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西山雄大
「専売建築」と妻木頼黄:「標準化」の思想と実践

西山 雄大 [著]
九州大学出版会 2025年3月ISBN 978-4-7985-0381-3
著者からのメッセージ
明治建築界の三大巨匠の一人に挙げられる妻木頼黄(つまき・よりなか)は、神奈川県立歴史博物館(旧・横浜正金銀行本店本館)や横浜赤レンガ倉庫(旧・横浜税関新港埠頭倉庫1号館)、半田赤レンガ建物(旧・丸三麦酒工場)など現在も各地域のランドマークとして親しまれている建物を設計した、大蔵省の官僚建築家です。
本書では、妻木の数ある事績の中でも従来は体系的な研究の対象となっていなかった、煙草と塩の専売制度導入期の一連の建築事業に光を当てました。近代において可能になり、また必要ともされた建築の量産(および質的な平準化)という課題に、妻木や彼が率いた大蔵省営繕組織がいかに取り組んだかを探究したものです。
関連史資料(図面・仕様書・写真・政策検討記録など)と各地の現存建築物を相互に照合して読み解く、建築史研究の醍醐味を感じて頂けるよう、できるだけ多くの図版を収録しました。
研究者や専門家だけではなく、近現代の建築や近代史に関心を寄せる多くの方に手に取って頂けたらと思います。