教育・研究

2026年11月04日

本学デザイン学部の的場研究室が浜松科学館「科学の学園祭 2026」に参加しました

本学デザイン学部の的場研究室が、10月に浜松科学館で行われたイベント「科学の学園祭2026」に参加し、「インタラクションデザインにふれてみよう」というテーマで、10月10日と11日の2日間、学生作品等の展示を行いました。今年度前期に制作された作品を中心に、的場特任教授のゼミや担当授業の中で制作された、インタラクションデザインの観点で特徴を持つ学生作品等を、実際に体験できる形で展示しました。

的場特任教授は、NEC在職時代から、浜松科学館や静岡科学館にインタラクティブな作品を提供していました。本学着任後も、本学の成果物を学外に発信するために、また来場者や科学館スタッフの方から成果物への意見や感想をいただくために、科学館と密に連携し、例年「科学の学園祭」を始めとする様々なイベントに協力しています。

展示した学生作品は、いずれも「あそぶ楽しさ」に着目したもので、市販・流通されているゲーム作品等には無いユニークな着想に基づき、新規性のあるインタラクションデザインを実現しています。子供から大人まで、来場した様々な方に、初めて接する「あそび」をすぐに理解して繰り返し楽しんでいただくことができました。

なお今回の展示でも、各作品の制作者の他に例年と同様に「地域連携演習」を受講する文化政策学部とデザイン学部の学生(計10名、2年生が2名、1年生が8名)が参加して、展示の準備作業や運営を担当しました。履修者はこれらの作業を通して、作品の制作者、科学館スタッフ、来場者等と接することで、実践的な学びの機会を得ることができました。

展示作品紹介(作品名・制作者・制作を行った科目・作品の概略)

(1)「名画と遊ぼう」

4年生 足立 陽菜(2026年度「総合演習2」)
スペインの画家ベラスケスの名画「ラス・メニーナス」(1656年)をモチーフにした作品です。作品は、3Dプリンタを使って作成した、絵画に現れる8人の人物のフィギュアと、フィギュアを置く台、絵画を表示するディスプレイ等で構成されています。ディスプレイには最初に人物の居ない状態の部屋が表示されていますが、台にフィギュアを置くことで絵画の中に人物が現れます。フィギュアを誤った場所に置くと「ここでは王女様の御世話ができないわ」等、その人物が違和感を表明するセリフが流れますが、正しい位置に置くと「ここなら王女様の御世話ができて安心だわ」等、満足感のあるセリフが流れます。これらのセリフもヒントにしながら8人全員を正しく配置して元の絵画を完成させるゲームです。各フィギュアの底面にはICタグが貼られ、台の裏側に、ICタグのリーダーが複数個備えられています。来場した子供から大人まで、名画に対して行う新鮮なインタラクションに驚きつつも、すぐにやり方を理解して、楽しんでいただくことができました。
作品「名画と遊ぼう」の画像
作品「名画と遊ぼう」の画像
作品「名画と遊ぼう」を操作する人の画像

(2)「寿司タワーバトル」 

3年生 柴田 麻衣、竹田 セレナ、龍美 奈々(2026年度「インタラクションデザイン」)
重さセンサー、マイコン(Arduino)、スピーカーを内蔵する箱の上の皿に、紙粘土やスポンジなど身近な材料で作った寿司ネタやシャリのパーツを積み上げていくゲームです。積み上げた寿司の重さに応じて、威勢のよい掛け声とレベル判定の声が箱の中から聞こえます。積み上げた寿司を崩してしまうと、重さの減少を検知して「がっかり」した声が流れます。制限時間内に最終レベルまで寿司を積み上げると、レベル7「伝説」の域に達したことを讃える声が聞こえます。今回の展示では、子どもから大人まで多くの方に楽しんでいただき、「面白かった」「本物っぽく、おいしそうに見えた」等の感想が寄せられました。また、寿司ごとの重さの違いや、積み上げる順番、バランス等を考える面白さがあるとの意見もあり、手で直接寿司を扱う代わりに箸を使うことで難易度をあげる等、工夫して遊ぶ姿も見られました。
作品「寿司タワーバトル」の画像
「寿司タワーバトル」で遊ぶ親子の画像
「寿司タワーバトル」を積み上げている画像
何段にも積みあがった「寿司タワーバトル」の画像

