ゼミ紹介

PICK UP SEMINAR 11

ヨーロッパの歴史と文化

永井 敦子 教授  研究分野:フランス近世都市史
利根川 ひかる TONEGAWA Hikaru
4年生
普段のゼミでは、文献を読み、その内容について先生と議論することで理解を深め、卒論に備えています。素朴な疑問こそ真剣に向き合い、答えが出なくても疑問について考える過程を楽しむことを学べるゼミです。

研究分野は、中世初期のキリスト教修道院についてです。以前からキリスト教文化について関心があったため、キリスト教文化の一つの形態として、修道院について学ぶことを決めました。大学図書館と近所の公共図書館で参考になる文献を見つけることができたので、それらをもとに調査を進めています。

中世初期から近代のヨーロッパにおいて、施政、都市の発展、アルファベットを書く時の体裁の考案、教育の普及、文学や音楽、天文学をはじめとした学問や芸術の振興は、すべて修道院が一手に担っていました。宗教団体と聞くと現代日本においてはポジティブな印象だけではありませんが、少なくともかつての修道院が社会にもたらした功績として、現代の習慣や文化、価値観に大きな影響を与えたものが数多く存在します。

私の場合は、学ぶ前と後では研究対象である修道院への印象が良くも悪くも大きく変化しましたが、それも学問の面白さだと感じています。
永井 敦子 NAGAI Atsuko
ヨーロッパの歴史と文化を学ぶ上で、ゼミで力を入れているのは、一つには外国語文献の講読です。3年生の時から始めて、卒業論文に使えそうな外国語文献があれば、4年生になってもゼミの課題として講読を続けます。語学力もつきますが、それ以上に、特定の研究分野で使われる用語の原語を確認できたり、日本にまだ紹介されていない新しい見解に出合えたりすることのメリットが大きいです。

卒業論文を書く場合にはもう一つ、「史料」を確認することを勧めています。「史料」とは研究対象となる年代に書かれたものあるいは作られたものです。原語の原典が一番ですが、史料の優れた日本語訳、あるいは建築物・絵画・工芸品などが史料として使える場合もあります。

ゼミの内容は、3年生の間はゼミの共通課題としての外国語講読と、各ゼミ生が卒業論文に向けて調査した内容の報告の二本立で、4年生になったら卒業論文が中心になります。卒業論文で取り上げる研究テーマそのものは、ヨーロッパ、あるいは欧米の、古代から現代までの歴史あるいは文化の中から、学生自身が主体的に選ぶことになっています。私が「指導」できるほどの知識がない地域や時代をテーマに選ぶ学生さんが時々いますが、そういう学生さんと一緒に調査につきあって自分が学ぶこともまた、ゼミの楽しみです。
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