言葉がわからない…(4)

【ふじやまのぼる先生のオペラ講座(19)】
テキストを読んでいる暇もない、そんな人にはこんな良いシステムがあります。

字幕付き上演

現在ほとんどのオペラ公演では、字幕が表示されます。字幕が登場したときは大変な驚きでした。テレビや映画のように埋め込むわけにはいかないので、登場したばかりの字幕は、舞台の上部につるされたボードに横書きで映し出されました。しかし、上(字幕)を見たり舞台を観たり、視線を上下させなければならず、なかなか大変でした。先生は安い席(上の階の席)で見ていたので、あまり苦にはならなかったですが。高い席の(1階の)観客からのクレームもあったのでしょう、その後舞台の左右に縦書きで表示される方法に変わりました。視線の移動は少なくなりました。
海外の歌劇場でも様々な方法が取られますが、欧米語は縦書きができないので、舞台の左右にというわけにはいきません。「上部」をとっている歌劇場が多いでしょうか。ウィーンの歌劇場は1人に1台モニターが設置されています。言語もいくつかから選べます。あるオーストリア人は「ワーグナーのドイツ語は、今のドイツ語と違うので、字幕があると助かる」と言っていました。東京の新国立劇場では、日本語とともに英語の字幕も付きます。
下記の写真は、2016年に静岡県民オペラとして上演したマスカーニ作曲のオペラ「イリス」の写真です。この字幕装置は縦書きで、二行表示できるようになっています。このような字幕装置が左右に1台ずつ配置されました。当然ですが、左右に同じ内容の字幕が表示されます。最近はこのような方法で字幕を表示している劇場が多いです。
こちらは、高校生向けに行った鑑賞教室のワンシーンです。ステージ後方にある反響板に、写真中下にあるプロジェクターで投影させたものです。小規模上演での一例ですが、いろいろな方法で、わかりやすい上演を行うようになりました。