【ふじやまのぼる先生のオペラ解説(33)】
初演:1859年3月19日 パリ テアトル・リリック
主な登場人物
あらすじ(つづき)
16世紀ごろ、ドイツ
第4幕
(この幕は3場からなるが、第1場は、カットされることが多い。また、第1場をカットした上で、第2場と第3場との順番を逆にして上演されることもある)
(この幕は3場からなるが、第1場は、カットされることが多い。また、第1場をカットした上で、第2場と第3場との順番を逆にして上演されることもある)
第4幕 第1場 マルグリートの部屋
身ごもったマルグリートは近所の笑いもの。糸車を回しながら紡ぎ歌「あの人は戻ってこない」を歌い泣き崩れる。ジーベルが「幸福があなたを微笑ませるなら」を歌い、彼女を慰める。
身ごもったマルグリートは近所の笑いもの。糸車を回しながら紡ぎ歌「あの人は戻ってこない」を歌い泣き崩れる。ジーベルが「幸福があなたを微笑ませるなら」を歌い、彼女を慰める。
第4幕 第2場 教会
祈るマルグリート。メフィストが現れ地獄へ落ちろと呪う。修道士の祈る声が混じり、彼女は失神して倒れてしまう。
祈るマルグリート。メフィストが現れ地獄へ落ちろと呪う。修道士の祈る声が混じり、彼女は失神して倒れてしまう。
第4幕 第3場 フランクフルトの街頭
兵士たちが帰ってくる。ヴァランタンは妹の所業に怒る。ファウストは彼女に行った行為を後悔しており、彼女の家に入る勇気がない。そこでメフィストはギターを手にし、セレナード「眠ったふりをせずに」を歌う。その歌を聞きつけヴァランタンが現れ、ファウストに決闘を挑む。メフィストの力を借りたファウストは、ヴァランタンを刺す。駆け付けたマルグリートを呪いながら彼は絶命する。
兵士たちが帰ってくる。ヴァランタンは妹の所業に怒る。ファウストは彼女に行った行為を後悔しており、彼女の家に入る勇気がない。そこでメフィストはギターを手にし、セレナード「眠ったふりをせずに」を歌う。その歌を聞きつけヴァランタンが現れ、ファウストに決闘を挑む。メフィストの力を借りたファウストは、ヴァランタンを刺す。駆け付けたマルグリートを呪いながら彼は絶命する。
第5幕 第1場 ハルツ山地のブロッケン山
ヴァルプルギスの夜、魔女が集まって盛大な宴を催す。7曲からなるバレエ音楽。メフィストに案内されたファウストは、過去の美女たちに誘惑されるが、マルグリートに会いたいと望む。
ヴァルプルギスの夜、魔女が集まって盛大な宴を催す。7曲からなるバレエ音楽。メフィストに案内されたファウストは、過去の美女たちに誘惑されるが、マルグリートに会いたいと望む。
第5幕 第2場 牢獄
マルグリートは我が子を殺した罪でとらえられている。もはや彼女は狂人と化し、昔の楽しい日々を思い出してまどろんでいる。ファウストが現れ再会を喜ぶが、すでに常人ではない彼女に気付くファウスト。メフィストが現れ三重唱「清らかな天使」を歌い、ついに彼女は絶命する。突然牢獄の扉が開き「救われた」と天使の声が響く。マルグリートの魂は天国に上っていき、ファウストは跪いてそれを見送り祈る。メフィストは大天使の剣に倒れる。
マルグリートは我が子を殺した罪でとらえられている。もはや彼女は狂人と化し、昔の楽しい日々を思い出してまどろんでいる。ファウストが現れ再会を喜ぶが、すでに常人ではない彼女に気付くファウスト。メフィストが現れ三重唱「清らかな天使」を歌い、ついに彼女は絶命する。突然牢獄の扉が開き「救われた」と天使の声が響く。マルグリートの魂は天国に上っていき、ファウストは跪いてそれを見送り祈る。メフィストは大天使の剣に倒れる。
自選役
このオペラからは、マルグリート、メフィストフェレスの2役が、静岡国際オペラコンクール第2次予選自選役リストに含まれています。
豆知識「グノーの性格②」
グノーは、ローマ大賞と呼ばれるフランス音楽界の最高の賞を得て、ローマに留学します。その折知り合った神父の影響で、突如キリスト教に目覚め、一時期は音楽家の道を捨てて修道院入りを決意します。しかし家族の説得もあり、音楽の道へ戻ることになりますが、その後も定期的に宗教チックになり、自分のことを「グノー師(Abbé Gounod)」と名乗っています。その結果、宗教音楽にも手を染め、J.S.バッハの「平均律」にメロディーをつけた「アヴェ・マリア」や、ミサ曲、オラトリオなどを遺しています。