(3)「クイズ かざしてホシ~」 

3年生 中村 櫻香、野口 佳蓮、橋本 摩耶、山本 千尋(2026年度「領域専門演習」)
2人で協力する星と宇宙のクイズゲームです。机の上には、ICタグを内蔵した12星座のカードと、ICタグのリーダーを備えた4つの台が置かれています。最初に参加者はそれぞれ好きな星座のカードを1枚選び、台にかざすことで、その星座のキャラクターを自分用に登録します。続いて星や宇宙に関するクイズが3問出題されます。各問題の4つの選択肢のうち正解は2つで、2人は正解だと思う選択肢の台にそれぞれのカードをかざして回答します。2人で2つの正解をそろえることが目標です。答え合わせではキャラクターが正誤に連動した表情を示し、その後の解説画面で正解の理由を確認できます。クイズだけでなく、学生が描いた12星座のオリジナルキャラクターも楽しめる要素になっている作品です。また、カードをかざすだけでクイズに回答できるため小さなお子さんでも遊びやすく、親子で相談しながら回答する姿が多く見られました。参加者からは「知らなかったことも遊びながら学べてよかった」等の意見をいただくことができました。
作品「クイズ かざしてホシ~」の画像
作品「クイズ かざしてホシ~」の画像
作品「クイズ かざしてホシ~」の画像
作品「クイズ かざしてホシ~」の画像

(4)「プラキシノスコープに入ってみよう」 

3年生 中村 櫻香、野口 佳蓮、橋本 摩耶、山本 千尋(2026年度「インタラクションデザイン」)

19世紀にフランスのエミール・レイノーが発明した、鏡を用いて動く絵を見せる初期のアニメーション装置「プラキシノスコープ」のレプリカを活用した体験型の作品です。通常は、少しずつ動きを変えたイラストを1コマずつ帯状に並べて使いますが、この作品では参加者自身が主役になります。参加者に12コマ分のポーズを取っていただき、スタッフがその場で撮影・画像編集してモバイルプリンタで印刷します。参加者はそれを鋏と糊で帯状に仕上げ、プラキシノスコープにかけて鑑賞します。撮影から工作、鑑賞までを通して、初期のアニメーションの原理を体験できる作品です。

会場では、参加者同士でポーズを相談しながら撮影を楽しむ姿が見られました。そして完成した帯をプラキシノスコープで眺めながら、自分たちの姿が動き出すことに驚きを感じていただけたようです。ポーズによってはユーモラスなアニメーションになり、会場で笑いが起こる場面もありました。

ポーズをとって撮影を楽しむ参加者の画像
プラキシノスコープの体験をする参加者の画像
プラキシノスコープのレプリカの画像
会場で制作したアニメーションの動画をYouTubeでご覧いただけます。

(5)「スネークトーン」

 3年生 市川 優衣(2026年度「インタラクションデザイン」)
ヘビの形をした新しい楽器です。ヘビの首の部分に内蔵されたスイッチを押すことで、ヘビの目にあたる部分に付けた超音波距離センサーが、前方の壁や人等との距離を検出し、ヘビ内部のマイコン(Arduino)とスピーカーが距離に応じた音階の楽器音を発生させます。ヘビ楽器は、緑と黄色の2匹を用意することで、2人の参加者が同じ曲を交互に演奏したり、ハモったりすることができるようにしました。参加者の多くは、初めて接する楽器にも関わらず、しばらくすると操作方法を自然に理解して、音階を奏でる体験を楽しんでいました。
作品「スネークトーン」の画像
作品「スネークトーン」の画像
「スネークトーン」 を体験する来場者の画像
「スネークトーン」 を体験する来場者の画像

