Case Study事例集

人材育成

施設の性格や
設置目的・理念と照らして考える
人材育成

公益財団法人 新潟市芸術文化振興財団
1991年7月に市から5億円の出捐を受け設立された。現在、新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)、新潟市音楽文化会館、新潟市歴史博物館(みなとぴあ)・旧新潟税関庁舎等、新潟市文化財旧小澤家住宅、新潟県民会館の指定管理を担っている。2016年9月に「アーツカウンシル新潟」の運営を新潟市より受託し、運営体制を事務局内に設立。
公益財団法人 新潟市芸術文化振興財団では、上記のとおり6施設の指定管理を担っており、その管理運営する施設ごとに職員の人材育成に取り組んでいる。今回は、同財団の管理する施設の一つであるりゅーとぴあを事例として取り上げる。同館は「演劇公演プロデュース」の実施や「Noism」という専属の舞踊団を擁する創造発信型の施設である。
同館には、7つの課がおかれており人材育成のうちOJTは課を単位として、日々の業務に役立つ知識や能力の習得を目的に行われている。同館では、課を横断した職員間の異動が少なく、業務を通じて職員が一つの専門性を長期的に蓄積することが可能である。また、Off-JTとして、外部の研修機会を取り入れているが、上記のように、りゅーとぴあは創造発信型の施設であるため、企画制作や舞台技術においても高度な専門性が求められ、全国公立文化施設協会の開催するような一般的な研修は、特に事業実施面において馴染まない部分もある。そのため、りゅーとぴあのような創造発信型の施設同士で構成する「劇場、音楽堂等連絡協議会」「公共劇場舞台技術者連絡会」といったネットワークの会が主催する研修に参加するほか、他県の施設との人事交流も行っている。研修成果を共有するための方法としては、受講した職員に内部報告を求めるほか、場合によっては、学んできた内容を他の職員たちにレクチャーしてもらう機会を設けるといった工夫をしている。
同館の人材育成において貫かれている方針は、「館の性格を決めている設置目的・理念を実現するために必要な人材を育成する」ということであり、「設置目的・理念を達成するためにどのような知識や能力が必要か」という点から、課ごとに必要なOJT、Off-JTを考え、館として実施の可否を判断のうえ、人材の育成が行われている。
同館では、施設の性格や設置目的・理念に照らして、理に適った人的体制や育成方法が実現されている。
(左)Noism1『NINA-物質化する生け贄』©篠山紀信(右)りゅーとぴあプロデュース『星の王子さま』©村井勇
Point
  • 人材の育成について考える時に、施設の性格、施設の設置目的・理念を整理することが求められる。
  • まず、施設の設置目的・理念があり、それを達成するために必要な人材、知識、能力を明確にしたうえで、人材育成の計画を検討していく必要がある。