はじめに

みなさん、こんにちは。私、「ふじやまのぼる」と申します。オペラを広く皆さんに紹介するような仕事をしています。ちなみに一人称は「先生」です。どうぞよろしくお願いいたします。

「オペラ」って何だか難しくてとっつきにくいと思っている人が多いですね。それからやたら大きな歌手が、これまた大きな声を出して、わけのわからない外国の言葉を歌っているというイメージがあると思います。そんな皆さんの「とっつきにくさ」を少しでも解消できるように、いろいろな情報を織り交ぜて、オペラに親しみを持っていただけるよう綴っていきたいと思っています。
また、日本で唯一、世界音楽コンクール連盟に加盟している声楽・オペラのコンクール「静岡国際オペラコンクール」の情報についてもお伝えしていきたいと思います。

さて、「トリッチ・トラッチ」とは?
「うわさ」とか「おしゃべり」といった意味のドイツ語です。どちらかというと、オーストリアの方言でしょうか。学校で習うドイツの北の方で話されているドイツ語とは違う、ちょっとくだけた雰囲気のドイツ語です。
正式な発表はコンクールの公式ウェブサイトからさせていただくとして、このブログでは気楽なお話を気楽な口調で綴っていこうと思っています。そんな意味合いを込めて、「トリッチ・トラッチ」と付けてみました。みなさんと「ぺちゃくちゃ」お話ができれば嬉しいです。末永くお付き合いくださいね。
 

豆知識  「トリッチ・トラッチ」

皆さんは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートはご存じですか?毎年1月1日の昼にウィーン楽友協会の大ホールで開催される、ヨハン・シュトラウス2世を中心としたシュトラウス一家のワルツやポルカなどが演奏されるコンサートです。日本でも同日19時頃から同時中継されているので、ご覧になった方も多いでしょう。2021年イタリアの指揮者リッカルド・ムーティが指揮したニューイヤーコンサートは、残念ながらコロナ禍の影響により無観客で行われました。このニューイヤーコンサートでも度々演奏されるヨハン・シュトラウス2世の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」から命名させていただきました。

曲 「トリッチ・トラッチ・ポルカ」

トリッチ・トラッチ・ポルカですが、先生が好きなのは、1974年のニューイヤーコンサートのヴィリー・ボスコフスキー指揮のものと、1992年のニューイヤーコンサートのカルロス・クライバー指揮のものです。ボスコフスキーは、長年ウィーンフィルのコンサートマスターを務めた人。彼の指揮は、コンサートマスターだっただけあって、ヴァイオリンを弾きながら指揮をする様子も見られます。もちろん、指揮だけの時も。残念ながら「トリッチ・トラッチ・ポルカ」の映像は、バレエに切り替わっていて、演奏の様子は見ることができません。しかし、インターナショナルな音色ではなく、ウィーンのウィーン訛りによる、ウィーンのための音楽が優雅にまた軽快に流れます。このDVDには、オペラコンクールの審査委員ウェルナー・ヒンク氏の若かりし姿が見られます。クライバーは、指揮をするというより舞い踊る姿が有名です。本来ならば、この年(1992年)クライバーとウィーンフィルは来日予定でした。しかしキャンセル魔のクライバーが来日せず、チケットを入手していた先生は、とても残念な思いをしました。クライバーの音楽は、ボスコフスキーよりももう少しインターナショナル。スタイリッシュなウィーン音楽がそこにはあります。