Case Study事例集

特色ある事業

県内広域への支援事業:
市町の文化拠点への支援により、
県全体の文化力を向上させる

公益財団法人 三重県文化振興事業団
1994年開館の三重県総合文化センターの運営母体として1992年に設立された。受託管理者を経て現在指定管理者4期目。三重県総合文化センターは文化会館、生涯学習センター、男女共同参画センター、県立図書館の複合文化施設。県立図書館は県の直営。
※全国公立文化施設協会の三重県の正会員(2017年度)は23施設(12施設が指定管理、11施設が直営)。三重県文化振興事業団は三重県公立文化施設協会の永年会長館。
公益財団法人 三重県文化振興事業団では、三重県総合文化センターの指定管理業務のほかに、県の財団として広域の文化振興を目的とした取り組みを行っている。県内の小学校に文化体験プログラムを提供するアウトリーチや、遠隔地在住者を対象とした三重県総合文化センターでの観劇バスツアーなど、県内の地域住民に向けた直接的な文化振興を手掛ける一方で、文化ホールをはじめとする市町の文化拠点に対し、共同開催といった事業の連携のほか、資金やマーケティングにおける支援の取り組みを行っている。
資金面での支援である「助成金制度」は、対象を市町ホールや自治体、自治体文化財団及び、文化協会や実行委員会といった地域の活動主体とし、それらが行う新規事業等を支援するものである。他県にみられるアマチュア市民や団体への支援ではなく、市町の文化拠点への支援としての性格が強い。分野は芸術文化、生涯学習、男女共同参画の3つで、2016年度は3分野で合計13事業を助成している。対象事業の種類は幅広く、芸術文化以外の分野にも専門員をもつ同事業団の強みが発揮されている。
マーケティングの支援として特徴的なものが、ウェブ予約販売システム「エムズネット」である。「エムズネット」は同事業団主催のチケットがウェブで購入できる独自のシステムであるが、そこでいくつかの市町ホール主催の公演チケットが購入できる仕組みになっている。市町ホールは、販売手数料はかかるもののプレイガイドの一つとして「エムズネット」が利用でき、マーケティングツールに相乗りできる環境が提供されている。
三重県文化振興事業団のこうした支援の取り組みは、県内市町の文化拠点を視野に入れた上で、それらを活性化させることにより広域の文化振興を図ることを狙いとしている。市町と共存共栄することが県全体の文化力を向上させることと認識し、広域自治体設置の文化財団として県の文化力の向上を牽引しているのである。
Point
  • 広域の文化振興のために、県内の地域住民に向けた直接的な文化振興にとどまらず、市町の文化拠点を視野に入れ、活性化をはかろうとしている。
  • 「ひとり勝ち」ではなく県全体の文化力向上を牽引していくための支援の取り組みは、広域自治体設置の文化財団としてあるべき姿のひとつ。