リヒャルト・ワーグナー作曲「トリスタンとイゾルデ」 Tristan und Isolde Vol.3

【ふじやまのぼる先生のオペラ解説(23)】
初演:1865年6月10日 ミュンヘン 宮廷劇場
詳しい解説(vol.1とvol.2)は、下記をご参照ください。

👉リヒャルト・ワーグナー作曲「トリスタンとイゾルデ」Vol.1
  https://www.suac.ac.jp/opera/blog/2022/07/00151/
👉リヒャルト・ワーグナー作曲「トリスタンとイゾルデ」Vol.2
  https://www.suac.ac.jp/opera/blog/2022/08/00152/
  (※いずれも、オペラコンクールブログ『トリッチ・トラッチ』より)
こんなことってあるんですね。東京で、同じ月に2つのプロダクションによる「トリスタンとイゾルデ」が上演されるなんて!無人島に持っていく楽譜は「トリスタンとイゾルデ」と決めている先生にとっては、僥倖です。
オーケストラなら、あるかもしれません。東京にはあまたのオーケストラがあり、同じ月に同じ曲を演奏することもあるでしょう。でも「トリスタンとイゾルデ」ですよ。それも全曲ですよ。「前奏曲」とか、「愛の死」じゃないんです。全曲ですよ。
かつて、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が、同じ月に同じ渋谷区で、2つのプロダクションが上演されたことがありました。2005年だったでしょうか。この時も、仰天しました。それ以来ですね。
上演の早い方からご紹介いたします。

(1)新国立劇場での上演

   2024年3月14日(木)、17日(日)、20日(水・祝)、23日(土)、26日(火)、29日(金)
   新国立劇場「トリスタンとイゾルデ」公演詳細ページ
     https://www.nntt.jac.go.jp/opera/tristan-und-isolde/
ワーグナーは大作です。アナウンスでは、休憩を含めて5時間45分とか。でも、「トリスタンとイゾルデ」は、あっという間です。このプロダクションは、2010年12月から2011年1月にかけて上演されたものの再演です。
指揮は、前回と同じ大野和士さん。今回は万全な体調で臨まれることでしょう。音楽監督としてその威信をかけた公演になること請け合いです。手兵東京都交響楽団の演奏も聴きもの。演出は、デイヴィッド・マクヴィカーさん。男声合唱がヘンな体操のような動きをしていたのが、妙に記憶に残っています。コンクール審査委員の三浦安浩先生によると、マクヴィカーさんはとても知的な方とか。前回トリスタンを歌ったステファン・グールドさんは、惜しまれつつも昨年亡くなりました。その代わりニャリさんがトリスタンを歌われます。先生もまだお聴きしたことがないので、楽しみです。というか、ワーグナーを聴く人にとってテノールの出来不出来は重要問題の1つ。藤村さんは日本を代表するメゾソプラノで、先生はドレスデンで聴いたブランゲーネが印象的でした。シリンスさんは、次に紹介する東京・春・音楽祭の常連。今回は、新国立劇場への出演です。
主な登場人物
新国立劇場役名
前回公演のプログラム
トリスタンとイゾルデ公演プログラム

(2)東京・春・音楽祭での上演

   2024年3月27日(水)、30日(土)
   東京・春・音楽祭「トリスタンとイゾルデ」公演詳細ページ
     https://www.tokyo-harusai.com/program_info/2024_tristan-und-isolde_01/
指揮は、マレク・ヤノフスキ。この音楽祭では、毎年ワーグナーの作品を取り上げており、ヤノフスキの指揮も定着しています。無駄なぜい肉を排除した、筋肉質な音楽を創り上げます。歌手も、新国立劇場と勝るとも劣らない布陣。ゼーリヒさんは、マルケ王の常連。先生も何度か聴いています。アイヒェさんは、この音楽祭の「神々のたそがれ」で、格調高いグンターを歌いあげていました。ドノーゼさんは以前ウィーンでよく聴きました。フォルクスオーパーにおいて、ドイツ語で歌われた「カルメン」は、先生に強烈な印象を与えました。
こちらは演奏会形式で、予定上演時間は5時間とか。喜ばしいことに、今回はいつものあの有名なコンサートマスターではないようです。
主な登場人物
東京・春・祭役名
先生は、時間が許せば両方行こうと思っています。また、レポートしますね。
Tristan and Isoldえ