教育・研究

2025年11月17日

本学デザイン学部の学生が浜松科学館「科学の学園祭」に参加しました

本学デザイン学部の的場研究室が、10月に浜松科学館で行われたイベント「科学の学園祭」に参加し、「インタラクションデザインにふれてみよう」というテーマで、10月18日と19日の2日間で学生作品の展示を行いました。
今年度前期に制作された作品を中心に、的場教授のゼミや担当授業の中で制作された、インタラクションデザインの観点で特徴を持つ6つの作品を、実際に体験できる形で展示しました。

的場教授は、前職のNEC在職時代から、浜松科学館や静岡科学館にインタラクティブな作品を提供していました。
本学着任後も、本学の成果物を学外に発信するために、また来場者や科学館スタッフの方から成果物への意見や感想をいただくために、科学館との連携を一層密にして毎年様々なイベントに協力しています。

今回展示した学生作品は、いずれも「あそぶ楽しさ」に着目したもので、市販・流通されているゲーム作品等には無いユニークな着想に基づき、新規性のあるインタラクションデザインを実現しています。
子供から大人まで、来場した様々な方に、初めて接する「あそび」をすぐに理解して繰り返し楽しんでいただくことができました。

なお、今回の展示では、「地域連携演習」を受講する文化政策学部とデザイン学部の学生10名が、展示の準備作業や運営を担当しました。
科学館スタッフや来場者と接することで、受講生は実践的な学びの機会を得ることができました。

展示作品紹介(作品名・制作者・制作を行った科目・作品の概略)

(1)「音と連動する光の空間演出装置」

4年生 秦くるみ (2025年度「総合演習2」)
浜松科学館1
マレット(ばち)を使って電子マリンバの鍵盤を叩くと、音の発生と同時に、花瓶を模した16個の造形物の中に光が流れる装置です。市内のカフェで7月に行ったミニコンサートで実際に使用し、奏者の演奏に合わせて、客席の各テーブルの上に置かれた造形物の花弁部分のLEDの発光色が流れるように切り替わる演出を行いました。科学館でも多くの参加者が演奏に連動する光の演出を楽しんでいました。

(2)「亀河探花」

4年生 前田鈴菜(2025年度「総合演習2」)
絵巻の中にストーリーを補足するアニメーションが投影される作品です。ユーザが開いている絵巻の部分をカメラが認識して、ストーリーに沿ったカラフルなアニメーションが白黒の絵巻の上に投影されます。絵巻自体は「鳥獣戯画」等の古典のスタイルを参考にして、作者が手描きで作成したもので、病にかかった蛙の老師を助けるために、亀と河童の二人が伝説の薬を探す旅に出るというストーリーです。ユニークなインタラクションのスタイルと、味わいのあるコンテンツから、来場者の人気を博した作品です。
浜松科学館2-1
浜松科学館2-2

(3)「計算スライム」

 卒業生 二俣武史(2018年度「総合演習1」)
浜松科学館3
赤と青のスライムが、それぞれランダムな数字をつけた状態で大型画面上に現れます。画面上で指を使って、スライム同士をくっつけると、同じ色では数字が足し算されて大きな一つのスライムに変わります。違う色では、大きい数字を持つスライムの数から小さい数字を持つスライムの数が引かれ、大きかったスライムだけが残ります。同じ数字を持つ赤と青のスライムをくっつけると、引き算の結果数字が0となり互いに消滅して、消した数字がプレーヤーの得点になります。2019年から科学館等で展示を行ってきた作品ですが、今回の展示ではマルチユーザ対応版を用いて、大型画面上で複数のユーザが同時に遊べる形態にしました。多くの方々がご家族、友達同士でゲームを楽しんでいました。
上記3作品は、いずれもコンピュータや電子回路を用いていますが、必ずしもこれらの要素がなくてもユニークなインタラクションデザインを実現することができます。以下の3作品は、コンピュータや電子回路を使わない、素朴な構成の作品になります。

(4)「ぎゅっと♪おにぎりサウンド」

3年生 石井千咲子(2025年度「インタラクションデザイン」)
静岡科学館4
押す場所によって、低いドから高いドまで八つの音階を鳴らすことができる、大きなおにぎりの形をした楽器です。おにぎりの中央部を表から押すと高いドの音が、裏から押すと低いドの音が鳴ります。おにぎりの三角形の三辺には、レからシの音階が順番に並んでいて(一辺あたり二音)、どこを押せばどの音階が鳴るか、少し遊ぶだけですぐに理解できます。音階を発生させる発音体として、鈴木楽器製作所の音あそび用楽器「ミュージック ポン・プー」を使用しています。来場者は、簡単でユニークな演奏方法にすぐに慣れて、演奏を楽しんでいました。

(5)「スピード日本一周」

2年生 山本航大 (2025年度「ゲーム・遊びのデザイン」)
静岡科学館5
日本の都道府県をモチーフにしたカードゲームです。前に出されたカードと地理的に隣り合った都道府県のカードを出していくことで、持ち札を早く無くすことを競うゲームです。
都道府県を示すカードの他に、新幹線カード、船カード、飛行機カード等の交通手段のカードが含まれ、これらのカードをあわせて出すことで、隣り合っていなくてもそれぞれの交通手段で到達できる都道府県のカードを出すことができます。楽しみながら地理の知識を身につけることができる簡単なルールのゲームです。

(6)「日中漢字記憶カードゲーム」

 デザイン研究科修了生 馬瑶(2021年度「特別研究2」)
日中の漢字を使って神経衰弱を行うカードゲームです。日本と中国は、戦前までほぼ同じ字形の漢字を使っていましたが、戦後にそれぞれ独自の簡略化を行ったために、もともとは同じ漢字でも、現在では形が異なってしまったものが多く存在します。この作品は、楽しみながら互いの字形の知識が得られるゲームです。裏面が「桜」のカード24枚には、表の面に日本語の漢字が書かれていて、裏面が「パンダ」のカード24枚には、表の面に中国語の漢字が書かれています。それぞれのカードを1枚ずつ、計2枚めくって、同じ意味の漢字のペアを見つけて多く集めることが目標です。神経衰弱ゲームとして楽しみながら、日中の意外な字形の違いを発見する楽しさを味わうことができます。
浜松科学館2-1
浜松科学館2-2

今回展示を行った作品は、ほぼ同じ構成で12月14日(日曜日)に静岡科学館でも展示を行う予定です。
詳細は下記をご覧下さい。

静岡科学館 る・く・る (外部サイト)

また、昨年度の展示の様子は、下記よりご覧いただけます。 

トピックス記事
「本学デザイン学部の学生が静岡科学館と浜松科学館で作品の発表を行いました(2024年11月19日掲載)」

発行部署:企画室