Case Study事例集

人材育成

「同一賃金、同一労働」
実現に向けて

公益財団法人 埼玉県芸術文化振興財団
1993年7月、財団法人 埼玉県芸術文化振興財団として設立。2011年4月公益法人化。「『自ら創造して世界に発信する創造型劇場』の彩の国さいたま芸術劇場」、「日本の近代建築をリードした前川國男氏設計の埼玉会館」の2館を指定管理者として管理運営し、演劇、舞踊、音楽を中心とした舞台芸術作品の創造・発信、ホールや練習室等の貸し出しによる芸術文化に係る活動及び発表の場の提供、舞台技術研修の実施等による人材育成や芸術文化活動の支援などの事業を展開している。
公益財団法人 埼玉県芸術文化振興財団では、1990年以降、県の財政が厳しくなったことを受け、任期付職員(一年契約で最長3年まで更新可)を雇用することで対応していった。しかし、約10年前から職員間の待遇格差が問題視されるようになり、「同一賃金、同一労働」を方針に、抜本的な格差是正改革に取り組んでいった。
具体的には、3年を超えて契約更新の必要が生じたことから、2006年に契約職員を第1種契約職員(契約の更新期間が3年までの職員)と第2種契約職員(3年を超えて契約の更新ができる職員)に分けた。翌年2007年からは契約職員にプロパー職員と同じ給料テーブルを適用した。また、2012年の労働契約法改正に伴い、「無期労働契約への転換」「『雇止め法理』の法定化」「不合理な労働条件の禁止」に対応すべく県と協議し、労働条件の格差是正に着手した。2015年には、プロパー職員と契約職員の間にあった休暇制度と給与制度の格差を是正し、2016年には、第2種契約職員の選考基準を満たした職員が無期労働契約への転換を希望した場合、それに応じることとした。
こうした一連の改革の背景には、理事長による積極的な働きかけがあり、現在では組織内にも「同一賃金、同一労働」の理念が浸透している。
Point
  • 雇用に伴う課題について、一度に転換するのではなく、長期的・段階的に取り組むことで改革を実現している。
  • 理事長といったガバナンスの担い手が積極的に働きかけることで、経営理念の実現と浸透が可能になることを示している。