教育・研究

2023年07月31日

「浜松手をつなぐ育成会・浜松キャラバン隊」をお迎えした特別講義が行われました

文化政策学科専門科目「地域福祉論」では、地域福祉の実践的活動を知るため、現場で福祉に取り組む自治体や団体の方をお招きした講義を行っています。
その第1回目としてお招きしたのは、知的障がいの子どもを持つ親の会「浜松手をつなぐ育成会」の皆さん。その中でも、同会が行う委員会活動の一つである「浜松キャラバン隊(浜キャラ)」の活動をご紹介いただきました。
浜松キャラバン隊の皆さん

浜松手をつなぐ育成会は、障がいがあってもノーマライゼーションの理念に基づいて人権が保障され、地域の中であたり前に「共に生きる」ことのできる社会を目指した活動を行なっている組織です。その活動の一環として、地域の学校や団体など様々な場所を往訪し講演を行うキャラバン隊という活動が全国にありますが、浜キャラでは、障がいのある人がどのようなもどかしさを感じているのか、周囲はどのように接すれば良いのか、兄弟児はどのような気持ちでいるのか等、分かりやすく、体験的に理解できるように寸劇などを取り入れているそうです。「浜松キャラバン隊」は発足して今年で14年目。活発な活動を続けています。

今回のゲスト講義では、実際に各所で行っている公演を行っていただきました。
ミニ演劇:コンビニの場合
ミニ演劇:コンビニの場合
ミニ演劇:バスの場合
ミニ演劇では、「コンビニ編」「バス(バス停とバスの中)編」と様々な場面での知的障がいがある人の動きを紹介しました。日常で出会ったとき、どののように対応したらよいのか、気を付けることは何かを理解していれば、冷静に対応できます。
演劇を通して、どのような場合にパニックを起こしてしまったり、大声で叫んだり、体を上下に揺らしたりするのかを知ってもらい、行動を理解してもらうことを目的としています。
配られたビニル袋と花紙
授業中盤では、学生一人ひとりにビニル手袋と黄色とピンク色の花紙が配られました。
ビニル手袋を着けて細かな作業がしにくい状態で、1分以内に花紙から花飾りを作るように説明があると、キャラバン隊の皆さんは作業をする学生たちを「早くしなさい」「間に合わないよ」などと急かすような声を掛けます。一方で、2回目の作業では「上手だね」「ゆっくりでいいんだよ」などの優しい声を掛けます。
これは障がいのある人への声掛けのポイントを体験してもらうもの。障がいのある人は一生懸命やろうとしても早くできなかったり、うまくできなかったりすることがあります。周囲の人は急かす気持ちになってしまうことがありますが、声掛けの内容で余計にできなくなったり、混乱したりしてしまいます。時間や気持ちに余裕をもってやることで、周囲の人にも良い影響があるといいます。
受講生らは、街で見かけるおかしな行動をする人(障害のある人)への具体的な対応方法を学ぶと共に、地域住民の連携による声かけなどのサポート、福祉教育のあり方についても考えることとなりました。また、明文化されていない暗黙の一般常識を前提としたコミュニケーションについても、改めて見つめなおすきっかけとなりました。

発行部署:企画室