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2026年07月24日

【授業紹介】「観光ビジネス論」にてゲストを迎えた講義を実施しました

文明観光学コース科目「観光ビジネス論」では、観光をめぐる研究・理論と観光の現場を取り結ぶような知識について学び、より良い観光/ツーリズムのあり方について考えています。今回の講義では、独立行政法人国立文化財機構 奈良文化財研究所 飛鳥資料館館長の加藤真二氏を講師に迎え、「世界遺産『飛鳥・藤原の宮都』と飛鳥資料館」をテーマに特別講義を実施しました。

講義では、飛鳥・藤原地域が世界遺産登録を目指す背景と、その価値について詳しく解説されました。飛鳥・藤原の宮都は、6世紀から8世紀に中国大陸や朝鮮半島との交流を通じて、日本で初めて本格的な古代国家が形成された過程を示す貴重な考古学遺跡群です。宮殿や寺院、古墳など19の構成資産から成り、日本の古代国家成立を物語る遺跡として国際的にも高い評価を受けています。

一方で、飛鳥・藤原の遺跡の多くは地下に埋もれており、現地を訪れても「広い原っぱや田園風景」にしか見えない場所が少なくありません。加藤氏は、こうした考古学遺跡の価値を来訪者に伝えるためには、発掘調査の成果を分かりやすく展示・解説する博物館や資料館の役割が極めて重要であると説明しました。奈良文化財研究所では、発掘調査だけでなく、展示や教育普及活動、史跡の保存・管理、世界遺産登録に向けた調査・支援など、多面的な取り組みを行っていることも紹介されました。

また、世界遺産登録は単に観光客を増やすことが目的ではなく、人口減少や高齢化が進む地域社会を支える重要な契機にもなることが語られました。飛鳥地域では厳しい景観保全制度のもと、古代から続く田園風景が守られてきましたが、その一方で人口減少や耕作放棄地の増加といった課題も抱えています。こうした現状を踏まえ、文化財を「保存するだけ」の存在ではなく、地域の持続的な発展につながる「文化資源」として活用していくことが求められていると説明されました。

スライドを使用して説明する加藤さんの様子

加藤氏は、「文化財の価値とは地域の記録と記憶であり、それを未来へ受け継ぐ担い手は地域の人々である」と強調しました。文化遺産を守るためには地域社会そのものが持続していくことが不可欠であり、そのためには観光をはじめとする文化資源の適切な活用が重要になると述べました。

学生たちは、世界遺産の価値を「見るもの」ではなく、「地域の歴史や暮らし、人々の営みを未来へつなぐ仕組み」として捉える新たな視点を学びました。文化財の保存と観光振興、地域活性化をどのように両立させるかという課題について理解を深めるとともに、持続可能な観光のあり方や、文化資源を生かした地域づくりについて考える貴重な機会となりました。

発行部署:企画室