる様子でした。今回の講演会やこの本を通して、移民や多文化共生について考える機会となりました。

書籍情報

『ニホンジン』書影

ブラジル現代文学コレクション「ニホンジン」

オスカール・ナカザト 著
武田千香 訳
水声社 2022年6月
ISBN 978-4-8010-0648-5

発行部署:地域連携室