【ふじやまのぼる先生のオペラ解説(36)】
初演:1851年3月11日 ヴェネツィア フェニーチェ劇場
主な登場人物
登場人物相関図
あらすじ(つづき)
第2幕 公爵の館
公爵はジルダが連れ去られたことを聞き、アリア「彼女の涙が見えるようだ」を歌い嘆く。そこに廷臣たちが「リゴレットの妾」をさらってきたことを公爵に伝える。妾がジルダと気付いた公爵は、彼女に会いに別室に去る。リゴレットが現れ廷臣たちに娘の所在を聞くが、みな言葉をはぐらかすばかり。アリア「悪魔め鬼め」を歌い、娘を返すよう訴える。そこへジルダが泣きながら現れ、公爵に辱められたとこれまでのいきさつを話す。リゴレットは宮廷を去る決意をする。その時モンテローネ伯爵が投獄されるため引き立てられていく。リゴレットは公爵への復讐を誓う。
公爵はジルダが連れ去られたことを聞き、アリア「彼女の涙が見えるようだ」を歌い嘆く。そこに廷臣たちが「リゴレットの妾」をさらってきたことを公爵に伝える。妾がジルダと気付いた公爵は、彼女に会いに別室に去る。リゴレットが現れ廷臣たちに娘の所在を聞くが、みな言葉をはぐらかすばかり。アリア「悪魔め鬼め」を歌い、娘を返すよう訴える。そこへジルダが泣きながら現れ、公爵に辱められたとこれまでのいきさつを話す。リゴレットは宮廷を去る決意をする。その時モンテローネ伯爵が投獄されるため引き立てられていく。リゴレットは公爵への復讐を誓う。
第3幕 ミンチョ河畔のさびれた場所、うらぶれた宿屋
リゴレットは宿屋の中の居酒屋の様子をジルダに見せる。中では公爵が女を侍らせアリア「女心の歌」を歌っている。公爵はマッダレーナを口説き、外にいる父子との四重唱「いつかお前に会ったような気がする」を歌う。公爵の実態を娘に見せたリゴレットは彼女を男装させ、今すぐヴェローナに発つよう言い付け、彼女を行かせる。彼女が去ったあと、リゴレットはスパラフチーレに金を与え、公爵殺害を依頼する。公爵はマッダレーナを口説き、別室に消える。
リゴレットは宿屋の中の居酒屋の様子をジルダに見せる。中では公爵が女を侍らせアリア「女心の歌」を歌っている。公爵はマッダレーナを口説き、外にいる父子との四重唱「いつかお前に会ったような気がする」を歌う。公爵の実態を娘に見せたリゴレットは彼女を男装させ、今すぐヴェローナに発つよう言い付け、彼女を行かせる。彼女が去ったあと、リゴレットはスパラフチーレに金を与え、公爵殺害を依頼する。公爵はマッダレーナを口説き、別室に消える。
殺害準備するスパラフチーレのもとにマッダレーナが現れ、公爵が寝込んだことを伝えるが、公爵に恋してしまった彼女は、公爵殺害を思いとどまるようにスパラフチーレに懇願する。口論の末、公爵の身代わりが必要だとスパラフチーレが答える。それを聞いたジルダは、自分が身代わりになることを決意し、ドアをたたく。激しい雷鳴。殺人。リゴレットが死体を取りにやってくる。金を払い死体の入った袋を引きずっていると、遠くから公爵の歌声が聞こえてくる。驚いて袋を開けると、そこには瀕死のジルダが入っていた。彼女はリゴレットに親不孝を詫び死ぬ。「呪いだ!」と叫び愛娘の死体に泣き伏すリゴレット。
豆知識「女心の歌」
3幕でマントヴァ公爵によって歌われる「女心の歌」は、ヴェネツィアでの初演後、瞬く間に世間に広まり、ゴンドラ漕ぎまでが口ずさむほど流行したといいます。
言い伝えによれば、初演の数時間前まで公爵役のテノールにさえ教えていなかったとか。リハーサルで歌わせることによって、耳聡い市民の知るところとなり、初演では古臭いアリアとして聴かれることを恐れたとも伝わっています。
参考CD
参考CD(1)
指揮:アルトゥーロ・バジーレ
マントヴァ公爵:ジャンニ・ポッジ
ジルダ:ガブリエッラ・トゥッチ
リゴレット:アルド・プロッティ 他(1961年録音)
マントヴァ公爵:ジャンニ・ポッジ
ジルダ:ガブリエッラ・トゥッチ
リゴレット:アルド・プロッティ 他(1961年録音)
1956年から始まった「NHKイタリア歌劇団」公演。この録音は、第3回目の1961年(昭和36年)のものです。この第3回目は、「アンドレア・シェニエ」、「リゴレット」、「トスカ」、「アイーダ」、「カヴァレリア・ルスティカーナ&道化師」という演目が、9月28日から11月2日にかけて、東京で3公演ずつ、大阪で1公演ずつ上演されたと記録が残っています。もしかしたら、読者の方の中にもご覧になったオペラファンの方がいらっしゃるのでは。この時、「リゴレット」のジルダ、「アイーダ」のアイーダ、「道化師」のネッダで出演されたのが、オペラコンクールの審査委員を長年務められたガブリエッラ・トゥッチ(1929-2020)先生です。トゥッチ先生と身近に接することができた時間はとても貴重でした。マスタークラスなどでは暖かくも的確な指導で、若い歌手の将来へのアドバイスを行っていたのがとても印象に残っています。イタリアの人間国宝的な人でしたが偉ぶらず、気さくな人柄やその笑顔が今でも脳裏に焼き付いています。小姓役で名前のある松内和子さんも、オペラコンクールの審査委員としてご参加いただきました。
参考CD(2)
指揮:ゲオルク・ショルティ
マントヴァ公爵:アルフレード・クラウス
ジルダ:アンナ・モッフォ
リゴレット:ロバート・メリル 他(1963年録音)
マントヴァ公爵:アルフレード・クラウス
ジルダ:アンナ・モッフォ
リゴレット:ロバート・メリル 他(1963年録音)
なにより、アルフレード・クラウス(1927-1999)のマントヴァ公爵を聴くCDです。こんなに気品のある公爵は、ほかの録音では聴かれません。クラウスよりも重いテノールが歌うと、気品が無くなります。軽いテノールだとチャラチャラした感じになってしまいます。また、アンナ・モッフォ(1932-2006)のジルダも、幸薄い役の最後の輝きに満ちた歌い方で、とても好感が持てます。ここにも登場、ピエロ・デ・パルマ(1925- 2013)!
参考CD(3)
指揮:ランベルト・ガルデッリ
マントヴァ公爵:ジャコモ・アラガル
ジルダ:ルチア・ポップ
リゴレット:ベルント・ヴァイクル 他(1984年録音)
マントヴァ公爵:ジャコモ・アラガル
ジルダ:ルチア・ポップ
リゴレット:ベルント・ヴァイクル 他(1984年録音)
ランベルト・ガルデッリ(1915-1998)は、メデアのときにもご紹介しましたね。彼は、ヴェルディのあまり有名でない初期の作品を録音で遺しました。これらのオペラを聴くことができるのは彼のおかげです。このCDの歌手を見るとドイツ系の名前が多いので、ちょっと雰囲気がイタリアオペラっぽくないところも美点の1つです。ドイツオペラに定評のある、オペラコンクールの審査委員を務めたベルント・ヴァイクルのちょっと珍しいリゴレットや、ルチア・ポップ(1939-1993)のジルダが聴けるのも嬉しいところ。