オペラの種類(4)~イタリア・オペラほか~

【ふじやまのぼる先生のオペラ講座(15)】

イタリア・オペラ

ヴェルディ
19世紀の後半のイタリア・オペラ界の巨匠はジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901)です。ワーグナーのように自分で台本を執筆することはありませんでしたが、こだわりを持って台本を選びました。奇しくもアルプスの北のワーグナーと南のヴェルディは同年(1813)生まれ。ワーグナーはヴェルディとの接点を持とうとはしませんでしたが、ヴェルディはワーグナーの作品をかなり研究したといいます。後期の作品には、ワーグナーの影響があるようですよ。
ヴェルディ以降
ヴェルディの後継者はやはりジャコモ・プッチーニ(1858-1924)でしょう。ヴェルディが最後のオペラ「ファルスタッフ」を発表した1893年、プッチーニは出世作「マノン・レスコー」を世に出しています。この年は、新旧の交代の年でした。プッチーニはなじみの台本作家ジュゼッペ・ジャコーザとルイージ・イッリカに、台本を書かせています。原作に必ずしも忠実ではなく、奔放なヒロインも自分好みの悲劇のヒロインに変更させているのが特徴的でしょうか。これがヒットを飛ばす1つの要因でもあったのでしょう。
「ヴェリズモ・オペラ」
ヴェリズモ」とは現実主義ということです。宮廷貴族の話や、ローマ・ギリシャの神話を扱った話ではなく、我々のようにそこら辺に住んでいる普通の人の周りに起きる殺人や不倫などを扱います。「昼メロ」もびっくりの内容もそこかしこ。声楽的にも歌手の超絶技巧を披露するというよりは、感情の吐露を直接歌いかけるというものです。殺される場面でも、これまでは刺された後、最後のひと歌を歌ってから死んでいました。これは、死のショックを和らげる役割がその歌にあったと思われます。ヴェリズモでは刺された後、その人が歌ったり演技したりすることなく死にます。普通刺された後長々しゃべることはありませんね。このような現実主義的なオペラがもてはやされた時期がありました。
しかし、あまりにも現実的過ぎたり、他の作品の二番煎じ的作品がたくさん発表されたりして、観客に受け入れられないものもありました。そんな中でもマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ」レオンカヴァッロの「道化師」は双璧です。「カヴァレリア・ルスティカーナ」も「道化師」も1時間余りのオペラなので、2つを組み合わせて1晩に上演されることが多いです。その他のヴェリズモ・オペラは、ジョルダーノの「アンドレア・シェニエ」プッチーニの「外套」や「トスカ」が挙げられます。
「オペレッタ(オペレット)」
ジングシュピールやオペラ・コミックから発展し、オペラよりも軽い内容を持ったオペレッタが生まれます。フランス語ではオペレット。ヨハン・シュトラウス2世の「こうもり」レハールの「メリー・ウィドウ」オッフェンバックの「天国と地獄」などがあげられます。

その他

その他でくくるにはあまりにたくさんありますが、ロシア語、チェコ語、英語、スペイン語など様々な言語のオペラがあります。もちろん日本語も。

有名なものをあげておきましょう。
【ロシア語】チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」など
【チェコ語】スメタナ「売られた花嫁」、ドヴォルザーク「ルサルカ」、ヤナーチェク「イェヌーファ」など
【英語】ブリテン「ピーター・グライムズ」、ストラヴィンスキー「放蕩物のなりゆき」、バーンスタイン「キャンディード」、メノッティ「電話」など
【スペイン語】ファリャ「はかなき人生」など
【日本語】山田耕筰「黒船」、團伊玖磨「夕鶴」など
県民オペラ「夕鶴」集合
県民オペラ「夕鶴」主演:光岡暁恵
第4回 県民オペラ「夕鶴」(2013年3月10日公演) 
主演:光岡暁恵<第5回コンクール第1位・三浦環特別賞受賞>(写真上中央・写真下)