(6)「ぎぶ・みー・ごはん」 

卒業生 清水 夏帆(2023年度「インタラクションデザイン」)
5人の参加者が、ヒナの立場で、親鳥から餌をもらうことを競うゲーム作品です。テレビのクイズ番組等でよく使われるタイプの押しボタンを使って、親鳥が現れた時に早くボタンを押せたヒナが餌を得ることができます。ただし、カラスが現れた場合にボタンを押すと、カラスに連れ去られてしまうため、現れたのが親鳥なのかカラスなのか、よく見定める必要があります。この作品は、2023年度の「科学の学園祭」にも出展し好評を得たもので、今回の展示でも、多くの家族連れや友達同士で、繰り返し楽しんでいただく姿が見られました。
「ぎぶ・みー・ごはん」 の画面
「ぎぶ・みー・ごはん」 を体験する来場者の画像
「ぎぶ・みー・ごはん」を体験する来場者の画像
上記の6つの学生作品の他に、「黒電話の体験システム」の展示をあわせて行いました。このシステムは、的場研究室の主導で、2025年3月と4月に静岡文化芸術大学のギャラリー等で開催した「みんなの電話」の展示物の一部です。電話機等の既存の装置を元に一部改造を行い、黒電話間で相互に通話したり、黒電話内部の電鈴(着信音を発生させる物理的な機構)の動作を直接観察できる形にしました。親の世代には懐かしい装置として、子供の世代には初めて接する不思議な装置として、それぞれの感慨を持って体験していただくことができました。なお、これらのシステムを含め2025年に展示した「みんなの電話」の内容を再編成して、現在静岡文化芸術大学の図書館にて、2026年10月から11月の予定で展示を行っています。
黒電話の体験システムの展示の様子
黒電話の体験システムの展示の様子
黒電話の体験システムの展示の様子
黒電話の体験システムの展示の様子
今回の展示では、2年前の2024年度の地域連携演習を履修して「科学の学園祭」での展示スタッフとして作業した当時の1年生2名が、今年度は3年生としてそれぞれが制作した作品を展示し、地域連携演習の履修者に説明方法や展示上の注意点等を指導する立場となっていました。このように、教育が循環して良い効果が現れていることが確認できたことも、今回の展示で得られた成果の一つと考えています。

用語解説

ICタグ:電波により非接触で情報をやりとりする仕組みを備えた部品です。シールやカード等の形状があり、コンピュータやマイコンに接続したリーダー装置と組み合わせて使用します。この技術はRFID(Radio Frequency Identification)とも呼ばれています。今回の展示では、(1)と(3)にICタグとリーダーを使用しています。

Arduino:マイコンの一種で、扱いやすさから大学における試作等に近年良く用いられる部品です。入出力の端子を備え、LEDやスイッチをはじめとする様々な電気部品と接続してシステムを構築できます。また、PC上の開発環境で、Arduinoで動作するプログラムを作成することができます。今回の展示では、(1)(2)(3)(5)にArduinoが使われています。

超音波距離センサー:距離を測定するためのセンサーには、色々な方式のものがありますが、このセンサーは二つの丸い部品を持ち、片方から超音波を発信し、反射して返ってきた超音波をもう片方で受信します。発信から受信までの時間を計測することで、超音波を反射させた前方の物体までの距離を算出することができます。今回の展示では、(5)に使用しています。

関連リンク

今回の展示と同様の構成で、12月13日(日曜日)に静岡科学館でも展示を行う予定です。
詳細は下記をご覧ください。
静岡科学館る・く・る - 新着情報 - る・く・る×ラボ「インタラクションデザイン作品に触れてみよう」

また、過去の「科学の学園祭」等で行った展示の様子は、下記からご覧いただけます。
本学デザイン学部の学生が浜松科学館「科学の学園祭」に参加しました(2025年11月17日掲載)​
本学デザイン学部の学生が静岡科学館と浜松科学館で作品の発表を行いました(2024年11月19日掲載)

本学図書館・情報センターで開催中の電話に関する展示の記事を、下記からご覧いただけます。
展示「みんなの電話」
2026年11月30日(月曜日)まで開催

2025年3月と4月に本学のギャラリー等で展示を行った「みんなの電話」については、下記からご覧いただけます。
イベントレポート「みんなの電話」(2025年4月14日掲載)
静岡文化芸術大学デジタルアーカイブ 2025年度「みんなの電話」

今回の作品のうち、(2)(4)(5)の3作品は、2026年度前期の「インタラクションデザイン」という科目で制作されたものです。この科目については、下記に関連の記事があります。 
「インタラクションデザイン」の授業に浜松学芸中学校・高等学校の生徒が参加しました(2026年9月29日掲載)

発行部署:戦略企画室