イベントレポート
2023年09月05日
Academic Dance Collection 2023スペシャル講義ライブ 劇場芸術の境界線
舞台作品を制作する過程においては、 様々な角度からの議論や調整を経て実現に向いますが、今回は新作の舞踊作品を企画・プロデュース。一般公開する公開講座としてお披露目しました。

本企画には、芸術文化学科、文化政策研究科の永井聡子ゼミを中心とするおよそ40名の学生が広報、展示、フロント、楽屋整備、舞台運営(照明、音響操作、後見、小道具)などの役割を担当。スタッフは、舞台照明家の服部基氏、衣装デザイナーの時広真吾氏をはじめ、学生は照明操作など様々な役割をプロに指南されながらも、即戦力として本番を迎えました。
本番は2回公演。当日1限からは永井教授担当「演劇文化論」履修学生150名向けに上演し、13時からは一般のお客様250名と合わせておよそ400名が鑑賞しました。当日のプログラムは、永井教授による趣旨説明の後、大前光市さん振付の新作ソロ作品『ひまわり』『珊瑚の呼吸』と、花柳源九郎さん振付・構成の古典を集めた『四季』より『春・三番叟』『夏・布さらし』『秋・秋の野 辺』『冬・獅子』、そして新作『YUKI』、アフタートークとして作品の創作過程についての講義も行われました。
©︎Kazuma Sugihara

©︎Kazuma Sugihara
永井聡子教授のコメント
授業の一環とは言え、学生たちが行った業務は文化施設のスタッフの業務内容と同じです。
新作舞踊「YUKI」の出演には義足のダンサー・大前光市さん、作・演出・振付・語りには日本舞踊家・花柳源九郎さん。「YUKI」は小泉八雲原作の怪談「雪女」(池田雅之編訳『妖怪・妖精譚』所収、筑摩書房、2004年)をもとにした作品です。原作の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン、1850-1904)は、ギリシャに生まれの作家で帝国大学 (東京大学)などでも教鞭をとりました。日本人の妻・セツと暮らし日本に帰化、晩年には「雪女」を収めた『怪談』を出版。西洋文化よりも日本文化に傾倒した八雲が書いた「雪女」を題材に、「YUKI」を人間と夫婦となった雪女の喜びや葛藤といった心情を舞踊表現で描きました。
舞台は稽古や本番という時間だけでなく、上演される空間や設備など制限がある中で創造されますが、今回は本学講堂という劇場ではない空間を演劇、舞踊作品に合うように仕立てた作品です。鑑賞した学生はコンテンポラリーダンスと日本舞踊、演劇的な表現と舞踊的な表現の融合を目の当たりにし、「『YUKI』の公演は「演劇文化論」の総括のようで感動しました。」「ただ鑑賞するよりももっと価値ある時間となりました。」などの感想を持ち、「観客を意識した舞台造り」に対して劇場芸術の境界線の意味への理解が深まったとのことです。
学生は舞台芸術の学びとする過程で教科書には載らない舞台芸術の多くを学んだと思います。次は、大学劇場から発信した新たな舞台作品が劇場公演を迎えられるよう準備をしています。開催概要

小泉八雲原作『雪女』より
スペシャル講義ライブ2023「YUKI」
【日時】2023年7月20日(木曜日)午後1時開演(午後0時30分開場、午後2時30分終演予定)
【会場】静岡文化芸術大学 講堂
【入場料】(全席自由) 一般:3,000円、大学生以下:2,000円、障がい者手帳をお持ちの方:2,000円
【プログラム】
趣旨説明:永井聡子(静岡文化芸術大学 芸術文化学科教授)
舞踊作品:
大前光市 振付 『ひまわり』『珊瑚の呼吸』
花柳源九郎 振付・構成『四季』より「春・三番叟」「夏・布さらし」「秋・秋の野辺」「冬・獅子」
新作初演 『YUKI』:
企画 永井聡子
作・演出・振付 花柳源九郎
舞踊(YUKI) 大前光市
語り 花柳源九郎
企画・プロデューサー | 永井聡子(本学文化政策学部芸術文化学科) |
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照明 | 服部基 |
衣装 | 時広真吾(「YUKI」) |
舞台監督 | 鈴木寛史 |
照明操作 | 前田奈都子、近藤大亮、横井利明 |
小道具 | 松竹衣裳株式会社 |
音響録音 | 犬塚裕道(「YUKI」) |
制作 | 永井ゼミ 3年生、4年生、大学院生 |
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フロント | 牧野佳奈(チーフ)、伊藤乃夏、大畑真優、岡本葉菜、松山楓、平田美月(録画)、矢ケ﨑歩、今碇真央(文化政策研究科1年) |
パンフレット・チケットデザイン・舞台・楽屋・広報 | 荒井日菜子、井上萌、大森あおい、小野響、梶彩芽、 匂坂優花、鈴木一平、鷹森千佳、萩原彩吹 |
広報 (プレ企画:図書館、学内展示) |
石山渚結、井上加那、内澤優華、小野怜那、菊池来夏、佐藤愛依、知花みのり、富澤季綺、中野愛香、中山天花、中山藍、平井明日香、本堂暖人、前田美晴、村瀬和花、山本佳奈、吉本果穂(「芸術文化基礎演習D」永井クラス2年生) |
後見 | 竹内舞浩(文化政策研究科2年) |
小道具操作 | 王辛顔(文化政策研究科1年) |
音響操作 | 渡邊菜月 |
協力 | p@tch-code(仕込み・撤収)河原﨑茜、金沢春香、木俣萌花、平松栞 |
協力 | 静岡市清水文化会館マリナート |
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発行部署:企画室