タイトルロールってなに?

【ふじやまのぼる先生のオペラ講座(34)】
「タイトル」は題名、「ロール」はのこと。簡単に言うと、題名になっている役のことです。日本語で「表題役」「外題役」ということもあります。
例えば、「蝶々夫人」でいうと、蝶々夫人がタイトルロールということになります。使用例としては、「ソプラノの〇〇さんは、オペラ『蝶々夫人』のタイトルロールを演じた」という感じです。
「トスカ」のトスカ、「フィガロの結婚」のフィガロ、「ランメルモールのルチア」のルチアなどがタイトルロールです。
タイトルロール説明
しかし、「ロメオとジュリエット」や「トリスタンとイゾルデ」のように、二人の名前が題名になっている場合、どちらかわからなくなってしまうので、タイトルロールとは言いません。

タイトルロール=主役?

まあ、タイトルロールは主役と言っても過言ではありません。が、中には主役でないタイトルロールもあるのです。フランスの作曲家フランソワ・オーベール(1782-1871)の「ポルティチのもの言わぬ娘」というオペラがあります。この「もの言わぬ娘」が、ある意味主役なのかもしれませんが、当然ながらしゃべらない役なので、歌手が演じるのではなく、俳優が演じることになります。何とも面白い設定ですね。また、ドイツの作曲家ハンス・ウェルナー・ヘンツェ(1926-2012)の「若き貴族」というオペラのタイトルロールは、なんと!いろいろなオペラがあるものです。
「若い貴族」の配役表です。一番上の「Sir Edgar」がタイトルロールなのですが、お猿さんの役なので、声種の記載が「stumm=無言」となっています。
「若い貴族」配役表
「若い貴族」配役表の画像
タイトルロールの猿のイラスト