ドニゼッティ作曲「ドン・パスクアーレ」 Don Pasquale Vol.1

ドニゼッティ作曲「ドン・パスクアーレ」 Don Pasquale　Vol.1

2024年1月19日

【ふじやまのぼる先生のオペラ解説（43）】

初演：1843年1月3日　パリ　イタリア劇場

主な登場人物

あらすじ

19世紀初め　ローマ

第1幕　第1場　ドン・パスクアーレの家の広間
ドン・パスクアーレはマラテスタが来るのを待っている。結婚相手を見つけてくるよう依頼してあったのだ。マラテスタはアリア「天使のごとく美しく」を歌い、ちょうど良い人がいると持ち掛ける。それは彼の妹と聞き、うれしさを爆発させる。

ドン・パスクアーレは、甥のエルネストが金持ちの女性と結婚するなら財産を譲る予定だが、甥は若い未亡人のノリーナと相思相愛。それなら自分が結婚するから、お前は出て行けと伯父さんに怒られ、二重唱「嫁をもらうですって？」から、エルネストのアリア「甘く清らかな夢よ、さらば」となり、両人退場する。

第1幕　第2場　ノリーナの部屋
ノリーナは本を読みながら、アリア「その眼差しにかの騎士は」で恋に恋する歌を歌う。そこに恋人のエルネストから、悲痛な手紙が来る。兄のマラテスタに相談すると、何か策がある模様。ノリーナの花嫁修業を始める二重唱「さあ、用意はいいわ」。

第2幕　ドン・パスクアーレの家の居間
追い出されたエルネストは、ノリーナとの別れをアリア「遙かなる土地を求めて」に込めて歌い去る。マラテスタはドン・パスクアーレに、ノリーナを別の女性に仕立て上げ、「尼寺から出てきたばかりで何も知らないソフローニャ」と紹介する。結婚の段取りが整えられ、偽公証人が結婚式を執り行う。伯父に別れを告げに来たエルネストは、この状況を見てびっくり。マラテスタがエルネストを言いくるめ、結婚の証人にさせる。ところが署名が済んだとたん、ソフローニャは傍若無人に振舞うじゃじゃ馬に大変身。大騒ぎとなる。

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第3幕は次回お届けします。

聴いてみよう

第8回コンクールで、見事第1位に輝いた韓国のテノール、ムン・セフン。彼は本選で、エルネストのアリア「遙かなる土地を求めて」を歌いました。その時の映像をご覧ください。

ムン・セフン

（第8回コンクール・第1位）

ムン・セフンさん　
「第8回静岡国際オペラコンクール」本選映像
※下のバナーをクリックするとYouTubeの動画ページが開きます。

自選役

このオペラからは、ノリーナ、エルネストの2役が、静岡国際オペラコンクール第2次予選自選役リストに含まれています。
自選役リスト
https://www.suac.ac.jp/opera/competition/application/guidelines/list/

マルチタレントのドニゼッティ

Etching, Artist unknown -
Public domain, via Wikimedia Commons
ガエターノ・ドニゼッティ

「ドン・パスクアーレ」は、パリの「イタリア劇場（Théâtre Italien）」で初演されました。この劇場はパリにあって、イタリア語のオペラを専門に上演する劇場でした。当時のパリの文化的水準の高さがうかがえます。今のように字幕も無かったでしょうから、観客はある程度イタリア語がわかったのでしょう。

逆に、ドニゼッティはフランス語のオペラも作曲しています。「オペラ・コミック（また出てきましたよ、覚えていますか？）」形式で書かれた「連隊の娘」や、「グラントペラ」様式で書かれたフランス語台本の「ラ・フォヴォリート」があります。

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