Competition Appreciation

「コンクール鑑賞って難しい?」「予選と本選は何が違うの?」「伴奏しているのはどんな人?」
来場される皆様の声にお応えして、コンクールの流れや見どころ聴きどころ、静岡国際オペラコンクールの特色を解説します。

静岡国際オペラコンクールの特色

世界的にも著名な審査委員による厳しい審査。

国際コンクールにふさわしく、世界各国の著名な声楽家や歌劇場関係者などが審査にあたります。多くの若き才能を育ててきた確かな目による厳しい審査が、予選から本選まで行われていきます。

どんなオペラも弾きこなせる実力派の公式ピアニスト。

コンクール予選では、公式ピアニスト(コレペティトゥーア)が伴奏にあたります。出場者との個別練習や予選ステージでは相手役もこなす、実力あるピアニストが出場者をサポートします。

スムーズな大会運営を陰で支えるボランティア。

世界各国から来日する出場者の出迎え、出場受付、通訳、アテンドからチケットもぎり等のホール業務まで、準備の段階から数多くのボランティアスタッフが運営を支えています。

世界的にも珍しい、大学によるコンクール運営。

2007年4月より、静岡文化芸術大学が静岡国際オペラコンクールの運営を行っています。同大学は、第3回コンクール入賞者記念演奏会や薪能などのイベントを成功させた実績があり、文化事業振興の中心となる存在として、地域社会から大きな信頼を得ています。また、地元企業などからの協力も得て、コンクールは運営されています。

コンクールの流れ

予備審査を勝ち抜いた世界各国の若手オペラ歌手達の、迫力ある感動のステージが繰り広げられます。
01

予備審査

応募者が提出したオペラアリア2曲の録音を審査委員が聴き、出場者を決めます。第9回は、応募のあった271人から76人に絞られました。
02

第1次予選

おなじみのオペラアリアが楽しめます

予備審査を通過した世界各国の若手オペラ歌手が、得意なアリア2曲を歌います。1曲は、自分で決めたもの(自選曲)、もう1曲は、提出した4曲(選定曲)の中から審査委員が決めたものです。
アリアの写真
Tips

「アリア」とは?

オペラの中で、1人で歌われる曲です。感情が高まった時の気持ちが歌になっています。初めての人でも聴きやすく、親しみやすいメロディーが多いです。
03

第2次予選

本当の力量が問われる、他に類を見ない審査

出場者は、提示された86の「役」(蝶々夫人やフィガロなど)から自分の演じる役をひとつ選んで申請しておきます。第2次予選では、その「役」の全曲から審査委員が指定した場面を演奏しますが、出場者には第1次予選が終わるまでその指定場面は知らされません。ひとつのオペラ全曲の演奏ができる技術と経験が必要です。また、演奏箇所は必ずしもアリアばかりとは限りません。二重唱では、相手がいるように演じ歌わなければなりません。これはかなり難易度の高い審査です。
第2次予選の写真
Tips

「伴奏者」について

伴奏ピアニストは歌手を支えるのが仕事。ピアノ演奏だけではなく、数ヶ国語のオペラの指導ができる、実力のあるサポーターです。第2次予選では、1人で歌わなければならない出場者の相手役を務めます。

「アドバイス」

惜しくも本選に進むことのできなかった第2次予選出場者に、審査委員から実技を交えたアドバイスが送られます。審査委員の貴重なアドバイスをかてに、今後の活躍が期待されます。
アドバイスの写真
04

本選

オペラ上演さながら!緊張感みなぎるステージ

オーケストラを伴奏にアリアを2曲演奏します。通常のオペラ公演のように、オーケストラはオーケストラピットに入り、全ての視線が出場者に注がれます。
本選の写真
表彰式の写真
Tips

国際音楽コンクール世界連盟(WFIMC)とは?

各コンクール活動との調和、入賞者の援助等を目的として1957年に設立され、本部はスイス・ジュネーブ。権威ある国際コンクールの多くが加盟しており、浜松国際ピアノコンクールもその1つ。本コンクールは2003年、声楽部門ではアジアで初の加盟が認められました。

WFIMCウェブサイト

コンクールQ&A

よくある質問をまとめてみました。
 

音楽的キャリアを公表しないのはなぜ?

どんな大学を卒業したか、どんな先生に習っていたか、どんなコンクールに参加し何位だったか。そんな情報があると、先入観にとらわれてしまいがちです。これらの情報なしに、その人の音楽を聴いてみてはいかがでしょうか。もちろん審査委員にも、事前に情報は伝えていません。

出場順はどうやって決めているの?

第1次予選については、コンピュータによる無作為抽選を行い順番が決まります。第2次予選および本選は、出場者全員でくじ引きをして決めています。

予選で歌う曲が事前に分からないのはなぜ?

出場者は2曲のアリアを歌います。1曲は自分で決められますが、もう1曲は事前に提出した4曲のアリアの中から、出場する直前に出場者に伝えられます。そのため、事前に皆さんにお知らせすることができません。ステージ上の表示板には、出場者のエントリーナンバーと、出場者が事前登録した4曲をA~Dの記号で表示します。登録曲は公式プログラムに掲載されています。

本選でオーケストラが見えないのはなぜ?

通常のオペラ公演の条件に近付けるため、本選では、ステージと客席の間にある「オーケストラピット」と呼ばれる大きな溝の中でオーケストラは演奏します。オーケストラ配置も、通常のコンサートとは異なります。休憩中にぜひ御覧になって下さい。

コンクール鑑賞のマナー(守っていただきたいこと)

演奏中の会話は厳禁。音を立てないようにしましょう。

出場者の感想を話したくなるのがコンクールの楽しみでもあります。でも、演奏中のおしゃべりは厳禁。その他かばんの鈴やビニール袋など小さな音もご注意下さい。

携帯の電源は切りましょう。

特に休憩空けに注意が必要です。また、補聴器も正しくセットされているか、ご確認ください。

演奏中は席を立たないようにしましょう。

席を立つのは、休憩中または出場者が入れ替わるときにしましょう。

拍手は、演奏が終わってからしましょう。

第一次予選、本選は2曲演奏します。1曲目と2曲目の間は拍手せずに、2曲目が終わってから、出場者をねぎらうとともに、感動を表すあたたかい拍手をお願いします。

コンクールへご来場の前に

静岡国際オペラコンクール公式ブログ「トリッチ・トラッチ」では、オペラとオペラに関連することをわかりやすく説明したり、コンクール第二次予選の自選役のオペラを中心としたオペラの解説をしたり、また現在活躍するコンクール入賞者の公演レポートを投稿したり、幅広くオペラについてお伝えしています。ご来場の前にぜひ覗いてみて下さい。オペラのことを知れば知るほど、コンクールの鑑賞がより楽しくなるでしょう。
オペラコンクールブログ「トリッチ・トラッチ」