主な登場人物
登場人物相関図
あらすじ
第2幕
ザラストロは神官たちに、タミーノに試練を受けさせ、成功の暁にはパミーナを妻にさせたいと提案する。またパミーナは、夜の女王の魔の手から引き離したことを告げる。アリア「おお、イシス、オシリスの神よ」。タミーノは試練に向かうが、パパゲーノは全くやる気がない。ご褒美にパパゲーノそっくりの、若くてかわいいパパゲーナを与えようといわれるので、いやいや試練に向かう。沈黙の試練を与えられたタミーノとパパゲーノの前に侍女たちが現れ、しゃべらせようとするが、タミーノはしゃべらない。
ザラストロは神官たちに、タミーノに試練を受けさせ、成功の暁にはパミーナを妻にさせたいと提案する。またパミーナは、夜の女王の魔の手から引き離したことを告げる。アリア「おお、イシス、オシリスの神よ」。タミーノは試練に向かうが、パパゲーノは全くやる気がない。ご褒美にパパゲーノそっくりの、若くてかわいいパパゲーナを与えようといわれるので、いやいや試練に向かう。沈黙の試練を与えられたタミーノとパパゲーノの前に侍女たちが現れ、しゃべらせようとするが、タミーノはしゃべらない。
場面は変わり、花で飾られた東屋にパミーナが眠っている。彼女に邪な感情を抱いているモノスタトスは、アリア「誰でも恋の喜びを知っている」と彼女への思いを歌う。そこに夜の女王が現れ、パミーナは飛び起きる。夜の女王は、アリア「地獄の復讐が私の心の中に煮えかえっている」を歌い、パミーナにザラストロ殺害を命じ去る。その後ザラストロが現れ、モノスタトスは夜の女王の味方に付くべく逃げ去る。パミーナの悩みを全て受け止めたザラストロは、この世界で必要なのは愛だと、アリア「この聖なる殿堂では」を歌う。
タミーノは沈黙の試練を続けている。そこへパミーナが現れるが、タミーノは何もしゃべってくれない。悲嘆にくれたパミーナは、アリア「ああ、愛の喜びは露と消え」を歌い、死を望み、去る。
見事沈黙の試練に打ち勝ったタミーノの前にパミーナが連れてこられ、ザラストロから新たな試練に臨むことを告げられる。タミーノの試練のことを聞いたパミーナは、不安ながらもザラストロとともに試練に向かうタミーノを見送る。
パパゲーノの前には怪しげな老女が度々現れる。いやいや試練に付き合っていたパパゲーノだったが、慈悲深い神に許され、欲しいものを尋ねられる。1つは上等な1杯のワイン、もう1つは、アリア「可愛い娘か女房が」欲しいと歌う。すると度々現れていた老女が突然少女に変わり、一瞬で消える。パパゲーノは少女の後を追う。
とうとうパミーナは正気を失い、短剣を手にしている。3人の童子がその場を見つけ、タミーノの所へと連れていく。タミーノは火と水の試練を受けようとしている。そこへパミーナが現れ、二人で試練を受けることとする。魔法の笛を吹きながら試練に臨み、みごと打ち勝つ。
とうとうパミーナは正気を失い、短剣を手にしている。3人の童子がその場を見つけ、タミーノの所へと連れていく。タミーノは火と水の試練を受けようとしている。そこへパミーナが現れ、二人で試練を受けることとする。魔法の笛を吹きながら試練に臨み、みごと打ち勝つ。
少女を見失ったパパゲーノは、首を括って死のうとする。そこへ3人の童子が現れ、銀の鈴を鳴らすよう勧める。するとパパゲーノと同じような格好をしたパパゲーナが現れる。二人は「パ、パ、パ」の二重唱を歌い、喜び合う。
夜の女王側に寝返ったモノスタトスの手引きによって、神殿にむかう夜の女王たち。モノスタトスは再起を図った暁には、パミーナとの結婚の約束を夜の女王から取り付ける。しかし雷の轟音とともに、夜の女王はモノスタトスや侍女たちとともに永遠の闇の世界に堕ちる。一瞬にして太陽の世界となり、ザラストロは試練に打ち勝ったとタミーノとパミーナを祝福して幕となる。
自選役
このオペラからは、パミーナ、タミーノ、ザラストロの3役が、静岡国際オペラコンクール第二次予選自選役リストに含まれています。
豆知識「フリーメイソン」
「フリーメイソン」とは、ある種の「友愛結社」と言われています。先生は詳しくないので多くを語ることができません。しかしこのオペラは、よく「3」という数字にかけて、「フリーメイソンの影響を受けている」と言われます。侍女や童子は3人ずつ、序曲の調号はフラット3つ、などなど。しかし、我々日本人にとってフリーメイソンはあまり馴染みのないものです。皆さんは「魔笛」と「フリーメイソン」のことをあまり意識せずに鑑賞されることをお勧めします。「魔笛」はよく知っているので、新しいことを知りたいという方は、このオペラとフリーメイソンについて調べてみると、隠れた意味が分かるかもしれません。
