Case Study事例集

ミッション・ビジョン

財団独自の中長期計画策定により
指定管理を超えた
文化振興事業を展開

公益財団法人 市原市文化振興財団
市原市市民会館の開館に向けて1973年に設立される。2006年から同市民会館の指定管理者。芸術文化、生涯学習及びコミュニティの振興を目的に、市民会館の指定管理事業に加え、市内全域でのアウトリーチやアーティスト育成といった自主文化事業を行っている。
市原市は芸術祭の開催等で注目を集めているが、これらは観光政策の一環で行われており、市には文化政策に関する計画等がつくられていない。こうした中、1974年の市民会館開館にあわせて1973年に設立され、以来、市民会館の運営を担ってきている公益財団法人 市原市文化振興財団では、2015年に財団の中長期計画を策定した。市民会館の仕様書には書かれていないが、地域の文化振興に必要な事業を自主事業として位置付け、アウトリーチの取り組みを展開している。これらの活動は指定管理業務ではないものの、市が行う指定管理者の評価の中では、実績として報告されている。なお、自主事業の財源となっていた指定管理業務の内部留保は、2016年度からは市側に返金することになったため、今後の自主事業の継続については財源的な課題が生じている。
行政側に文化振興計画がない状況下で、自治体文化財団が自ら主体的に長期計画を策定することは、「新しい公共」の担い手としての存在感を高めるうえでの重要な第一歩と言える。市民会館運営のために設立され、財政的な行政依存度の高い自治体文化財団であるが、政策立案能力の高さによって行政と対等な関係を築き、イコールパートナーとして発展していくことが期待される。
※本事例の調査は2017年1月に実施したものであり、当時は市原市では文化政策に関する計画等がつくられていなかった。その後2017年3月に「市原市文化振興計画(期間:2017年度~2026年度)」が策定されている。
Point
  • 行政のエージェントにとどまらず、自ら主体的に中長期の計画を策定して自主的に事業展開することは「新しい公共」の担い手としての第一歩となる。