オペラを観に行こう!(2)

2021年10月22日
【ふじやまのぼる先生のオペラ講座(22)】
初めてオペラを観るんだけど、どうしたらいいの?と思っている人が意外に多いのです。そんなに気を使う必要はありませんが、いくつかのポイントを押さえておけば、そんなに身構える必要はなくなります。また、総合芸術と言われるオペラ。音楽、ストーリー、衣装、舞台装置など、いろいろな要素が詰まっています。皆さんなりの楽しみ方がきっと見つかります。ちょっと長くなりますが、読んでみてくださいね。
 

3. 会場で

Q. 会場に着いたらやることはありますか。
A. 座席には必要最低のものを。コートや荷物はクロークに預けましょう。
基本的に座席には必要最低限の物以外は、持ち込まないようにしましょう。コートや荷物は、クロークに預けます。ヨーロッパでは預けるのが有料(1ユーロくらいでしょうか)ですが、日本は無料で預かってくれます。ヨーロッパの劇場のボックス席には、専用のコート掛けがあるので、預ける必要はないです。(現在、コロナ禍でクロークが閉鎖されている劇場が多いです。荷物は控えめに。)
Q. 席がよくわかりません。
A. 係りの方に聞きましょう。
係りの方が親切に席まで連れて行ってくれます。ヘンテコな席に座ってしまって恥をかかないように、自信のないときは係りの方に頼ってみましょう。
Q. 席に座ったら・・・
A. 開演ベルが鳴るまで、休憩時間など確認しておくといいですね。
後は開演のベルが鳴るのを待ちましょう。誰かが自分の前を通るときは、立って通してあげましょう。この時、荷物があると大いに邪魔になります。休憩の配分や終演時間などが書かれた紙が配られます。最初の休憩までどのくらいかかるか把握しておくと安心です。配られないときは、ホール入り口のドア付近に掲示してあるので、心配な人は確認しておきましょう。
Q. 演奏が始まったら・・・
A. 雑音など周囲への配慮を。事前に冷房対策もしておきましょう。
日本のホールでは、ビニール袋に入ったチラシの束を入り口前で配布しています。このチラシを眺めるのは、次の公演を見つける楽しみの1つですが、ちゃんとカバンにしまっておきましょう。プログラムも同じです。膝の上に置いておくと、開演中ドサッと落ちることがあり、恥ずかしい思いをします。ハンカチや小さめのハンドタオルは必需品です。思わず咳やくしゃみが出そうになった時、手元にあると安心です。のど飴の包みをガザガザやっている人を見かけますが、小さな音でも気になり始めると耳につきます。スマートに出しましょう。誰ですか、前の人の席を蹴っているのは。いくら脚が長いからといって、蹴ってはいけません。あなた、そんなに身を乗り出しても、たかが30センチ。そんなに変わらないですよ。後ろにも観客がいるのです。周りへの配慮もお忘れなく。「空調が効きすぎ」と文句を言っている人を見かけます。体感温度は人それぞれ。休憩時にひざ掛けや毛布を借りましょう。たいていの日本のホールには用意があります。
Q. いつ拍手していいかわかりません。
A. 最初は周りの人に合わせてするのが無難です。
初心者にとって一番難しいところかもしれません。最初は周りの人に合わせてするのが無難です。フライングすると恥ずかしいですよ、「シーッ」って怒られます。コンサートでも同じですが、拍手は音が鳴り終わって、余韻が消えてからにしましょう。日本のホールでは、わざわざアナウンスで注意する所もあります。本来、本当に感動したとき、人は何もできず放心状態に陥るものです。
蝶々夫人公演写真
第3回県民オペラ「蝶々夫人」(2009年10月25日公演)より
Q. 休憩のときは席を離れたほうがいいのでしょうか。
A. トイレに行くなど少し歩き回るとよいでしょう。
座席でじっとしていると、エコノミークラス症候群になるかもしれませんので、少し歩き回るとよいでしょう。ドリンクコーナーで喉を潤したり、フードコーナーで小腹を満たしたり。アルコールもありますが、飲みすぎに注意。ガーガー寝てしまった人を見たことがあります。会場によってはいろいろな展示があるところも。意外に早く休憩は終わります。トイレも忘れずに。
休憩時間の写真
Q. カーテンコールとは?
A. 「終わって幕が下りた後、観客が拍手喝采して出演者を幕の前に呼び出すこと」です。
すべての音楽が終了すると、全員が拍手を受けるために順々にステージに出てきます。ミュージカルだと、音楽が流れることがありますが、オペラでは拍手と声援に包まれます。合唱、場合によっては合唱指揮者、ダンサー、脇役から主役級の歌手といった順に出てきます。拍手の大きさが、人によって微妙に違うことに気付きます。自分の評価と会場の評価が同じだったり違ったり。全員が揃うと、主役歌手に促されて指揮者が出てきます。指揮者はオーケストラピットのオーケストラを立たせ、拍手を受けさせます。バレンボイムという指揮者は、オーケストラ全員を引き連れて、舞台に登場しました。その演出の初日には、演出家が登場します。演出家への賛否はここで表されます。

4. 終演後

Q. 会場を出てから・・・
A家に着くまでが「オペラ鑑賞」です。気をつけて帰りましょう。
余韻に浸りながら、素敵なレストランでのお食事や、こじゃれたバーで一杯なんて楽しみ方もあります。チケットはどこかに行ってしまうことが多いので、購入したプログラムに挟んで保存すると良いでしょう。感想を書いたメモを一緒に挟んでも、思い返したときに笑みがこぼれたり怒りが沸き上がったりして楽しいです。すぐに感想をSNSに上げてはいけません。まだ観ていない人がガッカリするかもしれません。ほとぼりが冷めてから。雑誌などに、写真付きで批評が載ることがあります。自分の評価と同じか違うか比べるのも楽しみの1つです。評価は様々です。全員が同じ評価では気持ち悪いです。
多くの劇場には、会員制度やウェブ登録など、優先的にチケットを購入できるシステムがあります。慣れてきて、定期的に鑑賞するようであれば、会員登録するのも1つの方法です。会員割引になったり、プログラムが無料になったり、様々な特典がついてくるかもしれません。
ちょっとの気配りと準備で、とても気持ちよく鑑賞ができると思います。このコロナ禍でなかなか公演に出かけることが難しいかと思いますが、日本は他の国に比べると公演ができているほうだと聞いています。鑑賞に出かけるときには、ぜひ参考にしてくださいね。