今日はオペラの日

【ふじやまのぼる先生のオペラ講座(24)】
今日11月24日は、「オペラの日」とされています。明治以降、演出がついた初のオペラ上演がこの日に行われたということが由来となっているようです。
どんな演目だったのでしょう。
旧東京音楽学校奏楽堂のイメージ
1894年(明治27年)旧奏楽堂で、日本で初めてのオペラが上演されました。演目はシャルル・グノー(1818-1893)の「ファウスト」第1幕でした。この上演には、オーストリア大使館職員が出演し、指揮者はドイツ海軍軍楽隊長フランツ・エッケルト(1852-1916)でした。「明治以降、演出付き」と但し書きがつくのは、それ以前出島での上演があったり、アリアコンサートがあったりしたためだといわれています。
指揮者のイメージ
プロイセン王国のニーダーシュレージエン地方(現在のポーランド、ドルヌィ・シロンスク県)に生まれたフランツ・エッケルトは、日本で音楽教師を行うため、1879年に来日しました。当時エッケルトは27歳。その彼は、音楽教育から軍楽隊まで、広く日本での洋楽全般に関わりました。私たちがよく知る彼の功績は、メロディーのみだった「君が代」に和声を付けたことです。つまり私たちがピアノの伴奏で「君が代」歌うことができるのは、エッケルトのおかげなのです。1899年に20年間過ごした日本を離れ、ドイツに帰国しました。しかし1901年に再びアジアでの活躍を求めて、朝鮮半島に渡ります。その後、李氏朝鮮で軍楽隊を育てたり、「大韓帝国愛国歌」を作曲したりして活躍しますが、1916年、病気のため現在のソウルで亡くなりました。
日本で日本人が出演した、初めての本格的なオペラ全曲上演は、我らが三浦環が出演した「オルフェウス」で、1903年(明治36年)のことでした。この上演についてと、「オルフェウス」については、いずれ詳しくお話ししますね。