教育・研究

2023年06月07日

「インテリアデザイン論」にてアロマを使った空間づくりについてゲスト講義が行われました

デザイン学科専門科目「インテリアデザイン論」(担当:植田道則教授)にて、株式会社ベルデザイン代表取締役の白本鐘一郎さんをお招きしたゲスト講義が行われました。
白本さんによる講義は昨年7月に続いて2回目。今回は講義後半に天然精油を使ったアロマスプレーづくりも体験しました。
ゲスト講師のサンク・サンス株式会社・白本さん

株式会社ベルデザインは、主にエステサロン等の運営や経営コンサルティングなどを行う企業。アロマ関連事業も行い、「植物の香り」でオフィスや商業施設、医療施設、イベント空間などの「空間価値の向上」にも取り組んでいます。
今回の講義では「能動的に、香りをデザインする」をテーマに、求められる心理的効果に合った香りをデザインした事例紹介と、空間づくりへの香りの活用法についてお話しいただきました。

知られざるアロマと香りの可能性

講義の様子
少子高齢化が進み、保険制度の将来性が不安視されるフランスでは、セルフケアができるよう子どもたちが物心つく頃から自然療法を学んでおり、医療分野でもアロマを取り入れた「メディカルアロマテラピー」が盛んです。嗜好品として扱われることが多い日本との大きな違いを目の当たりにした白本さんは、香りのもつ本質的な価値を伝えるために、アロマ事業を展開しようと考えたそうです。

ベルデザインでは五感のなかでも特に「嗅覚」に着目し、様々な効果を持つ天然精油を効率よく噴霧する高性能ディフューザーを開発して、機能的な空間づくりの実現に努めています。家具などの配置や色彩、照明など視覚に訴える要素の多いインテリアデザインに香りを活かすことで、記憶や感情、直感力や想像力に影響を与える嗅覚を通じて直感的なアプローチを試みています。

総合商社丸紅では、新社屋の執務室における全フロアの香りのプロデュースを担い、集中力の向上や発想力・想像力の誘発、リフレッシュなど、エリアごとに香りを組み合わせた空間デザインを提案して、業務に合わせた「場」の選択ができるオフィス空間を作り上げました。
アパレルショップでは試着室の内装に香りを絡めることで購買意欲を刺激・向上させるなど、商業施設や宿泊施設でもそれぞれの空間に合った香りの導入を提案し、視覚に加え嗅覚からも働きかける空間づくりによって顧客をファンにしています。
また、スポーツ分野では香りによる集中力の向上や平常心の維持などパフォーマンス向上が認められ、教員の疲弊が問題視されている教育現場では、職員室や休憩室にリラックス効果のあるヒノキのオイルを噴霧するなど、様々な場所で香りが活用されています。
講義の結びに試香紙が配られ、ベルデザインがオフィスや店舗向けにプロデュースした4つの香りを聞き比べる「アロマコンサルタント格付けチェック」を行いました。
答え合わせをすると、コンセプトに合った香りを当てることはなかなか難しかったようですが、香りを空間デザインに活かす上でのヒントになったのではないでしょうか。

天然精油でアロマスプレーづくり

講義の後半はクラフトワークショップの時間。「自分を表現する香り」をテーマに、用意された9種類の天然精油を使い、オリジナルブレンドのアロマスプレーづくりに取り組みました。
自分好みの香りにするか、特徴や効能を元に使用目的を決めてブレンドするか、自分らしさ・どうありたいかなど表現する香りを創造するかなど、作りたい香りのコンセプトを決めて、精油の配合を考えオリジナルアロマスプレーを完成させました。
最後に、学生数人のスプレーが教室内に噴霧され、それぞれの香りを確かめながらブレンド意図の発表に耳を傾けました。
アロマスプレーづくりの道具
試香紙
アロマスプレーづくりに取り組む学生
アロマスプレーづくりに取り組む学生
建築やインテリアを学ぶ学生にとって、アロマと結びつけて空間づくりを考える良い機会となった今回の講義。教室全体が天然アロマの芳香に包まれるなか、講義を終えました。
白本さんはじめ、ベルデザインの皆様、ありがとうございました。

発行部署:企画室