教育・研究
2026年04月13日
国際文化学科二本松ゼミ(伝承文学)の学生が編著した書籍『オクハマ!佐久間のむかしばなし』が刊行されました
文化政策学部国際文化学科の二本松康宏ゼミ(伝承文学)では、浜松市天竜区の中山間地域で昔話や伝説を採録し、書籍として刊行する活動に取り組んでいます。『水窪のむかしばなし』(2014年度)、『みさくぼの民話』(2015年度)、『みさくぼの伝説と昔話』(2016年度)、『たつやまの民話』(2017年度)、『春野のむかしばなし』(2018年度)、『春野の昔話と伝説』(2019年度)、『北遠の災害伝承―語り継がれたハザードマップ—』(2020年度)、『春野の山のふしぎな話』(2021年度)、『春野の民話』(2022年度)、『春野のむかし語り』(2023年度)、『天竜くんまの昔ばなし』(2024年度)に続き、2025年度の『オクハマ!佐久間のむかしばなし』で12冊目になりました。
今回の『オクハマ!佐久間のむかしばなし』を編纂したのは、二本松ゼミに所属する鬼沢知里さん、髙淵早紀さん、辻󠄀榮春菜さん、丸山凛さんの4名(いずれも文化政策学部4年)です。
2025年5月から2026年2月までにのべ25日に及ぶ調査を重ね、119名の語り手から昔話、伝説、世間話、言い伝えなど合計240話を採録。そのなかから精選された昔話34話、伝説32話、世間話19話、言い伝え12話、合計97話が「方言のまま」「語り口のまま」に『オクハマ!佐久間のむかしばなし』に掲載されています。それぞれの地区の「伝承背景」を解説・考証した「地域解説」も学生たちの研究成果です。
4月6日には書籍を編纂した学生3名が浜松市役所を訪ね、中野祐介浜松市長に調査を報告し、献本しました。学生たちからは、「調査を重ねる中で、地域の方々との距離が徐々に縮まり、温かく迎え入れていただいたことが印象に残っている。」「自分たちが記録しなければ、この地域の語りが失われてしまうかもしれないという使命感を強く感じた。」などの思いが述べられました。中野市長からは、「民話は地域の歴史や暮らしの記憶そのものであり、それを丁寧に記録として残した活動は大変意義深い。若い世代が地域に入り、人々の語りを受け止めて次の世代へつないでいくことは、地域の文化を守るうえで非常に重要。」と本活動を高く評価されました。また、「書籍として形に残すことで、地域全体で語り継いでいくことができる。多くの方に手に取っていただきたい。」と期待を寄せられました。


また、同日には佐々木雅幸学長にも調査を報告し、献本しました。学生たちからは調査の中での語り手とのエピソードや活動を通して得られた学びについて語られ、佐々木学長は「現地に足を運び、人々の語りを直接聞き取り、そのままの言葉で記録するという取組は、学術的にも大きな価値がある。」と活動を評価しました。


二本松康宏教授からのコメント
天竜区佐久間町は「歴史と民話の郷」とうたわれる土地です。その言葉どおり、この地域には、山や川や峠にまつわる「伝説」、家々の暮らしの中で語られてきた「昔話」、人びとの交わりの中で広まった「世間話」、日々の経験から生まれた「言い伝え」が、いまも幾重にも息づいています。それらは娯楽としての話にとどまらず、この土地で生きてきた人びとの歩みや気持ちを伝える、かけがえのない口承の記録です。
しかし、そうした語りの世界は、近年の高齢化と過疎化のなかで、急速に聞かれにくくなりました。話が失われるということは、単に古い伝承が消えるということではありません。その話を囲んでいた家族の時間、近所どうしの交わり、土地の来歴をたしかめ合う場が、少しずつ見えなくなっていくということでもあります。
本書は、佐久間に伝わってきた民話を記録し、その土地の歴史や暮らしの背景とともに読み返していただくために編みました。話の面白さを味わっていただくと同時に、佐久間という土地がどのような記憶を抱え、どのような日々を積み重ねてきたのかを感じていただけたらと思います。
書籍情報

『オクハマ!佐久間のむかしばなし』
監修:二本松康宏
編著:鬼沢知里、髙淵早紀、辻󠄀榮春菜、丸山凛
発行:三弥井書店
発行日:2026年3月23日
ISBN 978-4-8382-3439-4
定価:1200円(税抜)
表紙画:服部奏(本学文化政策学部卒業生)
書籍は全国の書店をはじめ、各オンラインショップで購入可能です。
発行部署:企画室
