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2026年03月02日

浜松の画家 中村宏氏の資料を展示しています

 2003年、浜松出身の画家、中村宏氏(1932-2026)から当館へ、著作や図録等、約50点の資料が寄贈されました。現在、静岡県立美術館で開催中の展覧会「中村宏展-アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ-」にあわせ、資料の一部と、中村宏氏が画業を通じて交流した作家や芸術家などの関連資料を展示します。
 中村宏氏は、1951年に上京して日本大学芸術学部へ進学し、青年美術家連合に参加します。米軍基地拡張反対運動の現場でのスケッチをもとに描いた「砂川五番」(1955年)で高い評価を受け、「ルポルタージュ絵画」の画家として知られるようになります。1950年代末からは、映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインのモンタージュ理論を応用し、絵画を、社会的な事件と前衛的な表現を結びつける作風へと展開します。以降、画面にセーラー服の女学生や蒸気機関車など、少年期の記憶に結びつくモチーフを登場させ、1970年代以降も「タブロオ機械」「絵図連鎖」など独自の方法論を実践し、新たな絵画表現を切り拓いてきました。2022年以降は、自身が体験した戦争の記憶に基づく絵画を制作していましたが、2026年1月8日、93歳で逝去されました。
 本展が、展覧会での作品鑑賞と中村宏氏の絵画制作や思想を理解する一助になれば幸いです。

参考:『美術手帖』Web版 https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/31988 (2026年2月26日閲覧)

■展示資料の一部

〇中村宏氏著書
中村宏著, 嶋田美子編『応答せよ!絵画者 : 中村宏インタビュー』(図書出版白順社, 2021)
中村宏著『絵画者 : 1957-2002』(美術出版社, 2003)
中村宏著『図画蜂起 : 1955-2000』(美術出版社, 2000)
名古屋市美術館編集『戦後日本のリアリズム : 1945-1960』(戦後日本のリアリズム展実行委員会, [1998])
板橋区立美術館編『日本のルポルタージュ・アート : 絵描きがとらえたシャッター・チャンス』(板橋区立美術館, 1988)
中村宏著『中村宏作品集 車窓篇』[エクリチュール叢書; 4] (深夜叢書社, 1980)
José Pierre "Le surréalisme" [Dictionnaire de poche](Fernand Hazan Éditeur, 1973)
川谷承子「中村宏の作品における映画の技法とマンガ的要素が鑑賞に与える効果について」『静岡県立美術館紀要』第40号(静岡県立美術館, 2024)
ほか

〇共同制作者等作家、芸術家等関連資料
中村宏著『望遠鏡からの告示 : 中村宏画集』(現代思潮社, 1968)
※澁澤龍彦による序文掲載資料
稲垣足穂, 中村宏[著]『機械学宣言 : 地を匍う飛行機と飛行する蒸気機関車』(仮面社, 1970)
土方巽アーガイヴ編『土方巽 [舞踏] 資料集 第1歩』(慶應義塾大学アート・センター, 2000)
アスベスト館[編]『アスベスト館通信』1~5号(アスベスト館, 1986-1989)
エイゼンシュテイン全集刊行委員会訳『戦艦ポチョムキン』[エイゼンシュテイン全集 : 第2巻](キネマ旬報社, 1977)
『エイゼンシュテイン展 : 映像芸術の誕生』(朝日新聞社, 1973)
菊地真央[ほか]編集『大・タイガー立石展』(千葉市美術館[ほか], 2021)
ほか

■展示場所
図書館・情報センター 2階西エリア

■展示期間
2026年3月2日(月曜日) から 3月14日(土曜日) まで 《予定》

発行部署:図書館・情報センター