ゼミ紹介

PICK UP SEMINAR 15

「史料」と対話し、「今」を問い直す

水谷 悟 教授  研究分野:日本近現代史(政治思想史)・メディア史・地域史
土屋 早紀 TSUCHIYA Saki
4年生
ゼミでは、主に卒業論文に向けて各自が設定したテーマに基づいて報告を行います。私たちの学年では、明治期~昭和期の学生文化や旅行文化、テーマパークの歴史、報徳思想など自分たちが興味を持つ事柄について研究を進めています。

2学年合同でゼミを行っているので、様々なテーマについて知ることができ、知識や情報を共有することで自分のテーマに生かすこともできます。特に人々のくらしに関する史料は不確定なものがあるため、他のゼミ生の情報に助けてもらうこともあります。
また日本近現代史に関する重要な史料や文献を講読しています。昨年度は福沢諭吉『文明論之概略』に取り組みました。哲学的な内容が明治期の言語表現で記されているため、現代の私たちが理解するには難しい部分もありましたが、全員で史料を音読し疑問を出し合い議論を重ねていくうちに自分たちなりに解釈することができました。

 
今年度は女性史に関心のあるゼミ生が多いため、鹿野政直・堀場清子『祖母・母・娘の時代』を題材に、関連する研究論文を紹介し興味を抱いた内容を掘り下げて発表しています。幕末から戦後まで、激動の時代の中で女性がどう生きてきたのか。女性たちが一人の人間として社会的に立場を確立していこうとする真剣な姿が提示されています。現代に生きる私たちには「どうして」と思うことがたびたびありますが、ここで得た知識・知見を今後、自分のテーマに反映させ、それぞれの考えや生き方の糧にしていきたいです。
他にも明治42年に藤枝の尋常小学校6年生が書いた『岡村傳一郎少年の日記』(「藤枝市史叢書8」)を解読し、子守りと予習を欠かさない当時の小学生の生活に触れています。

テーマに合った史料を見つけることは大変ですが、自分の知りたいことを研究によって突き詰めていくことができます。そしてお互いの意見を交わし合うことで、自分一人では気がつかなかったことを発見でき、考えを深め、視野を広げていくことができると思います。
水谷 悟 MIZUTANI Satoru
ゼミでは、主に日本の近現代史(幕末・明治~昭和戦前・戦後)を対象に、共通の文献・史料を講読すること、各自の卒業論文のテーマについて発表することを「柱」としています。歴史=暗記というイメージがあるかもしれませんが、大学の日本史研究では、各自の興味・関心の所在にもとづいて歴史的事項を主体的に考え、意見を交換し合うことが大切です。
主体的に考えるために、まずは特定の人物・地域・出来事などについて記された史料・文献を読むことから始めます。書かれている内容を丁寧に読み取り、意味のわからない記述があれば調べ、ゼミの仲間たちと疑問や論点を共有し、議論を積み重ね、それが記録された時代・社会的背景を捉え、その意味・意義について考察します。
そして、そこから自分という存在、それを形作ってきたルーツ(=社会や時代の構造・潮流)をさぐり、史料との「対話」を通じて得られた知見・知識をもって、「今」の自分自身とそれを取りまく環境(共同体・社会・国家・世界など)を問い直していきます。
また、毎年秋(9月下旬)には1泊2日のゼミ合宿を行っています(隔年で「東京」と「静岡」)。GW明け頃から学生たちと一緒に希望や意見を出し合いながらコースを決定し、国立国会図書館・外交史料館・東洋英和女学院史料室、静岡県立中央図書館「葵文庫」・大日本報徳社・資生堂企業資料館など、一次史料や貴重図書が保存・管理されている機関、または歴史建造物を実際に見学し、歴史を肌で感じる機会を設けています。加えて、静岡県下で地域史料を調査・保存する活動なども実施しています。
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