教育・研究

2022年05月11日

「日本伝統建築」で文化行政に携わる浜松市職員の方をお招きし特別講義が行われました(4月20日実施)

デザイン学部専門科目・文化政策学部科目の「日本伝統建築」(担当、新妻淳子准教授)では、日本の伝統建築の歴史と特質について先史時代から近代までを学びます。さらに建築の技術、材料や道具、文化財政策や保存・活用について理解を深め、文化資源のあり方を考察します。
鈴木一有さんの画像(マスク無し)
浜松市 創造都市・文化振興課 鈴木一有さん
4月20日、浜松市市民部創造都市・文化振興課の鈴木一有さんをゲスト講師としてお招きし、日本における先史時代の建築から浜松市内の建築関係指定文化財等まで幅広くお話しいただきました。
日本の伝統建築を学ぶ前提として、人類の衣食住の始まりと文化の発展について考察するために、考古学の専門家による先史時代の建築についての特別講義の機会を設けています。
特別講義の様子(大講義室の後ろから撮影した画像)
 先史時代の建築は現存しているものはなく、発掘調査によって判明した遺構や遺物等の考古学的情報と関連情報によって推定復元され、史跡公園等に復元建物として展示されています。「復元家屋の屋根が植物であったか、土であったかは、材料が残存していないと確定できないのですが、その土地で得られる材料や古建築、民族例(古写真等)から復元されています。」と鈴木さんは言います。発掘調査からよみとれる建築の情報としては、柱穴や残された痕跡(地下遺構)があり、それらから竪穴建物や掘立柱建物を想定し、上屋構造を推定するとのことです。
鈴木一有さん遺跡発掘の仕組みをボードで説明している様子の写真

打製石器が用いられていた旧石器時代、土器・弓矢・磨製石器が使用される縄文時代、米作が始まる弥生時代、政治政権が出現する古墳時代まで、時代背景と建築的な特徴について学びました。 遺跡は、文化財保護法の「埋蔵文化財」として明記され、浜松市内では約1,000箇所が「周知の埋蔵文化財包蔵地」として登録されています。その中でも重要な遺跡は指定文化財として保護され、公園等として整備が行われています。浜松市内では、ヒラシロ遺跡、蜆塚遺跡、伊場遺跡、光明山古墳等が整備されているそうです。

講義の後半は質疑応答が行われました。建物の推定復元に関する質問が多数あり「今後重要な発見があった場合、現状の復元例が見直されることは大いに考えられます。」と鈴木さん。「昔の道具などから昔の人の知恵が見られるのが面白い。」「生活文化によって住居の形や用途が変わっていくことが面白い。」「先史時代の建築は、今を知るためにも重要であると感じた。」など、学生から感想が寄せられました。 「浜松市には文化財が多数あることに驚きました。」という感想に、鈴木さんは「文化財の種類も豊富です。浜松市のホームページでも紹介しているので、調べて、ぜひ現地を訪れてみてください。」と伝えました。

はままつの文化財/浜松市

発行部署:企画室