参考CD
様々な録音がありますが、「ジングシュピール」なので、ドイツ語圏の歌手による録音が多いです。
参考CD(1)
指揮:オットー・クレンペラー
タミーノ:ニコライ・ゲッダ
パミーナ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ 他(1964年録音)
指揮:オットー・クレンペラー
タミーノ:ニコライ・ゲッダ
パミーナ:グンドゥラ・ヤノヴィッツ 他(1964年録音)
このCDは、指揮者の要望と、イギリスのレコード会社の発売ということもあるのでしょう、セリフの部分がカットされています。そのため正確な全曲盤とは言えませんが、音楽はすべて含まれているのと、クレンペラー(1885-1973)の隅々まで血と肉の通った指揮ぶりに感銘を受けたのでご紹介いたしました。また、若き日のルチア・ポップ(1939-1993)の夜の女王が聴けるのもうれしいところです。超絶技巧の高音をキンキンとひけらかすのではなく、お母さんの愛情たっぷりの歌いぶりには圧倒されました。コロラトゥーラ・ソプラノとして世に出たポップは、こののちパミーナを歌うようになります。3人の侍女の豪華なこと!
参考CD(2)
指揮:アラン・ロンバール
タミーノ:ペーター・ホフマン
パミーナ:キリ・テ・カナワ 他(1978年録音)
指揮:アラン・ロンバール
タミーノ:ペーター・ホフマン
パミーナ:キリ・テ・カナワ 他(1978年録音)
ストラスブールをご存じですか?フランスの東部、ライン河に接した街で、フランス・ドイツ双方に属したことがあります。ドイツ語名はシュトラスブルク。またスイスにも近く、交通の要衝であったため、戦争のたびに奪い奪われの歴史を繰り返してきました。ある年代より上の方は、教科書に載っていたアルフォンス・ドーデ(1840-1897)の「最後の授業」をご存じでしょう。これは、普仏戦争(1870-1871)後、この地区がフランスからドイツに統治が変わる日のことを描いていました。現在はフランス領で、ライン河がフランス・ドイツの国境になっています。
この街での「魔笛」の録音に当たって、集められた歌手の多彩なこと!この当時ほぼみな30代、脂の乗り切った歌手ばかりで、このままウィーンやベルリンで上演しても遜色ない人材です。このような人材が、ストラスブールの歌劇場には招聘されていたのでしょう。この後、彼らが世界の大歌劇場で活躍したことは言うまでもありません。
この地区は三都市(ストラスブール、ミュールーズ、コルマール)が合同でフランス国立「ラン歌劇場」を組織しています。我がコンクール審査委員でもある伊原直子先生は、1975年から6年ほどラン歌劇場に所属していました。この録音でも第3の侍女を歌い、その深みのある豊かなアルトを披露しています。
参考CD(3)
指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー
タミーノ:ミヒャエル・シャーデ
パミーナ:クリスティアーネ・エルツェ 他(1995年録音)
指揮:ジョン・エリオット・ガーディナー
タミーノ:ミヒャエル・シャーデ
パミーナ:クリスティアーネ・エルツェ 他(1995年録音)
ガーディナーは、古楽器の指揮者です。楽器には「古楽器」と「モダン楽器」とがあり、「モダン楽器」は、改良が重ねられて現在使用されている楽器で、「古楽器」は、改良をされる前の状態の楽器や現在では使われなくなった楽器です(おんぼろの楽器ではありません)。古楽器は、英語では「Original Instruments(オリジナル楽器)」や「Period Instruments(ピリオド楽器)」などと呼ばれます。ガーディナーは、古楽器のオーケストラ「イングリッシュ・バロック・ソロイスツ」を結成し、モンテヴェルディくらいから、モーツァルトくらいまでの音楽を演奏しています。先生が「古楽器」に触れた最初がガーディナーでした。ちょっとくすんだ音色ですが、何とも言えない雰囲気に包まれます。表現が適切ではないかもしれませんが、「よく手入れされた古民家でくつろぐ」といった感じでしょうか。歌手たちも、ガーディナーの紡ぎだす音色に合わせ、よくまとまっています。デビューして間もない歌手が多いですが、早い段階でガーディナーのような知的な指揮者と共演できたことは、一生の財産になるでしょう。タミーノのシャーデやパミーナのエルツェなど、その後大歌手になった人も散見されます。