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2026年04月10日

令和8年度 静岡文化芸術大学入学式を挙行しました

入学式の看板の画像

4月6日(月曜日)に「令和8年度静岡文化芸術大学入学式」が行われ、文化政策学部・デザイン学部、大学院文化政策研究科・デザイン研究科の新入生が一堂に集いました。

当日は、満開に咲き誇った敷地内の桜の木が、真新しいスーツを着た新入生たちを出迎えました。

南中央エントランスの満開の桜の画像
入学式の受付の画像
令和8年度の新入生は、文化政策学部221名、デザイン学部116名、文化政策研究科5名、デザイン研究科7名の合計349名。佐々木雅幸学長より、入学許可を得ました。
 
入学式会場 壇上の画像
入学生呼名の様子
学長式辞の様子の写真
佐々木学長は「この大学での学びを通じて自らの創造性を育み、やがて世界と地域の未来を形づくる担い手として羽ばたいていくことを、私は心から願っています。」と式辞を述べました。
式辞全文(クリックで開きます。)

新入生の皆さん、本日はご入学、誠におめでとうございます。
静岡文化芸術大学を代表して、皆さんを心から歓迎いたします。
また、本日まで皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆さまにも、心よりお祝いを申し上げます。
皆さんは今日から、大学という新しい学びの世界に歩みを進めます。

大学とは何でしょうか。

大学とは単に知識を学ぶ場所ではありません。大学とは、人間が世界を理解しようとして築いてきた知の共同体であります。
私はかつて、イタリアのボローニャ大学に客員研究員として滞在する機会を得ました。
その折、旧校舎アルキジンナジオにある「テアトロ・アナトミコ」、すなわち解剖劇場を訪れる機会がありました。木造の円形劇場の中央には解剖台が置かれ、その周囲を階段状の学生席が取り囲んでいます。そこはまさに、人間の身体という神秘を探究する知の劇場でした。
かつて学生たちはこの場所に集まり、人間の身体という最も根源的な謎を解き明かそうとしていました。その空間に立ったとき、私は強く感じました。
大学とは、人間の知を探求する壮大な舞台なのだ、と

大学の歴史は、およそ千年前に遡ります。世界最古の大学はイタリアのボローニャ大学で、その創立は1088年とされています。この大学は、王や教会が設立した学校ではありませんでした。学びたいと願う学生たちがヨーロッパ各地から集まり、教師を招き、学びの共同体をつくったのです。
この共同体はラテン語で「ウニベルシタス」と呼ばれました。
この言葉は本来、大学という意味ではなく、自治的な共同体、いわば知のギルドを意味する言葉でした。つまり大学とは、学びたい人々が自ら作り上げた知の自治共同体なのです。

大学はまた、学問の自由を守る場所でもありました。中世の大学では、医学研究の発展のために人体解剖が行われるようになりました。人間の身体を理解するためには、実際に観察することが不可欠だったからです。しかしそれは当時の社会において、決して容易なことではありませんでした。だからこそ大学には、既存の権威や常識にとらわれず、真理を探究する自由が必要でした。
この精神――学問の自由と大学の自治――は、今日まで大学の基本理念として受け継がれています。
私がボローニャ大学に滞在していた1999年から2000年には、「欧州文化首都ボローニャ2000」が開催されていました。都市全体が文化芸術の舞台となり、市民、大学、芸術家、文化機関が協働して新しい文化芸術を創り出していく。その姿を目の当たりにして、私は文化芸術が都市の未来を形づくる大きな力を持っていることを実感しました。
この経験が、後に私が研究することになる創造都市というテーマの出発点となりました。

本学が立地する浜松という都市もまた、創造性に満ちた都市です。浜松を中心とする遠州地域は、楽器産業、オートバイ産業、自動車産業など、日本を代表するものづくりを生み出してきました。それらは外から与えられたものではありません。
地域の企業家や技術者たちの創意と挑戦によって生まれた内発的創造の成果です。
ユネスコは2004年に創造都市ネットワークを設立しました。
ボローニャは2006年、音楽分野で創造都市に認定されました。
浜松もまた音楽文化の都市であり、2014年には音楽分野でユネスコ創造都市に認定されました。これはアジアで初めての音楽創造都市でした。
この申請にあたり、私も微力ながら協力する機会を得ました。

静岡文化芸術大学は、このような創造都市浜松において、静岡県、浜松市、そして経済界など地域社会の支援を受け、文化とデザインの力によって社会の未来を創造することを理念として設立された大学です。
2013年の秋、私は再びボローニャ大学を訪れました。大学の自治と学問の自由を宣言した「大学マグナ・カルタ」25周年記念式典が開催されていたからです。
その記念講演を行ったのが、ボローニャ大学の著名な教授であり、記号論哲学の創始者として知られる思想家ウンベルト・エーコでした。
私はその講演を会場で直接聞く機会を得ました。エーコは次のように語りました。
「情報があふれる社会において、大学は知の真正性を守るゲートキーパーでなければならない。」
今日、私たちはAIが急速に発展する時代に生きています。しかし未来の社会をどのように形づくるのかを考えるのは、AIではありません。それは人間の創造力です。大学は知識を受け取るだけの場所ではありません。問いを立て、考え、新しい価値を生み出す場所です。そしてその中心にいるのが、皆さん一人ひとりです。

最後に、日本の詩人
宮沢賢治の言葉を紹介したいと思います。賢治は『農民芸術概論綱要』の中で、こう書いています。
「世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない。」
大学とは、人間がよりよく生きる社会をつくるために知を磨く場所です。文化芸術、デザイン、そして学問は、人々の未来を照らす灯であります。

今日ここに入学された皆さんが、この大学での学びを通じて自らの創造性を育み、やがて世界と地域の未来を形づくる担い手として羽ばたいていくことを、私は心から願っています。そしていつの日か皆さんが振り返ったとき、ここ静岡文化芸術大学での学びの日々が、皆さん自身の人生と社会の未来を拓く創造の出発点であったと思っていただけるならば、これに勝る喜びはありません。

本日ここに、
新しい知の旅を始める皆さんを心から歓迎し、私の式辞といたします。
 

令和8年4月6日 
静岡文化芸術大学 学長 佐々木雅幸 

入学生誓いの言葉では、新入生代表として文化政策学部芸術文化学科の末次心彩さんが登壇し、学生生活への抱負と修学への意欲を述べました。

また、在学生代表を学友会長の佐々木彩巴さん(文化政策学科3年)が務め、新入生に歓迎のことばを送りました。

新入生代表末次さん誓いの言葉の様子
末次心彩さん(新入生、芸術文化学科1年)
在学生代表の言葉の様子
佐々木彩巴さん(学友会会長、文化政策学科3年)
新入生の皆様ご入学おめでとうございます。教職員一同心よりお祝い申し上げます。

発行部署:企画室