オペラハウスってなに?

【ふじやまのぼる先生のオペラ講座(25)】
オペラハウス=歌劇場、だからオペラを上演するホールかな?という解答ですね。大雑把に言うとそれで良いのです。でも世界中にはいろいろな種類のオペラハウスがあるんです。例を挙げてご説明しますね。

1. 劇場(建物)と専属オーケストラ・歌手・合唱団、劇場職員が1つの組織を成しているもの

この形のオペラハウスはドイツに多く、100以上あるといわれています。三大歌劇場と言われる「ウィーン国立歌劇場」「ミラノ・スカラ座」「ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場」がこれに当たります。さらに「バレエ部門」「演劇部門」も併設している劇場もあります。
ウィーン国立歌劇場
ウィーン国立歌劇場

2. 劇場(建物)と専属歌手・合唱団、劇場職員が1つの組織を成しているもの

1のオーケストラだけが別組織というものです。有名なところでは、ケルン歌劇場(オーケストラは、ギュルツェニヒ管弦楽団)、ライプツィヒ歌劇場(オーケストラは、ゲヴァントハウス管弦楽団)、ジュネーヴ大劇場(オーケストラはスイス・ロマンド管弦楽団)などです。

1 と 2 と何が違うの?

1のオーケストラは、オペラハウスの名前に管弦楽団が付きます。「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」「ミラノ・スカラ座管弦楽団」などと呼ばれます。2のオーケストラは、上記の通りまったく別の名前でオーケストラ公演を行い、オペラハウスのピットに入ってもその名前で演奏します。なので、ケルン歌劇場のオペラ公演であっても「ケルン歌劇場管弦楽団」とは呼ばれません。
 ケルン歌劇場の配役表
 (ピンクのところに、ギュルツェニヒ管弦楽団の表記があります)
ケルン配役表

3. 劇場(建物)と専属合唱団、劇場職員が1つの組織を成しているもの

2の専属歌手がいないというものです。わが国の新国立劇場がこれに当たります。新国立劇場のオーケストラは、第9回コンクールの本選担当でもある東京交響楽団と、東京フィルハーモニー交響楽団が長年担ってきましたが、最近は他のオーケストラもピットに入るようになりました。

4. 劇場(建物)でオペラ公演可能なもの

日本の多くのホールがこれに当たります。東京ですと、東京文化会館NHKホールオーチャードホールなどで、大規模なオペラ公演が行われます。
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オペラハウス
代表的なものをご紹介しました。皆さんが最も接しやすいのは、3、4ではないでしょうか。新国立劇場は、ホールを提供する形で東京二期会藤原歌劇団の公演も行っています。4では、海外のオペラハウスの引っ越し上演も行われます。皆さんのお住いの地域にも、本格的なオペラ公演対応のホールが増えていることでしょう。さあ、皆さんもオペラ鑑賞デビュー、いかがですか?

豆知識「引っ越し公演とは?」

オーケストラのイラスト
文字通り、海外のオペラハウスが引っ越してきて公演を行うというものです。とはいっても建物は動かせませんから、それ以外のほぼすべてが来日するのです。専属オーケストラ、歌手(代役も含む)、合唱、ダンサー、舞台スタッフ、舞台装置、衣装、大道具小道具、などなど。通訳専属医師まで連れてくることもあります。それらすべての旅費、滞在費、運搬費などが必要になるので、膨大な金額が動きます。そのため、引っ越し公演のチケット代は高額になるのです。先生の記憶で一番高かったオペラのチケット代は、67,000円だったかと思います。もちろん、先生には手が届くはずもありません・・・。