参考CD
色々なCDが出ています。が、1つとして同じものはありません。「違い探し」みたいで面白いです。
参考CD(1)
指揮:アンドレ・クリュイタンス
ファウスト:ニコライ・ゲッダ
メフィスト:ボリス・クリストフ
マルグリート:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘルス 他(1958年録音)
ファウスト:ニコライ・ゲッダ
メフィスト:ボリス・クリストフ
マルグリート:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘルス 他(1958年録音)
アンドレ・クリュイタンス(1905-1967)の指揮するパリ・オペラ座のオーケストラによる格調高いパリでの録音。でも、主役の三人は全て外国人。古き良きパリの音を伝える、癖のない聴きやすい名盤です。
参考CD(2)
指揮:ジョルジュ・プレートル
ファウスト:アルフレード・クラウス
メフィスト:ニコライ・ギャウロフ
マルグリート:ミレッラ・フレーニ 他(1977年録音)
ファウスト:アルフレード・クラウス
メフィスト:ニコライ・ギャウロフ
マルグリート:ミレッラ・フレーニ 他(1977年録音)
ミラノ・スカラ座でのライヴ録音です。イタリア物では、非常に燃え上がるミラネーゼですが、この「ファウスト」も盛り上がってます。アルフレード・クラウス(1927- 1999)のファウストが最高!こんなに端正なファウストを先生は知りません。ミレッラ・フレーニ(1935-2020)とニコライ・ギャウロフ(1929-2004)は、この後1981年に結婚することになります。先生は、こういった劇場のライヴ録音が大好きで、たくさん集めました。このCDには、「ボーナス・トラック」として、1967年にスカラ座で録音された「ファウスト」が収められています。この時もジョルジュ・プレートル(1924-2017)の指揮、フレーニとギャウロフのコンビでした。もうこの時点から、「赤い糸」で結ばれていたのでしょうね♡
参考CD(3)
指揮:ジョルジュ・プレートル
ファウスト:プラシド・ドミンゴ
メフィスト:ニコライ・ギャウロフ
マルグリート:ミレッラ・フレーニ 他(1978年録音)
ファウスト:プラシド・ドミンゴ
メフィスト:ニコライ・ギャウロフ
マルグリート:ミレッラ・フレーニ 他(1978年録音)
ファウストがドミンゴに変わりました。指揮、メフィスト、マルグリートは、スカラ座のものと同じです。(1)のCDから20年後の、パリ・オペラ座の録音です。「グラントペラ」化しパリ・オペラ座で上演するために追加されたバレエ音楽ですが、このCDでは、「グノーの真筆かは疑問」という立場をとっており、録音はされていますが、オペラの中には組み込まれていません。バレエがなくても、すばらしいオペラ・録音には変わりありません。
参考CD(4)
指揮:クリストフ・ルセ
ファウスト:バンジャマン・ベルネーム
メフィスト:アンドリュー・フォスター=ウィリアムズ
マルグリート:ヴェロニク・ジャンス 他(2018年録音)
ファウスト:バンジャマン・ベルネーム
メフィスト:アンドリュー・フォスター=ウィリアムズ
マルグリート:ヴェロニク・ジャンス 他(2018年録音)
この録音を聴いて、先生はおったまげました。今まで全く知らなかった音楽が出てくるのです。それもそのはず、この録音は1859年に初演された版を再現したCDなのです。指揮のクリストフ・ルセは、最初はチェンバロ奏者でしたが、古楽器のオーケストラ「レ・タラン・リリク」を設立し、精力的に指揮活動を行っています。また、このCDは、「BRU ZANE」という知られざる優れたフランス・オペラを取り上げ、積極的に録音しているレーベル。新発売に目が離せません。