ニコライ作曲「ウィンザーの陽気な女房たち」 Die lustigen Weiber von Windsor(歌詞:ドイツ語) vol.2

【ふじやまのぼる先生のオペラ解説(3)】
初演:1849年3月9日 ベルリン 王立歌劇場

主な登場人物

ウィンザーの陽気な女房たち登場人物

登場人物相関図

ウィンザーの陽気な女房たち相関図

あらすじ(つづき)

第3幕 第1場 ライヒ邸の一室
一部始終を聞かされたフルート氏は妻に謝り、ファルスタッフを夜の森に呼び出しいたずらすることにする。ライヒ夫人はバラード「狩人ハーンのお話」を歌う。皆それぞれ準備に行くが、ライヒ夫人とアンナだけが残る。ライヒ夫人はアンナに、このいたずらのどさくさに紛れ、医師カーユスと森のチャペルで結婚してしまうように言う。そして、「赤い妖精」に変装するよう言い残し去る。しばらくするとアンナのもとにライヒ氏がやってきて、どさくさに乗じてシュペルリヒと結婚してしまうように言う。そして、変装は「緑の妖精」。アンナは両親には従うふりをして、アリア「さあ、これで決心がついたわ」を歌い、自分の思い通りフェントンと結婚する計画を立てる。
第3幕 第2場 深夜のウィンザーの森
ライヒ氏はシュペルリヒに、ライヒ夫人はカーユスに、それぞれ段取りを話し狩猟小屋に入っていく。月がのぼり、時計が12時を告げる。狩人ハーンに変装したファルスタッフが森に忍んでくると、フルート夫人とライヒ夫人は彼を誘惑。にやつくファルスタッフの前にたくさんの妖精たちが集まってくるので、二人の夫人は逃げる。アンナはティターニアに、フェントンはオベロンに扮し愛の歌を歌う。ライヒ氏もハーンに扮し角笛を鳴らそうとするが鳴らない。これは近くに人間がいるからだと言い、ファルスタッフを見つけた妖精たちは、彼をさんざんにつつきまわす。その隙にアンナとフェントンは結婚式を挙げてしまう。シュペルリヒとカーユスは、段取り通りの相手を見つけ結婚式を挙げに行く。さんざんな目に遭ったファルスタッフの前に「バッハ氏」が現れ、じつは変装していたフルート氏であることを告げる。そして事の次第を打ち明けられたファルスタッフは、ようやく騙されたことに気づく。シュペルリヒとカーユスは、男同士で結婚させられたとライヒ夫妻に食って掛かる。そこにアンナとフェントンが結婚式を済ませて戻ってきて、アンナの両親に許しを請う。両親は二人を許し、夫人達はファルスタッフを許す。

自選役

フルート夫人が、静岡国際オペラコンクールの第二次予選自選役リストに含まれています。

参考CD(1)

「ウィンザーの陽気な女房たち」はジングシュピールといって、歌を歌う部分のほかに、語られるセリフが出てきます。なかなか日本では、いえドイツ語圏外では実際の公演が多くないかもしれません。しかしドイツ語圏の超一流の劇場ではなく、ウィーンのフォルクスオーパーやミュンヘンのゲルトナープラッツ劇場など、2番手くらいの劇場で観ると、楽しい演出満載で良いかもしれませんよ。
 
指揮:ロベルト・ヘーガー
ファルスタッフ:ゴットロープ・フリック ほか (1963年録音)
 
これは 1963年にミュンヘンの国立歌劇場を中心に録音されています。何よりも夭折のテノール、フリッツ・ヴンダーリヒを聴くためのCDです。古き良きドイツの音楽が聞こえます。セリフもふんだんに入っていて、各歌手の芸達者ぶりもうかがえます。
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参考CD(2)

指揮:ヘルムート・フロッシュアウアー

ファルスタッフ:フランツ・ハヴラタ ほか (2002年録音)
こちらは21世紀に入ってからの、ドイツ・ケルンの放送局のオーケストラによる録音です。歌手にもスキがなく、ドイツ語圏の芸達者が集められています。ファルスタッフのフランツ・ハヴラタ、フルート夫人のユリアーネ・バンゼなど、とても楽しめます。特に先生が気に入っているのは、主役級ではなく、アンナに恋する3人のうち、恋に破れるシュペルリヒと医師カーユスを演じるハインツ・ツェドニクとアルフレート・ジュラメクです。この2人、名脇役としてウィーン国立歌劇場などで活躍していました。こういう名脇役の存在が、公演成功の鍵を握っているのかもしれません。
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