イベントレポート

2022年04月14日

室内楽演奏会2021/シリーズ音楽の力 つなぐ「奄美のシマ唄・島唄」が開催されました

鼎談の様子
室内楽演奏会2021が企画・運営をするシリーズ音楽の力。7回目となる今回の公演は、「つなぐ」をテーマに奄美大島のシマ唄・島唄についてレクチャー&コンサートを開催しました。
奄美大島の音階の説明
村松さんの即興演奏と環境文化映像
このレクチャー&コンサートでは、奄美大島の世界自然遺産登録に向けつくられた、新しい島唄「懐かしい未来へ」の楽曲制作に携わった3名を招き、2021年に認定された世界自然遺産と文化継承や、奄美大島の未来について考えました。

第1部の鼎談では、奄美大島の文化の概観や他の観光地との違い、世界自然遺産登録と奄美の現状についてお話いただきました。
島の外に出て就職することが当たり前のように思われていた奄美大島の島民にとって、世界自然遺産登録は、島民のアイデンティティづくりの大切さや、奄美の自然環境の中で営まれてきた人々の文化の豊かさに気づくきっかけとなったと語ります。
また、世界自然遺産登録記念祝賀イベントでも披露された環境文化映像に合わせ、村松さんがピアノを即興で演奏し、奄美大島の情景や島心を感じる時間となりました。

第2部のコンサートでは、奄美の伝統が現代の生活にどのように馴染み、変化しているかを示すため、古典的民謡から新しく創作された「島唄」が紹介されました。
最後に披露された新しい島唄「懐かしい未来へ」は、地名を表す単語は使われず、聴いた人がそれぞれの地元や故郷に思いを馳せることができるような歌詞になっており、奄美大島の島唄を通して自分自身の問題として共感してもらいたいという思いが込められています。
合唱には本学ゴスペルサークル「ごす」のメンバーが賛助出演しました。
懐かしい未来へ
懐かしい未来へ
懐かしい未来へ

開催概要

奄美のシマ唄・島唄チラシ
【日時】 2022年3月5日(土曜日) 開場:午後2時  開演:午後3時
【場所】 静岡文化芸術大学 講堂
【出演】 新元一文・麓 憲吾・村松 健
【賛助出演】 ゴスペルサークル「ごす」
【主催】 静岡文化芸術大学 文化・芸術研究センター
【後援】 浜松市
【運営】 静岡文化芸術大学室内楽演奏会2021
 

室内楽演奏会について

室内楽演奏会は、文化政策学部梅田英春教授の指導のもと、大学ならではのテーマや特徴あるジャンルを取り上げ、学生が中心となって演奏会を企画・運営をするプロジェクトで、本公演には12名の学生が運営に携わりました。また、本学のカリキュラム「地域連携演習」のプログラムの一つでもあり、現在は浜松市の創造的な取り組みを行うクリエイティブコアモニタリング事業に指定されています。
室内楽演奏会の学生たち
室内楽演奏会の学生たち
室内楽演奏会の学生たち
室内楽演奏会の学生たち
室内楽演奏会の学生たち
室内楽演奏会の学生たち
室内楽演奏会の学生たち
室内楽演奏会の学生たち

学生、担当教員からのコメント

北原佳歩さん
室内楽演奏会の開催にあたり、事前にレクチャー&コンサートで扱う音楽の特徴や奄美での取り組みを学習しました。そこで得た知識を、チラシに掲載する公演内容の紹介文の作成や、知人へ向けた広報の際に活用できたことから、開催する催しの内容を主催者が深く理解し、説明できるようにしておくことが重要だと学びました。
開催当日は、来場者に着席可能な座席やお手洗いをご案内しました。ジェスチャーを交えたり、来場者のご年代に合わせて話し方を変えたりして、分かりやすい案内になるよう工夫しました。アンケートから、多くの方にご満足いただき、レクチャー・コンサートの両方でお楽しみいただけたと分かり嬉しく思います。
髙橋のどかさん
室内楽演奏会での一年間の活動は、コロナ禍でうまくいかないことも多かった中、どのようにしてコンサートを企画・運営していくのかということを実践的に学ぶことができた大変貴重な機会でした。前日の準備や設営、当日の案内だけでなく、計画を立てて出演者の方と綿密にやりとりをしたり、メンバーと議論を重ねながらチラシの文面や配布場所を決めたりといったことを通して、イベント運営の大変さと楽しさを身をもって感じることができました。
当日はたくさんの来場者の方に恵まれ、奄美大島の自然や文化、音楽について知ってもらうことはもちろん、自分の住むそれぞれの地域の未来についても改めて考えてもらう良いきっかけになったのではないかと思います。
梅田英春教授
奄美大島の伝統音楽の継承は、目まぐるしい社会変化の中で困難になってきています。さらに2021年には世界自然遺産登録により島は今、大きな変化の波が押し寄せています。この演奏会を通して奄美大島の人々が、「懐かしい未来」を目指して、伝統音楽を過去と同じように伝承するのみならず、伝統を礎に、新たに伝統を創造しようとする試みが垣間見れたと考えています。
しかしこの伝統音楽をめぐる課題は、私たち浜松市、また静岡県の多くの伝統文化にも言えることなのです。伝統や慣習は守るだけのものなのか、あるいは新たな社会的文脈の中で変化していくことを肯定すべきなのかという分岐点に私たちは立っています。このコンサートを通して観客の皆様が、自分たちの周辺に息づく伝統音楽(芸能)の伝承に関心を持っていただけたならば嬉しく思います。

発行部署:地域連携室